【3802】夢における統合失調症のような妄想症状

Q: 10代男性です。
最近夢から覚めると、その見ていた夢の中の自分の感情がひどく不合理であるように感じることが多々あります。
例えば、夢の中では状況に対してとても絶望していて、恐怖やとんでもない不安を感じるのですが、夢から覚めてその夢をもう一度考え直すと、その絶望の理由が意外としょうもなかったり、ということがよく起こるのです。
ネットなどで見る統合失調症の方は、日常における少しの変化を読み取って絶望的に解釈する、ということがよく発生していると個人的には思っているのですが、もしかしたら同じことが睡眠時の自分の脳で起こっているのではないか、と思ってしまいます。
また、統合失調症に罹るとドーパミン等の物質が過剰に供給されるとも聞いたので、そのような症状が睡眠時のみに発生するということもあり得ると思いました。

統合失調症のような妄想症状が睡眠時のみに起きることはあるのでしょうか。またこれは健康であるのでしょうか。

当方は学生でして、昼間は正常に学校へ通えています。
以上の通り、回答のほどよろしくお願いいたします。

 

林: 夢の中の体験が統合失調症に似ていても、何の心配もありません。なぜならそれはごく普通のことだからです。
夢と統合失調症の類似性は、昔から多くの学者によって指摘されています。
たとえばユングJungは、統合失調症患者とは「目覚めながら夢見る人」と呼んでいます。またクレペリンKraepelinは、統合失調症で言語が滅裂になった状態と夢の共通点を論じています。
特にこの問題に強く着目したのはカール・シュナイダーで、体験過程が突然中絶すること、そしてその際に突然質的に異質の要素が出現すること、二つの意味要素が混合したり一つに融合したりすることなどが、夢と統合失調症に共通する特徴であると述べています。(C.Schneider: Die Psychologie der Schizophrenen, und ihre Bedeutung fur die Klinik der Schizophrenie. 1930.)

したがって質問者の疑問に対する回答は次の通りになります。

統合失調症のような妄想症状が睡眠時のみに起きることはあるのでしょうか。

よくあります。

またこれは健康であるのでしょうか。

まったくの健康な現象です。

(2019.3.5.)

05. 3月 2019 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: |