【3325】精神科に入院した母が、食べることも話すことも動くこともできない状態になってしまいました

Q: 47歳母のことです。私は長女、26歳です。
7年ほど前、私が産婦人科に入院したとき、母は毎日お見舞いに来てくれていました。その母がおかしくなったのは、4〜5日経った頃でした。急にそわそわしだして病室のありとあらゆる電気のコンセントをとんでもない速さで抜き出し何かが来ると言ってはまわりを警戒したような素振りで、大丈夫?と聞いても訳のわからない事を言って会話になりませんでした。母は、その4〜5日間、一睡もしていなっかったそうです。それから数日後、老人ホームへ入っては大声で叫び、外は裸足で走り回り、挙句の果てには、知らない人の家に勝手に上り込み、不法侵入で母は警察に捕まってしまいました。それから精神科で診てもらい、診断は自律神経失調症という事でした。母は1ヶ月程入院し落ち着いてきたので退院する事ができました。
それからは躁状態と言っていいのかわかりませんが、いつもテンションが高く買い物が異常であったり、常に外にでたりしていました。躁状態がしばらく経つと今度は鬱状態になったりとその繰り返しでした。私は一人目を妊娠してから母と父と同居しており2人目を授かり無事生まれ子供が2歳になった頃に家をでました。それまでは比較的、躁状態のほうが多かった母でしたが、突然一人になったため、寂しかったのかそれからは鬱が多くなったような感じがします。薬は常に処方してもらっており月に1〜2回診察へいっていました。躁鬱状態はずっと続いていましたがとりあえずは安定していたように思います。父親は仕事の関係で朝早く夜遅い生活なので母親はすごく寂しかったんだと思います。昔からお酒が好きだった母親は寂しさを紛らわすためか、週に3〜5程慣れ親しんだ店にお酒を飲みにいくようになっていきました。薬はお酒を飲んでいても服用したり1日に2回飲み忘れたり飲んだりという状態だったみたいです。1度目の入院から2年ほどその精神科の病院で診てもらっていたのですが遠かったため、近くの心療内科へ移ったみたいなのですが1年程前にその病院が潰れたので、それまで処方してもらっていた薬だけ近くの循環器内科で処方してもらっていたみたいです。母は父親に1日中寝たいとよく言っていたみたいで、ある程度の睡眠がとれていても医者にはあまり眠れないと言っていたみたいです。

前置きが長くなってしまってすみません。
ここからが本題なのですが私は母と別居するようになって月に1〜2回程度しか会っていませんでしたが、2年ほど前からだと思いますが急に今までになかったクセが現れるようになってきたのです。まばたきの回数が異常に多い。じっとしていられない。ガムを噛んでるかのように口をカチカチする。ソワソワしている。同じ所をいったりきたりする。特に目立っていたのが足踏みです。お漏らしもたまにあったみたいです。私も父も精神的なものだろうと思っていました。そしてそれはずっと続き私はもうクセになってしまったんだ・・・程度にしか考えていませんでした。それで1ヶ月程前父親と一緒にでかけていた母は突然足が固まり動けなくなったみたいなのです、すぐ歩けたので父親は酔っ払っているからだろうと思ったそうです。(母はお酒を飲んでました。)で、また1〜2週間後病院にいった時に片方の腕が突然しびれ動かなくなったみたいです。(この話は直接電話で母に聞きました。)それから数日後ここ最近かるい躁状態だった母は薬を飲んでも眠れなくなり4〜5日間眠れない状態が続いたみたいです。

それから母は急変しました。自力では動けなくなり排尿、飲食などもできなくなり、困った父は2度目の入院させる事に決め私と3人で病院へむかいました。(以前入院した病院はベッドが空いてなかったので別の病院に入院させる事になりました。診察も初めての病院です。)その時の状態はゆっくりではあるが会話はできる。支えた状態だとなんとか歩けるが突然足が固まったりする。手が反っている。定期的に体の一部が震える。たまによだれが垂れる。こんな感じでした。幻覚がみえる、自分がこの世の中をめちゃくちゃにしてる、体が重い、と言ったりしていました。病院につき先生に薬の状況となぜ急変したのか?と言う質問に答え、あとは入院中の生活などで話しは終わりました。

