【4539】ポジティブすぎる妄想も病気なのですか
Q: 30代女性です。
わたしは、約10年前にパニック障害になり、パキシルの服薬を続けてきています。
順調に良くなっていたのですが、数年前から気分が沈んでとめられない時期が何度か繰り返しきます。その時期はめまい、腹痛、耳鳴り、幻聴や軽い幻覚があり、発狂しそうなのを必死で抑え続ける状態です。医師には、パニック障害の域だと言われたので、そのままの治療をしているのが現状です。
質問はここからなのですが、どうもわたしはポジティブすぎるようなんです。
落ち込んでいる時期を除いて、「酔ってる?」と聞かれるほどハイテンションで、自分は可愛い、みんなに愛されている、と常に感じます。街を歩いていても、通りすぎる人みんなが自分を見ていると感じますし、「かわいい」と聞こえるんです。母親から「死んだほうがいいんじゃない?」と言われても、「あんたはおかしい」と言われても、褒められている気分になります。外因的に落ち込むことは皆無です。これも立派な病気だ、と母が言ってくるのですが、本心で言っているのか、わたしが面白いから言っているのか判断がつきません。ポジティブすぎる妄想も病気なのですか? こういう病気もあるのですか?
林: 妄想はネガティブなものばかりとは限りません。たとえば【2022】「神は自分の世界を見るための目としての役割を自分に与えた」と語る友人 、【2196】自分が作詞したヒット曲のお金が口座に振り込まれているはずだと言い張る兄、【3418】私は神であると言い出した友人 などに見られるのは誇大妄想で、ネガティブとは対極にあるものです。
ただしこの【4539】のケースの質問者がいう「妄想」は、それらとはニュアンスが異なるようで、むしろ躁状態の爽快気分にあたるように読み取れます。そのことと、「落ち込んでいる時期」とそうでない時期があること、また、症状として「幻聴や軽い幻覚」があることをあわせると(「幻聴や軽い幻覚」の具体的内容が本来は診断上重要ですが)、統合失調感情障害や、精神病症状を伴う双極性障害なども考えられます。パニック障害という診断は見直す必要があるでしょう。(そもそもこのメールにはパニック障害の症状がほとんど書かれていないので、その診断根拠が不明です。 「数年前から気分が沈んでとめられない時期が何度か繰り返しきます。その時期はめまい、腹痛、耳鳴り、幻聴や軽い幻覚があり、発狂しそうなのを必死で抑え続ける状態です。」は、パニック障害らしいとは言えない症状です)
(2022.8.5.)