家の中にストーカーがいます

9月に一通のメールが届き、12月に出版。いかにもクイックである。
9月のメールは、出版企画の打診。12月に出版されたのは
『こころと脳の相談室名作選集 家の中にストーカーがいます “こころの風邪”などありません、それは“脳の病気”です 』
だ。
驚愕のスピードだった。驚愕のスピードで出版された、私の初めての電子書籍である。インプレス社のクイックブックスシリーズの一冊。出版社から企画について説明いただいた時は、「紙の書籍のベースなしに電子書籍のみで発行する「ボーンデジタル」の試み」「ページという概念が消えた本」ということだけが印象的だったのだが、9月のメールをよく見ると、(クイックブックスは)「早い場合でプロジェクトスタートから2ヶ月程度で発行しています」と記されていた。すると今回の3ヶ月というのは決して例外的なスピードというわけではないらしい。もはやこの「クイック」という名前を忘れることはなさそうだ。

電子書籍を現実的なメディアとして私が認知したのは2年くらい前だ。試みにある小説本をApple StoreからiPhoneにダウンロード購入して読んでみた。当時は、こんな小さい画面で本なんか読めるのだろうかと懐疑的だったが、やってみると意外に抵抗なく読めたのみならず、電子書籍ならではのツールが小説を読む際にもいろいろ活用できることが実体験できたので、これはいけるのではないかと思った。インターネットのサイトにも良さがある。紙の本にも良さがある。だがどちらにも限界や欠点がある。それらを電子書籍は解消できるメディアになるのではないかと思った。以来、電子書籍ならこんなことができるのではないかとあれこれ考えていた。考えていたが行動に移さないでいたところ、今回、2013年の9月に企画を頂き、3ヶ月後の12月に出版されたという経緯である。

名作選集と副題がついている。『家の中にストーカーがいます』は、精神科Q&Aから厳選した55題の選集である。広告コピーふうに言えば、

精神科Q&Aの読者には待望の名作選集
精神科Q&Aをまだ知らない人にはこのサイトをコンパクトに知る絶好の書

という感じだろうか。感じだろうかっていうのは無責任か。感じではなく、まさにその通りの電子書籍である。質問メール2万通以上を読んで2500のQ&Aを書き、そこから55を選んだ著者の私が言うのだから間違いない。

さらに電子書籍化にあたって、各Q&Aの末尾に「あとからひとこと」という短文を加筆した。短文といっても、それぞれのQ&Aの奥にあるものを凝縮した濃いものである。短文といっても、思い入れが過ぎてつい長文になったひとこともある。短文といっても、最短は2文字である。

「あとからひとこと」以外の内容は原則としてサイト掲載当時のままである。電子書籍というメディアがそれを可能にした。これまでも私は、精神科Q&Aを元にした書籍(紙の書籍)を何冊か上梓してきたが、紙の本だとページ構成や字数に制約があるから、サイトの通りに掲載することはとてもできない。電子書籍の持つ自由度が、サイトの臨場感をそのままに、しかも整理されて読みやすい形での出版を可能にした。
という内容を私はこの書籍のまえがきに書いた。書いた時はもちろん出版前だが、出版されたものをスマホとPCで読んでみて、まさにその通りだと確認できた

そのまえがきの結び部分:
もし事実を伏せることを是とするならば、明るいことだけを語ることは可能だ。希望だけを語ることは可能だ。だが事実を伏せた明るさは、事実を伏せた希望は、すべて偽りである。偽りからは何も生まれない。闇のような絶望であっても、それが事実である限り、いつか光は差してくる。真の希望への第一歩になる。パンドラの箱を開けたら、その底に目を向けなければならない。

これは、こころと脳の相談室開設当時からの基本姿勢である。そしてそのエッセンスをつめたのが、『こころと脳の相談室名作選集 家の中にストーカーがいます “こころの風邪”などありません、それは“脳の病気”です 』だ。

以上、2013年12月新刊の宣伝でした。

(宣伝の)追伸
電子書籍とは、たとえばKindleのような専用の端末を持っていないと読めないのかと私は思っていたら、インプレスの方が、「そんなふうに思っている人がまだ多いのですが、PCでもスマホでも読めます」と教えてくださった。
↓ここに詳しい
http://qb.impress.jp/2013/ebook-smartphone/

(読み直すと9月の企画打診メールにも「本シリーズは、インターネットの接続が不安定な電車内などでもスマートフォンから手軽に読めることがメリットで、・・・」と書かれていたのだった)

追伸の2
もう一つ宣伝↓
http://qb.impress.jp/2013/hayashiqa/
↑これを読んで私は、自分が「居ないでしょの林」と呼ばれていることを初めて知った。

追伸の3
宣伝の最後には価格を記さなければならない。
500円です。
すると反射的に頭に浮かぶのは「ワンコイン」という言葉で、「これだけの内容があって、たったのワンコイン」とか何とか、そういう陳腐な文言をつい書きたくなるのだが、本書はページという概念が消えた本だし、コインという概念もふさわしくないのだろうか。大体Web上のストアで購入するとき、コインなどという感覚は消えているのだろう。それはともかく
500円です。

家の中にストーカーがいます

 

18. 12月 2013 by Hayashi
カテゴリー: コラム