【3804】子供の頃の幽体離脱のような奇妙な体験について
Q: 20代後半の女です。 子供のころの奇妙な体験が現在も続いて困っているためメールさせていただきました。
小学校3年生の夏休み前、体育館で集会をしていた際の出来事です。
私も参加していたのですが、その集会で校長の話を聞いていた時に急に奇妙な体験をしました。
具体的には
・校長の話を聞いている自分を、体育館の天井から自分が見下ろしながら 「あれ?世の中ってつまんないんだ」と急に思いついた。見下ろし状態は集会が終わる直前まで続いた。幽体離脱のようになったのはこの時が最初で最後だった。
・幽体離脱状態が解除された直後、それ以前と感覚がズレた感じ(自分自身の体や、なぜ自分が生きているのかが理解できない感じ)になって酷く混乱した。感覚のズレた感じは今でも時々起きる。
・その出来事を境に他人や物事への関心が薄くなり、人と話すのも億劫になった。また、ずっと気分が沈んでいる感じがする。
・家族にも、その辺りを境に急に性格が暗くなったと言われた(奇妙な体験については周りに話したことはない)
その他の補足、病歴、気になることは以下の通りです。
・上記の体験を急に思い出して酷い恐怖心や違和感に襲われ、眠れなくなったり気分が悪くなったりする。
・家庭環境が良くなかった。父は乱暴な人で日常的に母に暴言を吐いていて、私も暴言を浴びせられたり、叩かれたりして育った。母も基本的には優しいが偏屈気味で束縛したがる人だったため、私は父母ともに苦手だった。半年に1度会う父方の祖父母にも虐められていた。上記の症状が出た当時は父が仕事で失敗をして、暴言や暴力がとくに酷くなっていた時期だった。奇妙な体験の前日も家族が酷い喧嘩をしていた。
・上記の体験までは(家族のことを除いて)世の中が楽しくて仕方なかった。クラスメイトと毎日放課後に外で遊びまわるようなタイプだった。
・私自身には原因不明の頭痛が中学校から、うつ病が大学生から、つい最近になって発達障害(自閉症スペクトラムとADHDの混合)+うつ病と診断された。
現在は心療内科に通っていますが、精神科などで改めて奇妙な出来事について相談するか迷っています。
非常に気味の悪い体験ですし、あの日あの時から続く無気力や違和感を解消したいのですが、精神科はどうにも行きづらく迷っています。
何かアドバイスがいただければ幸いです。よろしくお願いします。
林:
・校長の話を聞いている自分を、体育館の天井から自分が見下ろしながら 「あれ?世の中ってつまんないんだ」と急に思いついた。見下ろし状態は集会が終わる直前まで続いた。幽体離脱のようになったのはこの時が最初で最後だった。
質問者自身が使っておられる「幽体離脱」という言葉が、医学用語としてもそのままこの体験にあてはまります。
非常に気味の悪い体験ですし、
そうお感じになられたのは理解できますが、これは決してオカルト的な現象ではなく、解離症状の一つです。
そして、
上記の症状が出た当時は父が仕事で失敗をして、暴言や暴力がとくに酷くなっていた時期だった。奇妙な体験の前日も家族が酷い喧嘩をしていた。
この出来事と、それに先行する家庭環境が、この解離症状を発生させたと判断できます。
あの日あの時から続く無気力や違和感を解消したいのですが、
それらは解離に関連する症状でしょう。(解離性障害の診断基準を満たすかどうかは別として、解離に関連する症状であるとまではいえます)
精神科はどうにも行きづらく迷っています。
と書かれていますが、
現在は心療内科に通っています
とのこと、精神科と心療内科は、看板が違うだけで実際は同じであることがほとんどですので(すなわち、この質問者のように、「精神科にはいきづらい」という方が受診しやすいように、「心療内科」という看板を掲げていることが多いというのが事実です)、今かかっておられる先生に、当時の家庭の状況を含めてお伝えすることをお勧めします。
・私自身には原因不明の頭痛が中学校から、うつ病が大学生から、つい最近になって発達障害(自閉症スペクトラムとADHDの混合)+うつ病と診断された。
発達障害の診断が正しいかどうかは情報不足で何とも言えませんが、質問者の今の症状は、生育した家庭環境を原因とするものとしてすべて説明できるかもしれず、すると発達障害の診断は否定できるかもしれません。
その出来事を境に
というように、質問者は、この幽体離脱体験がこれまでの症状の原因であるという認識を持っておられるようですが、実際はそうではなく、この幽体離脱体験を引き起こした原因(=家庭環境)がこれまでの症状の原因で、幽体離脱もまたその結果としての症状の一つであると考えるのが妥当だと思います。
(2019.3.5.)