2日後、面会にいくとさらに悪い状態になっていました。この日、気になったのは口の中が気持ち悪いのかタオルを取ってと母に言われたので渡すと口の中に常にいれてました。舌が言うことをきかないような感じに見えました。それと自分の意思で動かしていないような手足の異常な動きがずっと続いていました。まだ私の目を見て会話ができる状態でした。大化の改新は自分がした、自分はもう死んでしまうのだろうかなど、私は全てが見える 分かる、異常な発言もあるけれど、お見舞いありがとう、早く退院したい、パパに会いたい孫の心配など普通の会話もできていました。

3日後には、会話はまったくできなくなってしまい手足の震えはずっと続く、人の手とは思えない程の反り返り、足も軽く反っている、口は空いたままで震えている、首が同じ方向をむいている、顔がピクピク動く、自分の意思で動かしていないような手の動きがさらに異常になる。目が上をむいている(常にではありませんが目立つ)といった状態になりました。私がしんどい?と尋ねた時1度だけしんどいと分かりにくかったですが答えてくれました。この日から普通の食事はやめて特別流動食?にかわり紙パンツはやめて管を通すようになっていました。

私は入院した段階で薬の副作用ではないかという疑いがあったので自分なりに色々調べたのですが、ジストニア、ジスキネジア、アカシジア、パーキンソン症候群、素人ですし今まで聞いたこと事もないのでなんとも言えませんがあまりにも症状が一致するので先生に聞いてみる事にしました。ここ最近母が処方されていた薬はリスパダール2mg、ヒベルナ糖衣錠25mg、ロヒプノール錠2,2mg、ハルシオン0.25mg、リピトール10mg、イソミタール、ブロバリン原末、リーマス錠200mg、乳糖、ガスター、アトフラニース??10mgです。(朝昼晩にどれを飲むのかまでは調べられませんでした。量は急ぎで書き留めたので間違っている可能性があります。すみません。入院時に薬はいじらないでこのままで様子をみると言っており現在も変わってないです。)先生にジストニア、ジスキネジア、アカシジア、パーキンソン症候群、このいずれでもないにしろ薬の副作用という可能性はないのでしょうかと尋ねたところ??という、顔をされ精神的なものからくると思う、副作用の可能性もあるが、ない可能性のほうが高い、副作用だとしても精神系の薬を減少、中断するのはもっと悪くなるような気がするので悪影響だと思う、精神系の薬が少量なので副作用の可能性は低いと思う。血液検査をまめにしているので副作用なら検査結果ででると思う、と言っておられました。とりあえずこのままのお薬で1週間様子を診てみましょう。との事でした。

先生がいっているし任せるしかないと言う父でしたが、私はどうも納得ができません。根拠はありませんが、調べてみて一致しすぎる点が多すぎる事と先生は母親を診るのは初めてな事と、これは全く関係はないですが目を見て話をしてくれなかったし副作用の可能性もあるという発言もありどっちつかずの返事で、あとあと面倒にならない為の言い訳のような感じにしか受け止められませんでした。あとこれも勘違いなのかもしれませんが食事がとれないので点滴しているのですが、はじめは水だけだったらしいのですが2〜3日目から点滴に精神系のお薬をまぜたみたいで3日目から容態がかなり悪くなったという点も気になります。先生も看護師の方もこちら側から質問しないと何も教えてくれません。食事の事も排尿の事も点滴の件もこちらが質問し答えてくれるというような感じです。(こんなものなのでしょうか・・・)

