【3548】平気で嘘をつく私は双極性Ⅱ型障害でしょうか
Q: 私は20歳女の大学生です。私は去年の夏頃知人の紹介で行ったある病院で、双極性障害Ⅱ型と診断されました。しかしその前に行った病院では、病気ではなく性格によるもので、カウンセリングによる長い治療が必要だと言われました。今は双極性障害と診断された病院で、処方を受けています。よくなってきたようで、(先生から言われました)、最近は薬を減らしています。確かに、一番酷かったと思われる時期よりは喜怒哀楽を感じるし、朝も起きられるし、寝られるし、動けるし、日常生活にも支障は、少なくなってきたように思います。だけど思い返してみると、一番酷くて、ずっと、死にたくて、起き上がれなくて、大学にもいけなかった頃、私は演技をしていたのでは、という気がしてならないです。私は根性もなくこころも醜く平気で嘘もつく、みんな死ねばいいと思う最低な人間です。そのくせに他人に見捨てられるのが怖くてたまりません。私はよくいらいらして物に当たります。大学を出て実家を離れてからはありませんが、実家の犬によく暴力を振るっていました。後から考えると本当におぞましいです。私は、前の前の犬を、私が小さな頃些細なことで逆上してしつこく何回も何回も叩きました。ハムスターを間違ってピアノのふたで挟んで殺しました。ハムスターの首の骨の折れる感触がしました。誰にも言えませんでした。前の犬が言うことを聞かなくていらいらして日常茶飯事に暴力を振るっていました。ある日起きたら犬は冷たくなり目を見開いて死んでいました。前の晩私はその犬にいつもよりひどい暴力を振るいました。私は死んだ方がいい人間です。私はこれらのことを誰にも言えませんでした。だから誰も私を責めません。私は嘘つきです。私はみんなの気を引きたくて、あるいは優しくしてもらいたくて、あるいは許してもらいたくて、具合の悪い、うつのようなふりをしていたのでしょうか。それとも昔から性格が悪いのでしょうか。前の病院の先生が言ったように、だったら、長いカウンセリングを受けたら直るのでしょうか。私は嘘をついているような気がしてなりません。本当は双極性Ⅱ型障害なんかじゃなくて、ただの嘘つきで、私はやっぱり死んだ方がよかったのでしょうか。でも私は死ぬ勇気もない人間です。死にたい死にたいと思っていてもロープさえ買う勇気のない構ってちゃんです。私は、思い返してみると、中学の頃から死にたいと思い、不登校気味でした。高校に入って死にたいと思うことは少なくなったものの、それでもやっぱり昔から死にたがりで、やっぱり病気じゃなくて性格的なものなんじゃないかと思います。私は不真面目で情もなくくずのような人間です。私に優しくしてくれる人に申し訳がたちません。それともこの死にたいというのも本当は嘘で、私は死にたくもないのに構って欲しいから、心配して欲しいから言っているだけなのでしょうか?私はどうやったら楽になれるのでしょうか。それとも私みたいな人間は死ぬ以外に楽になる方法はないのでしょうか?先生のHPで、死ぬ以外に解決策はないといった考えは病的で、病気が治ればよくなるといったお答え(うろ覚えでごめんなさい)があったと思いますが、私は死ぬ以外に解決策はないといっている自分がもう嘘をついているようにしか思えないのです。本当は死ぬつもりなんてなくて、心配してもらいたくて病気のふりをしているじゃないかと思うんです。死ぬのは怖いです。だけど楽になりたいです。楽になる資格はこんな駄目人間な私にはないのでしょうか。
林:
ある病院で、双極性障害Ⅱ型と診断されました。しかしその前に行った病院では、病気ではなく性格によるもので、カウンセリングによる長い治療が必要だと言われました。
双極性Ⅱ型障害、または、パーソナリティ障害(なかでも、境界性パーソナリティ障害)でしょう。「病気ではなく性格によるもの」という診断は、パーソナリティ障害を示唆していると思われます。(パーソナリティ障害は、性格の偏りとみなすのが一般的です。但し、それは違うという考え方もあります)
このメールに書かれている、
他人に見捨てられるのが怖くてたまりません。
私はよくいらいらして物に当たります。
さらに、慢性的に死を考えている、などの特徴は、境界性パーソナリティ障害の特徴とされてきたものです。また、嘘をつくことが多いこと、動物への残酷さなどは、反社会性パーソナリティ障害の特徴とされるものですが、境界性パーソナリティ障害に伴うことも多く、そもそも反社会性パーソナリティ障害と境界性パーソナリティ障害は、区別が曖昧な場合もあります。(現代の診断基準ではどちらもB群パーソナリティ障害に分類されます。美少女L、その他、の虚言 もご参照ください)
但し、これまで境界性パーソナリティ障害とされてきたものの中に、実は双極性Ⅱ型障害がかなり含まれているという見解もあり、この【3548】のケースが双極性Ⅱ型障害と診断されたということは、その見解にそったものといえます。
結論としては、この回答の冒頭に記したとおり、この【3548】のケースは双極性Ⅱ型、または、パーソナリティ障害(なかでも、境界性パーソナリティ障害)と思われます。しかしどちらかというと、パーソナリティ障害の可能性のほうが高いと思います。
(2017.10.5.)