【3803】いくら注意しても全く改善がみられない後輩

Q: 私は医療サービス業で働いている50代男性です。職場の後輩について、発達障害を疑っています。 その後輩について箇条書きで述べさせていただきます。

●ひどい猫背で無表情。
●身だしなみを整えるのが苦手で、明らかに洗濯していない汚れてよれよれのワイシャツを着てきたり、顔にべったりソースがついたまま出勤してくることもある。
●よく耳をほじったり頭をかいたりしている。
●スピードは速いがミスが多い。
●一番お客様の近くの席に座って仕事をしていても、自動ドアがあいたときに無反応(何度注意しても動くそぶりがない)最初は無視しているのかと思ったが、本当に気付いていないようである。
●ルーチンワークのスピードは非常に速いが間違いが多い。
●彼がミスをおこした時に「□□はちゃんと確認した?」と聞くと「確認しているはずです!」と即答する
(確認していたら起こらないミス)マニュアルを作ってもマニュアルを遵守せずミスをおこす。
●小さい声で「ん、ん、ん」と言っている(音声チック?)前の店舗では「しねしね」と言っていたこともあるそう。
●与えられた仕事(資料の整理)はきちんとする。
●一人で黙々とこなせる仕事に対しての集中力は高く時間も継続する。完成度は高くはないが速い。
●新しい仕事を教えようとしたら、「ああ、はい」と苦笑いで、あきらかに嫌そうな返事をする。メモをとるように言ってもなかなかメモをとらず、教えたことができない。ようやくメモをとってもメモ自体を紛失する事が多い。
●不慣れな手作業をするときに、傍目で見てわかるほど手が震え、ものをこぼすことがある。
●急ぎで対応しないといけない事態が発生しても、デスク周りの書類を綺麗に揃え、後輩の中での定位置に置いてからでないと動けない。
●仕事をする上で必要な知識が身についておらずお客様に迷惑をかけたので、「▲▼は頭に入れておかないといけないよ。◎◎に目を通しておいてね」と伝えたら「わかりました!」と答えるが後日同じ事を繰り返し「◎◎は見た?」と聞くと「まだ見ていません!」と言い、ようやく見る。「■■の連絡がきたから■■の書類を確認しておくように」と言っても「わかりました!」と答えて結局書類を確認しない。
●忘れ物が多い。書類提出の締め切りを守れない。提出書類の不備も多い。
●攻撃的な態度はなく、物静か、全体的に非常に受け身で消極的な印象。
●自分のミスでお客様に連絡するときに「○○を△△にしていたそうでして」と、当事者意識のない表現をする、その結果怒らせることが多々ある。基本的にあまり雑談はしないが、たまに雑談に参加してきて、そのときは一人で演説のように長く話す。会話の時の表現が本を読んでいるような、必要以上に丁寧で固い表現。ニュアンスや雰囲気を感じ取れない。一緒に働くスタッフも疲れてしまい、何度も店舗を変わっているが、本人は周りが疲れていることに気付かない。
●何らかの理由で休職していたことがある。上層部の人間が心療内科の受診をすすめたが頑なに断った。

先生はこの後輩は何らかの発達障害だと思われますか?
また、その場合、どう対応するのが良いと思われますか?

正確さ迅速さが求められる仕事なので、ミスを減らしてほしくて困っています。お客様と接してはじめて成り立つ仕事なので、接客からも外せません。
一回で言ってわからないならと、十回説明するよう心がけ、文書化マニュアル化も試してみましたが、疲れてきてしまいました。
この後輩が何らかの発達障害であり、適切な対応によって現状が改善すればと思い、質問させていただきました。

 

林: この後輩の方の診断として、最も可能性が高いのは不注意優勢型のADHDです。軽症とは言えず、社会生活、特に会社で仕事をしていくためには、医療的治療やサポートが必要です。薬物療法を考慮していい段階だと思います。このレベルですと接客業にたずさわるのはかなり困難と思われ、薬物療法を行ってそれでも適切な接客が可能になるかどうかといったところでしょう。すなわち、医療機関の受診は必須であり、それなしに周囲の対応で何とかなるレベルではないと思います。
したがって、

上層部の人間が心療内科の受診をすすめたが頑なに断った。

それでは希望はありません。十分に手順を踏んだ説明をして説得し、医療機関を受診していただくのが第一歩です。

(2019.3.5.)

05. 3月 2019 by Hayashi
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