父方の祖母、叔母2人、母方の叔父も躁鬱病や自律神経失調症で何度も入退院を繰り返していますがこんな母親みたいなケースは初めてですし、面会にいった時の患者さんでもここまで酷いケースは今までみた事がない為、不安で仕方ありません。主治医の先生がおっしゃるように神経からきているものだと信じてよいのでしょうか。 私も不安でパニックを起こしているかもしれません。被害妄想、単なる思い違いなのでしょうか・・・副作用だとしたらどういった処置をするべきなのでしょうか。お酒と薬と副作用の関係性は何かあるのでしょうか。素人でわからない事だらけで心配で夜もあまりねつけません。  最近色々調べていたらこのサイトをみつけました。他の方のQ&Aも拝見させて頂き勉強になりました。林先生から何かアドバイスを頂けたらと思いメールしました。 長文、乱文失礼しました。

林: 現在のお母様の状態は、大部分が薬の副作用です。病気の症状が重なっている可能性は否定できませんが、大部分が薬の副作用であることは間違いありません。
したがって、主治医の先生の、

精神的なものからくると思う、副作用の可能性もあるが、ない可能性のほうが高い、

この説明は誤りです。それも、でたらめと言っていいレベルの誤りです。
但し、

副作用だとしても精神系の薬を減少、中断するのはもっと悪くなるような気がするので悪影響だと思う、

この説明は部分的には正しいとも言えます。すなわち、「副作用だとしても精神系の薬を減少、中断するのはもっと悪くなる」ことはあり得ます。しかし「ので悪影響だと思う」は誤りです。なぜなら、お母様の今の症状の大部分は薬の重篤な副作用だからです。

さらに、

精神系の薬が少量なので副作用の可能性は低いと思う。血液検査をまめにしているので副作用なら検査結果ででると思う

これは完全なでたらめです。お母様にいま見られる症状が副作用かどうかは、血液検査でわかる性質のものではありません。

質問者がお調べになった、

ジストニア、ジスキネジア、アカシジア、パーキンソン症候群

は、お母様の今の症状に、基本的にあてはまるものです。つまり主治医の説明は誤りで、質問者の見解が正しいです。おそらく質問者は、「ジストニア、ジスキネジア、アカシジア、パーキンソン症候群」という初めて聞く言葉ばかりが並んでいるのを見て混乱もされたことと思われますが、「ジストニア、ジスキネジア、アカシジア、パーキンソン症候群」はすべて医学的には錐体外路症状という用語でまとめられるもので、抗精神病薬の典型的な副作用です。

そして、お母様に副作用が明らかに出ているのは2年前と見ることができます。

2年ほど前からだと思いますが急に今までになかったクセが現れるようになってきたのです。まばたきの回数が異常に多い。じっとしていられない。ガムを噛んでるかのように口をカチカチする。ソワソワしている。同じ所をいったりきたりする。特に目立っていたのが足踏みです。

これらはクセではありません。副作用です。

ガムを噛んでるかのように口をカチカチする。

は、口部ジスキネジア

じっとしていられないソワソワしている。同じ所をいったりきたりする。特に目立っていたのが足踏みです。

アカシジアです。
特にこのアカシジアは本人にとってとてもつらい症状なので、この副作用が出た場合には、その時点で薬の変更や減量をするのが精神科治療の常識です。

そして入院時、

支えた状態だとなんとか歩けるが突然足が固まったりする。手が反っている。定期的に体の一部が震える。たまによだれが垂れる。こんな感じでした。幻覚がみえる、自分がこの世の中をめちゃくちゃにしてる、体が重い、と言ったりしていました。

このうち、支えた状態だとなんとか歩けるが突然足が固まったりする。手が反っている。定期的に体の一部が震える。たまによだれが垂れる。 はパーキンソン症候群と言えます。

手が反っている

に関しては、ジストニアかもしれません。(「手が反っている」という記載だけではわかりかねます。実際にその状態を見ることができれば一目でわかるかもしれませんが)

