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境界性人格障害

(境界性パーソナリティ障害)


感情の不安定さが特徴です
他人に対する感情も、自分に対する感情や評価も、とても不安定なのが境界性人格障害の特徴です。逆に安定している時もあり、その時は冷静で人一倍論理的に話すこともでき、とても病気とは思えません。ところが感情は時間単位、日単位で変化し、まさに人が変わったようになって、他人を攻撃したり自分を傷つけたりします。直前までは尊敬の対象だった人を急に攻撃することもよくあります。圧倒的に若い女性に多いです。

自覚症状は抑うつ感が中心です
境界性人格障害の人は、自覚的には慢性的な抑うつ感で悩んでいることが多く、自分ではうつ病であると信じていることもよくあります。うつ病なら抗うつ薬で治ることがほとんどですが、人格障害には薬はあまり効きません。むしろ薬は自殺の道具として使われがちです。20代の女性で、うつがなかなかよくならずに色々病院を変え、時には自己破壊的な行動に出るというのが、典型的なパターンです。

周囲を困らせることも特徴のひとつです
自己破壊的な行動とは、具体的には自殺が多いのですが、リストカット(手首を切る)、薬をまとめて飲むなど、自殺としては成功率の低い方法が大部分です。しかもそれを繰り返すので、自殺の演技をしているように見えます。また、いい自分・悪い自分をうまく使い分け、他人を思うままに操作する傾向もあります。まるで光をあてる角度によって美しくも醜くもなる、特殊な多面体のようです。このため、家族も友人も医療者も、大いに困らされることになります。

治療の開始は「契約」です
境界性人格障害の治療は、困難です。本人の求める薬物治療にはあまり効果は期待できません。対人関係の形成過程の問題が原因と考えられますので、精神療法の適応と言えます。ところが、病気そのものの症状である対人関係の不安定さは医者との関係にも現れてしまいます。主治医に対する信頼と不信が目まぐるしく入れ替わり、しかも何回も自殺のそぶりをするような状態では、精神療法どころではありません。したがって治療のためにはまず治療をするということ自体を本人と医者ではっきり取り決めるという手続きが必要になります。これには一定の面接時間の設定などを含み、「治療契約」といいます。契約を破れば治療は中止です。冷たいようですが、難治であることを認識し、つらくても最善の治療法に従うべきでしょう。


上の文章は境界性人格障害についてのエッセンスです。詳しくは 人格障害 の実際のケースの数々、さらには 境界性パーソナリティ障害 患者・家族を支えた実例集 (林 公一 著 保健同人社) をご参照ください。


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