【3443】私は見たものを写真もしくは音のない動画として記憶しています

Q: 私は 20代女性です。
大学時に高機能自閉症、学習障害(読字・書字)と診断されました。
幼児期には言語発達が遅れ、「イヤ」以外の言葉を発したのは4歳半ばでした。

最近、周囲の人に記憶方法が特殊だと言われます。
初めて指摘を受けたのは成人式の二次会の最中でした。
小学生時代の思い出話をしていたとき、ある子が「昔すぎて全然覚えとらんわ~」と言いました。
そこで、小学校入学式のときの各クラス担任の服装、体育館の飾り、各クラスの掲示物、自分と7名の同級生の服装等を話すと周囲が驚いた顔をしていました。
何故そんなに記憶力が良いのかと聞かれ、写真や動画が見えるからと答えるとみな首を傾げていました。
私は見たものを写真もしくは音のない動画として記憶しています。
だから、カレンダーのデザインや掲示物の枚数等重要でないことも覚えています。
しかし、文字を上手く写真で記憶する事はできません。暗記科目が苦手で、高校時代は理系クラスでした。
思い出すときは、目を開けていても写真や動画が見えています。
保育園入園式の記憶も、昨日の記憶も同じ鮮明さです。
これは、特殊なんでしょうか?
特殊だとしたら、普通の人はどのように記憶しているのですか?

 

林:
私は見たものを写真もしくは音のない動画として記憶しています。

それは自閉スペクトラム症(質問者が診断されている 高機能自閉症、学習障害(読字・書字) は、自閉スペクトラム症に含まれます)の中のある一部の人々に見られる特徴の一つです。直感像と呼ばれることもあります。

これは、特殊なんでしょうか?

直感像という能力を持った人は、自閉スペクトラム症など非常に限られています。その意味で特殊能力と言えます。

特殊だとしたら、普通の人はどのように記憶しているのですか?

これはしばしば自閉スペクトラム症の方から発せられる質問で、直感像に限らず、自閉スペクトラム症のご本人にとってはその能力は決して特殊ではないので、誰でも同じ能力を持っているとお考えになっていることが多いものです。ですからこの【3443】の質問者が「普通の人はどのように記憶しているのですか?」と素直に質問される気持ちはよくわかりますが、それに対する答は、「普通の人はそういう記憶能力は持っていません」としか言えないことになります。
特殊な能力を持っていることは、人生においてメリットになることもあれば、デメリットになることもあります。自閉症スペクトラム症の著明人であるテンプル・グランディン Temple Grandinが、そうした能力について語っている The world needs all kinds of mind という有名な講演がありますのでご参照ください。
また、特殊な能力を持つ人はサヴァン(またはサブサヴァン)と呼ばれることもあります。これについては林の奥羊をめぐる冒険もご参照ください。

(2017.6.5.)

05. 6月 2017 by Hayashi
カテゴリー: 発達障害, 精神科Q&A