【4975】私には、いわゆる“もう一人の人格”のような存在がいます。

Q: 私は現在19歳の女性です。大学2年生です。
私には、いわゆる“もう一人の人格”のような存在がいます。名前は「Wrenly(レンリー)」という20歳の女性で、英語圏出身という設定のようなものを持っています。幼い頃から彼女は私の中にいて、現在まで10年近く共に過ごしてきました。

二重人格は、幼少期の虐待や強いストレスが原因とされることが多いですが、私にはそのような経験はなく、きっかけは全く別のものでした。 Wrenlyが現れたきっかけは、私が牛乳を飲めなかったことにあります。幼稚園の頃、牛乳を吐き戻してしまった経験以来牛乳が苦手で飲めなくなったのですが、小学校では担任の方針で飲み終えるまで昼休みでも席を立てないという状況が続きました。(この程度でも二重人格が表れるほどのストレスだったのでしょうか?)ある日テレビで、自分の分の牛乳を飲んだあと、弟の牛乳を一気に飲み干して「Wrenly!!」と母親に叱られている外国の女の子のシーンを観て、「この子が給食に来てくれればいいのに」と思ったことが始まりでした。

その日以降、私は“Wrenlyがいるんだと思い込み、なりきる”ことで牛乳を飲めるようになりました。
以来、だんだんと彼女は給食以外でも私の傍に存在するようになりました。
以下のような出来事があります
・彼女とのコミュニケーションは全て英語です
・英語を話す時やスピーチの場面で代わってくれると、格段に流暢に話せるようになります
・話しかけてくる時はすべて英語で、私の知らない単語を使うこともあります
・普段の私は常に意識がありますが、Wrenlyは“隣にいる感覚”で存在していて、意図的に入れ替わることもできます
・英語のリスニングでは、彼女に任せると必ず満点を取れます
・コンビニなどで私が選んだお菓子を「こっちがいい」と変えられることもあります
・私はお酒に弱いのですが、Wrenlyが出ると飲める量が増え、顔も赤くなりにくくなります
・彼女のタイプの男の子を見かけると「インスタ聞いてよ」と話しかけてきます
・私がダイエット中に、食べたいものを巡って喧嘩をしました

現在まで、生活に支障が出たり、人に迷惑をかけたことはありません。周囲にもほとんど気づかれたことはなく、「英語を話すと性格変わるね」といった軽く言われる程度です。親にもこのことは一切話しておらず、Wrenlyと話す時は自室で電話を装ったりして気づかれないようにしてきました。

ただ、私自身はこの状態を「普通ではない」と自覚しており、中学生の頃には「解離性同一性障害」などを調べたこともあります。しかし、一般的な説明にあるような「もう一人の人格が出ている間の記憶がない」といったことは私には当てはまりません。常に私の意識はあり、Wrenlyとのやりとりも自覚的に行っています。私の意思にないことを彼女が私の口を通して言う事は出来ません。

「Wrenly」という存在は、自分の思い込み、いわゆる妄想の産物であり、彼女が話しかけてくることも、幻聴と捉えられるかもしれません。そのため、これが本当に“病気”にあたるのか、それとも創造的な自己調整の一種なのか、正直なところ判断がつきません。ただ、これから就職など環境の変化があるで、Wrenlyとの関係性が変わったり、制御が効かなくなったりするのではないかという不安もあり
ます。

また、もしこのような状態が何らかの精神疾患(統合失調症など)と関係しているのであれば、早めに向き合うべきだと思っています。

とりとめのない長文となってしまい申し訳ありませんが、私のようなケースでも精神科に相談すべきか、ご意見をいただけたら幸いです。

林: ご自身の“もう一人の人格”のような存在について詳しくご報告いただきありがとうございました。お書きになっておられる通り、これは解離性同一性障害とは異なります。しかし、典型的なイマジナリーコンパニオン imaginary companion (imaginary friend と呼ばれることもあります) です。
【4345】私と共に生きる魂のような存在 
【4932】イマジナリーフレンドが変わってしまった
【4372】自分の中に存在する「お友達」が離れなくなりました
【4370】もう一人の自分の言葉として会話するとすらすら話せる
【2266】私にしか見えない、私の育ての親 
【2127】想像上の優しい人が消えてさびしい 
【2052】11歳の娘が頭の中に別の人物がいると言います
などをご参照ください。

(2025.8.5.)

05. 8月 2025 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 解離性障害