【4162】転院の予定がふりだしに戻ってしまいました(【3866】、【4148】のその後)
Q: 【3866】 統合失調症の母親が断薬して再発し、入院したのだがよくならない、【4148】母を転院させる方向で動いています で回答を頂いた30代女性です。回答をして下さいましてありがとうございました、嬉しかったです。
その後ですが、前に進んだと思ったらふりだしに戻ってしまいました。
【4148】の時点では転院に向けて動こうとしたのですが、外泊時に、ふと母に「今の先生どう？」と聞いたら、先生のことを話すのを嫌そうな反応をされたので、もしかしたら以前のA病院の元担当医の事をイヤだと思うことがあったとか、味方してくれなかったとか、信頼をなくすことがあって通院をやめたのではないか…ということが頭に浮かびました。
それと、A病院元担当医がB病院の現在の担当医の意見をふまえて～と言った地点で、私の意見を聞いてほしいのに、ろくに治療もしてくれない医師の意見を聞いて何になるのかと思いました。
上記にも書きましたが、今日も母からイタ電が何回も来て(電話を取ると母が切るというのが1日に十回以上)こちらの予定を伺いもせず外泊日を勝手に留守電に言って入れてきて、やっぱり腹が立ったので病棟ナースにイタ電と勝手に外泊日を決めて留守電に入れて困ったことを言ったら母本人に注意をしてくれるとのことでした。
あとは、母の去年のカレンダーを見たら支離滅裂なことが羅列してあって、妄想や幻聴があるのかな？と思いました。
しかし誰にも迷惑かけていない、他害のない状態での妄想や幻覚はあってもいいのでしょうか？（医師が治療していないので）
質問をまとめると
(1)他人に迷惑をかけていなければ(病院内では問題なく過ごせている)妄想や幻聴は放置してもいいのでしょうか？
(2)ふりだしに戻りましたが、一歩進むにはどうしたらいいでしょうか？
林: 経過のご報告をいただきありがとうございました。
いったんは転院の方向に傾いたものの、迷っておられるご様子、こういうことは比較的よくあります。どこの病院で治療を受けるかということは、その後の経過を大きく左右する場合がありますので、ご本人としてもご家族としても慎重になられるのはよく理解できるところです。
ただし今回の質問者の迷いの理由は判然としません。
ふと母に「今の先生どう？」と聞いたら、先生のことを話すのを嫌そうな反応をされたので、もしかしたら以前のA病院の元担当医の事をイヤだと思うことがあったとか、味方してくれなかったとか、信頼をなくすことがあって通院をやめたのではないか…ということが頭に浮かびました。
ここで「先生のことを話すのを嫌そうな反応をされた」というのは、今のB病院の医師についてのことであると読めますが、それがなぜA病院の医師の話に転じているのかわかりません。
また、仮にお母様がA病院の医師に対してネガティブな印象をお持ちだとしても、それは、統合失調症が悪化したときにはよくあることです。そのような印象よりも、長年にわたって治療で安定していたという実績のほうがはるかに重視すべき事情です。
それと、A病院元担当医がB病院の現在の担当医の意見をふまえて～と言った地点で、私の意見を聞いてほしいのに、ろくに治療もしてくれない医師の意見を聞いて何になるのかと思いました。
転院を受け入れる先の医師が、現在の担当医の意見をふまえるのは当然です。「私の意見を聞いてほしいのに、ろくに治療もしてくれない医師の意見を聞いて何になるのかと思いました」というのは質問者の側の一方的な主張にすぎず、現在の担当医が「ろくに治療もしてくれない医師」であることを、A病院の医師が知るはずがありません。仮に質問者がA病院に医師に、「B病院の医師はろくに治療もしてくれない」と伝えたとしても、それを鵜呑みにせず事実かどうかをA病院の医師は確認するのが当然です。
まとめとして記された質問項目への回答は次の通りです。
(1)他人に迷惑をかけていなければ(病院内では問題なく過ごせている)妄想や幻聴は放置してもいいのでしょうか？
「他人に迷惑をかけていない」ことと「病院内では問題なく過ごせている」ことは別ですので、この二つを並列にすることはできません。したがってこの質問は質問として成立していません。しかし質問の意図を汲み取って答えるとすれば、この質問は、「病院内で問題なく過ごせていればそれ以上の治療は必要ないのか」という趣旨と思われますので、それに対する回答は、当然にノーです。入院時に興奮等が著しかった場合、病院内で問題なく過ごせるようになるのは治療目標の第一段階ではありますが、最終目標にはなり得ません。
(2)ふりだしに戻りましたが、一歩進むにはどうしたらいいでしょうか？
ふりだしに戻ったのは、質問者の方の問題が大きいように、少なくともこのメールからは読み取れます。お母様のためにどうするのが最善か、あらためて冷静にお考えになる必要があると思います。
(2020.11.5.)
