【3444】出来事の記憶はあるが、感情の記憶がない
Q: 記憶というか、感情がつながらないことが時々あり、質問します。
私は30代女、既婚で子供が一人います。
通院をしていて、発達障害でアスペルガーとADHDがあると、診断されています。
薬は飲んでいません。
旦那に最近、人が違うと指摘されるようになり、私も気付きはじめました。
旦那と喧嘩している時に、「お前誰だ?」と言われハッと我にかえり、先ほどささいなことで喧嘩して、暴言や唾を吐いていた私が、どうしてこんなことをしたのか、理解できないのです。目付きも違うと言われました。
出来事は確かにあったと、覚えているのですが、感情の記憶がないと言いますか。つながらないと言いますか、すぐ前の事を忘れてしまうのです。
旦那に話を聞いてもらいたくて、眠い旦那を引き留めていた時に、「話しても違う人がでてきて、どうせ覚えてないから」と言われて
あれってハッとなって、なんで私からんでたんだろう。引き留めてたんだろうって、わからなくなるんです。
発達障害が関係していますか?
感情の起伏が激しいだけですか?
多重人格のような病気なのでしょうか?
そういえば、小学校高学年の時に、学校で嫌われて辛くて、本気で自殺を考えていました。その時から、本当の自分は死んでしまったように思ってます。
結局自殺はしなかったけど、あまりにも辛くて、授業中、頭の中で遊ぶんです。
この現実は、世界は、本当は無くって、だから私の悩みも存在しないって。そうすると気持ちが楽になるんです。頭がぽっーとして、目に映る世界が、存在しないように思えて、気持ち良くなって、これ以上これを続けたら、続けたいけど、戻れなくなる、気が狂ってしまうと思って止めるんです。
これは危険な遊びだったのでしょうか?こんなことしていたから、今おかしいのでしょうか?自分の中で少し気にかかっています。
当時は、親に相談できなかったり、手首を傷つけたり、色々と間違っていた気がします。
大袈裟に考えすぎですか?それとも治療が必要でしょうか?ご意見いただけると嬉しいです。読んでいただきありがとうございました。
林: 質問者が具体例として挙げている出来事、すなわち、
旦那と喧嘩している時に、「お前誰だ?」と言われハッと我にかえり、先ほどささいなことで喧嘩して、暴言や唾を吐いていた私が、どうしてこんなことをしたのか、理解できないのです。目付きも違うと言われました。
これは解離の症状です。解離性同一性障害(多重人格)とまでは言えませんが、その色彩のある症状です。
この体験について質問者は、
出来事は確かにあったと、覚えているのですが、感情の記憶がないと言いますか。つながらないと言いますか、すぐ前の事を忘れてしまうのです。
と述べておられますが、この文章中には、「出来事は確かにあったと、覚えている」と「すぐ前の事を忘れてしまう」という相矛盾する記述があり、実際はどのような体験であるか不詳です。
但し、この記述は論理的には不合理ですが、おそらく質問者の主観の中では決してそうではなく、「その出来事が記憶にあるのか」と問われれば「ある」という答になっても、「感情の記憶がない」ために、「記憶にないように感じられる、または、他の普通の記憶とは違うものとして感じられる」のだと思われます。解離では時にこのような体験が認められることがあります。【1925】昔の記憶は「心の中の写真」としか説明できません。その中には「義父と私が裸の写真」もありますもそれに近いと言えるかもしれません。離人もそのような体験の延長線上にあると考えてもいいでしょう。(たとえば【3177】脳が薄い膜に覆われているような感じ)
また、質問者が小学校高学年の時に学校が辛いためにしていたこと、すなわち、
あまりにも辛くて、授業中、頭の中で遊ぶんです。
この現実は、世界は、本当は無くって、だから私の悩みも存在しないって。そうすると気持ちが楽になるんです。頭がぽっーとして、目に映る世界が、存在しないように思えて、気持ち良くなって、これ以上これを続けたら、続けたいけど、戻れなくなる、気が狂ってしまうと思って止めるんです。
これは、意図的な現実逃避から解離になりかかっていたのでしょう。
(解離という症状は、無意識的な現実逃避として理解することができるのが普通です。意識的な現実逃避から解離の状態に入ることは普通はできませんが、【3444】の質問者はこのころ、それができたのだと思われます)
これは危険な遊びだったのでしょうか?こんなことしていたから、今おかしいのでしょうか?自分の中で少し気にかかっています。
それを「していたから」今の症状があるのではありません。しかし、「解離」というキーワードですべての説明がつきます。
大袈裟に考えすぎですか?それとも治療が必要でしょうか?
解離は必ず治療が必要とは限りません。解離症状によって現実生活に支障が出ているか否かが、治療の必要性を決めるポイントになります。但し、その「支障」は、本人は気づいていない場合もありますので、今の本人の状態をご家族とよく話し合ったうえで、治療を受けるか否かを決めることをお勧めします。
(2017.6.5.)