幻覚がみえる、自分がこの世の中をめちゃくちゃにしてる、体が重い

これらは副作用ではなく病気の症状の可能性のほうが高そうです。但し、副作用によるせん妄の症状も否定できません。

入院2日目、

舌が言うことをきかないような感じに見えました。それと自分の意思で動かしていないような手足の異常な動きがずっと続いていました。まだ私の目を見て会話ができる状態でした。大化の改新は自分がした、自分はもう死んでしまうのだろうかなど、私は全てが見える 分かる、異常な発言もあるけれど、お見舞いありがとう、早く退院したい、パパに会いたい孫の心配など普通の会話もできていました。

このうち、

舌が言うことをきかないような感じに見えました。それと自分の意思で動かしていないような手足の異常な動きがずっと続いていました。

は、舌、そして手足のジストニアです。

大化の改新は自分がした、自分はもう死んでしまうのだろうかなど、私は全てが見える 分かる、

これらは2日目と同様で、副作用ではなく病気の症状の可能性のほうが高そうです。但し、副作用によるせん妄の症状である可能性も否定できません。

入院3日目、

3日後には、会話はまったくできなくなってしまい手足の震えはずっと続く、人の手とは思えない程の反り返り、足も軽く反っている、口は空いたままで震えている、首が同じ方向をむいている、顔がピクピク動く、自分の意思で動かしていないような手の動きがさらに異常になる。目が上をむいている(常にではありませんが目立つ)といった状態になりました。

かなり重症のジストニアです。
ここまで重篤な副作用で出ている状態で、

とりあえずこのままのお薬で1週間様子を診てみましょう。との事でした。

という主治医の先生の方針は犯罪的なまでにでたらめと言えるものです。

もちろん、副作用が出ているからといってその薬をやめるとか減らすなどの対応が常に正しいとは限りません。薬による治療は常にメリットとデメリットのバランスを考えて行うものであって、たとえ副作用というデメリットが出ていても、治療効果というメリットがそれを上回っていれば、そのままの薬を続けるべきです。
ですから主治医の先生のおっしゃるように

精神系の薬を減少、中断するのはもっと悪くなる

という可能性を考え、今の薬を続けるという治療方針も一応は考えられるところです。

けれどもそれは一般論であって、この【3325】のケースでは、すでに入院日から2日目までの期間において、副作用によるデメリットのほうが大きいと考えられるところ、3日目の状態である重症のジストニアに至っては、たとえ薬をやめることで元の病気の精神症状が悪化すると予想したとしても、それでも薬を減量あるいは中止しなければならない状態と言えます。

なお、お母様に当初下された自律神経失調症という病名は誤りです。ご親族の方々についても、自律神経失調症はおそらく誤りです。お母様も、ご親族の方々も、双極性障害(躁うつ病)か、または統合失調感情障害でしょう。そしてお母様の発症時の症状とその後の経過、さらに家族歴が濃厚(つまり遺伝性が強い)ことをあわせますと、かなり強力な薬物療法が必要であることは否めません(もっとも、経過がよくなかった理由は適切な薬物療法が行われていなかったからかもしれませんが)。「かなり強力」とはつまり、少々の副作用が出ても、それは我慢して薬を飲み続けなければならないということです。けれども現在のお母様の状態は(遡って、2年前からの状態も)、むしろ副作用による害のほうが強く出ている状態です。

主治医の先生がおっしゃるように神経からきているもの

ここでいう「神経から」という表現が、「病気から」を意味しているとすれば、それは完全な誤りで、質問者のご見解の方が正しいです。これは副作用です。

副作用だとしたらどういった処置をするべきなのでしょうか。

薬の減量、あるいは一時的な中止です。今の主治医ではそれをしていただけそうになければ、退院して別の病院に移る以外にないでしょう。それは現実には難しいとは思いますが、それ以外にはありません。

(2016.12.5.)

05. 12月 2016 by Hayashi
カテゴリー: 病院を変えたい・変えるべきか, 精神科Q&A, 薬の副作用, 躁うつ病