【2389】私の暴言や破壊行為は薬の副作用でしょうか
Q: 30代女性です。私は高校生くらいから、対人恐怖などがあり、信号待ちをしていると、なにか見られている気がしたり、過敏なところがありました。心療内科に行くと神経症だといわれました。その後しばらく病院にいかなくなり、20代後半くらいにまた心療内科に通いはじめて、そこでパキシルをだされ、飲んでいました。3ヶ月くらいすると、気持ちが上がってきて、地下鉄でとなりにいる人話しかけたくなったりしました。そして、心療内科に行った時にトイレの鏡を割りました。なぜそんなことをしたのかわかりません。特に腹が立つようなことあったわけでもないんです。それで、鏡を割ったことで、その病院には診療拒否をされ別の病院にいくことになりましたが、その先生に暴言をはいたためか、なかなか受け入れてくれる病院がみつかりませんでした。その後精神的にハイになっていて興奮状態が続き公園にいる知らない人に話しかけたり、とにかく誰かと話したくなり、男女関係なく話したりしました。地下鉄で誰も人がいないところで大きな声をあげたりもしました。あとコンビ二で店員にちょっと注意されたことに腹が立ちかなり暴言をはいたり、街で歩いている人に暴言をはいたりしました。他にはそんなに仲が良いわけじゃない人に電話して、大泣きしたり、これは覚えてないのですが、姉の仕事場に電話したりしたみたいです。自分の性格は内向的で今までそうゆう暴言を吐いたりなどは絶対にできないほうです。そんな状態が続き、精神的に疲れてきて、入院したいと思うようになり、家族と病院に行き、自分では記憶にないのですが、死にたいなどといっていたそうで、すぐに入院になり、統合失調症と診断されました。入院中はセロクエルを出されました。退院してから、パキシルは副作用で攻撃的になるということを知り、自分は薬で躁転したんじゃないかと思うようになりました。妄想や幻覚もないし、自分が統合失調症だとは思えないです。家族に言っても統合失調症の薬を飲んでよくなったんだから、統合失調症だといいます。 私の症状は統合失調症でもありえますか? それとも薬の副作用からで病気ではないと思いますか?
林: あなたは統合失調症だと思います。このメールの情報の中で、あなたが統合失調症だという判断に傾く最も大きな根拠は、
統合失調症と診断されました。
という点です。直接診察した医師の判断に優る信頼性のある根拠はまずありません。しかもこの【2389】では、即入院するほどですから、その時点で相当はっきりした症状があったことは間違いなく、また、入院後も診断が変わらなかったわけですから、経過を通して、医師の目から見れば、確実に統合失調症と判断できたということです。この判断を覆すだけの根拠はありません。
パキシルは副作用で攻撃的になるということを知り、自分は薬で躁転したんじゃないかと思うようになりました。
それは質問者の願望にすぎません。しかも非常によくあるパターンの願望です。自分は統合失調症であると思いたくない。本やネットで調べると、自分の症状は他の理由で説明がつく。だから医師が何と言おうが、自分は統合失調症ではない。「自分は」と言いましたが、ご家族がこのようなパターンの考え方をするのも非常によくあることです。そしてこうした場合の「他の理由」として、最もよく挙げられるのが薬の副作用です。
パキシルに限らず、抗うつ薬の副作用として攻撃的になることがあり得るのは事実ですが(たとえば【1709】、【0581】など)、この副作用自体まれなものですし、仮にその稀な副作用が出たとしても、統合失調症の症状と区別がつかないことはまずあり得ず、ましてやこの【2389】のように、入院までして一定期間医師が観察しているような場合には、薬の副作用と統合失調症の症状が間違えられることは100パーセントあり得ないと言っていいでしょう。
それとも薬の副作用からで病気ではないと思いますか?
副作用ということはあり得ません。今の治療をしっかり続けてください。
(2013.5.5.)