【3399】最近の注意力の散漫さは ADHD の色が増加したせいなのか
Q: 私は現在、アスペルガー(最近になって担当医からADHDの傾向も強いと言われた)で1年前より障碍者雇用の事務職で働いている20代の女性です。
元々集中力がないのですが(これもADHDの色彩が濃い要素ですね)、最近さらに落ち着きが無くなりました。きっかけは数週間前に車の運転中に擦ってしまい、それから間を置かずにまた同じような事故を起こした事に起因するかもしれません。
症状を挙げさせていただきますと
・職務中も体をゆする
・早く時がすぎないかなぁと感じる
・面白い事を思い出して(思いついて)は笑ったり
・2か月前は順調にやっていたはずの仕事内容が散漫になる
・落とすはずのない仕事が落ちる
・仕事の途中でインターネットを開いてしまう(好きなタレントのTwitterの観察とか思いついた興味ごとの検索とか)
・落ち着くために好きなキャラクターの絵を大量に描く
・ショッキングな事もないのに過食症状が出る
・人恋しくて無意味に接触をしたがる
・友人になんてことの無い用事でLINEを入れる
・長い道を運転すると目がしょぼしょぼしだす(最近かなり軽くなりました)
・薄暗くて人の少ない場所に行ったら落ち着く
…と、これらの症状は一時期よりはおちついてきたものの、自分でも今まで通りのコントロールが効きにくくなっているなと感じております。
そんなこんなで現在は、投薬を増やす事を視野に入れて担当医と検討をする予定です。
2ヶ月連続でノルマの業務をきちんと完遂できなかったり、途中でやめてしまったり…と、本当にあまりよくない傾向なのです。何となく自分の仕事が頭打ちになっているような気がしていて、その焦りが枷になってか業務や資格関係の勉強も詰まっております。
運よく、現在働いている職場は精神系の人も対象にした仕事をする場所ですので、『ある程度の』同僚の理解はあるのですが、そこに甘えていてはあまりよくない事であると思います。
ちなみに担当医にはこんな質問をされました
・『仕事は楽しい?』→あまり楽しくないです
・『趣味ができなくなったとかそういう事はない?』→毎日趣味活動を行っています
・『食事や家事はきちんとできている?』→もちろんです。昨日はあんかけ作りました。
この流れでADHDのお薬を進められました。
ちなみに今まで(というか5年間)はゾルピデム酒石酸塩錠10mgとロラゼパム0.5?という頓服薬二種のみでした。必要に応じて使ったり使わなかったりといった状態です。1か月飲まないこともしばしばでした。
やはりADHDの治療も開始するべきでしょうか。
また何らかの気づいた傾向があれば林先生の見解をお聞かせください。
主治医の見解としては現在の精神状態は『あまり良くない』という認識のようです。
基本的に3週間に1回の診療なのですが、次の予約をそのくらいのタイミングで取ろうとしたら止められました。
林先生の見解がどうであってもそれについては単なる一つの材料に過ぎないと考え、主治医の意見と見解を最優先に考える事を大切にしながら今後の治療をしていきたいと思います。
林:
最近の注意力の散漫さは ADHD の色が増加したせいなのか
そうだと思います。
「症状を挙げさせていただきますと」 として列記されている内容は、この判断を支持するものです。
但しここで大切な点は、この列記されているひとつひとつを見れば、それらは特にADHDでなくても十分にあり得る内容だということです。したがって、仮にこの【3399】のケースの情報がこの列記のみだった場合には、「ADHDの傾向はあります。しかし薬が必要であると積極的に考える根拠はありません」という答になります。(【3257】私は軽い発達障害の気がします、 【3098】ADDの項目がいくつもあてはまります
などをご参照ください)
けれどもこの【3399】は、現実的な問題が発生していること、及び直接診察した医師がADHDの薬を勧めていることから、単なる「傾向」より「診断」に傾き、また、薬を飲むことを考慮してよいレベルだと思います。
但し、あくまで「薬を飲むことを考慮」であって、「薬を飲むべき」と言えるかどうかはわかりません。【3332】ADHDと診断されたが、薬を飲見続けるべきか、 そして、林の奥 の、ダンス・ダンス・ダンス、ADHDの薬、それは治療か商売かもご参照ください。
この【3399】のケースでは、薬を飲むことを勧められた経緯として、「ちなみに担当医にはこんな質問をされました」以下が記されていますが、この記載内容は医師とのやり取りの要約ではあっても、薬が必要と医師が判断した根拠を読み取るには簡潔すぎる要約ですので、判定不能です。つまり、この記載だけを見れば、これで薬を始めるのはどうかという印象がありますが、その印象は事実を反映したものではないということです。
(2017.4.5.)