【4538】強迫と言われたが統合失調症の初発でないかと心配してしまう

Q: 20代後半女性です。
2週間前くらいに、急に職場で仕事をしていたら「紙(コピー用紙)で目玉や粘膜が切れる、薄いまっすぐなものが怖い(レタスを食べたら舌が切れてしまう)」という観念に取り憑かれて発狂しそうになりました。
(1年前からパニック障害を持っておりますが、それは電車内嘔吐がきっかけで、乗り物が苦手な以外職場などでパニックになったことはこれまでありませんでした。)
その観念に襲われると、目を守らないとという気持ちでいっぱいになり、目をギュッと閉じたり手のひらで瞼を押さえていたら周囲の人に心配されました。
帰宅後もそれが頭から離れず、ひたすらカレンダーの数字を声に出して数えたり大丈夫大丈夫と念仏のように言っていたら夫にも病院に行けと言われました。
上述したパニック障害で心療内科にかかっているので、その先生に、変な妄想に取り憑かれてしまった、私変になってしまいましたと訴えたら、それは妄想ではなく強迫ですと言われました。
たしかに、紙で指が切れることは実際起こることですしその延長と考えればそうなのでしょうし、昔から鍵を閉めたかとか火を消したかとか、そういうことは数回確かめて出かけても戻って確認するような癖もあったので、納得したのですが、自分でも馬鹿馬鹿しいと思ってはいるのですが、レタスが怖いのも強迫なのでしょうか?
紙で肌が切れることもそうですが、実際そんなこと起こらないのはわかっているのに想像してしまうのです。今はハサミも包丁もさわれません。他害の妄想ではなく、自分が傷つく妄想をしてしまいます。怖いので料理ができず、手でちぎれる野菜しか使えず不便です。仕事中も常にその観念を振り払うために、別のことを一生懸命考えています。
今は、パニック発作用に服用しているレキソタン1ミリを、不安な時は追加で飲んで良いと言われているので1日5錠ほど飲んでやり過ごしています。
身内(叔父)が統合失調症なので、私もなるのではないかと不安に取り憑かれています。これこそ不安症の一種なのかもしれませんが…。
先生のご意見聞かせていただけますと幸いです。

 

林: 強迫と妄想は、明確に区別できることもありますが、区別し難いこともあります。この【4538】の体験は、区別し難いものにあたるといえます。
また、強迫は、統合失調症の前駆症状として現れることがあります。
質問者には統合失調症の家族歴がある(血縁のある身内に統合失調症の人がいる)こととあわせ、質問者自身がこれから統合失調症を発症するという現実的な可能性があると考えるのが妥当です。
主治医の先生が 「それは妄想ではなく強迫」と説明された真意はわかりません。妄想ではないと判断されたのかもしれないし、妄想かもしれないと判断したけれどもはっきりしないので本人には強迫と説明することが適切であると判断されたのかもしれません。
また、強迫と判断したとしても、それが統合失調症の前駆症状の可能性ありと判断されたかどうかはわかりません。
ただしいずれにせよレキソタンでは解決しない症状だと思います。受診の度に、症状や経過を主治医の先生になるべく詳しくお伝えするようにしてください。

(2022.8.5.)

05. 8月 2022 by Hayashi
カテゴリー: パニック障害, 強迫性障害, 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: , |