【5007】独語と妄想の激しい職員は異動になりました(【4994】のその後)
Q: 【4994】独語と妄想の激しい職員に医療を受けさせたい として取り上げていただいた20代女性・会計年度任用職員です。
AIを使っての回答もいただきありがとうございました。
AI回答【4994】医療を受けさせたい・考の末尾にて「AIに質問した方がよかったのではないか」と先生も仰っておりますが、AIに質問した場合、当初懸念されていた実務上での運用についての情報量の少なさから現実感のない返答が出るのではと考えており、AIではなく林先生に質問する選択を致しました。AIの抱える情報量が想像していたよりも緻密であることも教えていただきありがとうございます。
さて、質問投稿からのAについてですが、課長から直接以下の点について報告がありました。
・課長・X係長との三者面談ではボイスレコーダーを使っての実施
・Y係長より係長と私に対して行った暴言について起こった日付などを含めた詳細な報告の受理
本件については部長級以上にまで話が行っていることまでお話していただき、近いうちに異動がある趣旨の説明も受けました。また、Aはカウンセリングや産業医が出張しての面談の予定を組んだようです。前者はある日カウンセリングのため午後休を取る旨の連絡を受け(この時本人は泣きながら「なぜかカウンセリングに行けと課長から命令された」と話しておりました)、後者についても泣きながら部屋から飛び出していくところを見たという職員もいるため、やはり病識はあまり無いと思われます。
後日、Aは所属していた本庁舎内に存在するX係から外の施設の担当に異動になりました。どのような仕事を任されているかについて課長・Y係長からお話がありましたが、今後暫くは顔を合わせないくらい関わりの薄い部署へ行ったとのことです。
結論としまして先生が「職場が組織しての責任を果たしていないと言うべきでしょう。」と批判していた点について、職場は実害を被ったX係長・Y係長・私から離して治療に向かわせることを選びました。異動先は本庁外施設の中でも特に住民との直接の接点が薄い施設になりますので、クレーム対応で過度に疲弊したり不意に住民に対して暴言や支離滅裂な言動が出ないよう配慮された形にもなります (ただし異動先については職員間で閑職と周知されているので「やりがいの無さからストレスが溜まるのでは」とY主任は懸念しておりました)。
当自治体の内規に分限処分は存在するものの、診断書が無いと休職等の処分が出せないため、まずは自分から治療に向かうように勧めているようです。
この度はご回答いただき誠にありがとうございました。
林: その後の経過をお知らせいただきありがとうございました。
先生が「職場が組織しての責任を果たしていないと言うべきでしょう。」と批判
【4994】で私はそのように回答しましたが、実際は(あるいは【4994】の投稿をいただいた時より時間的に後かもしれませんが)、
職場は実害を被ったX係長・Y係長・私から離して治療に向かわせることを選びました。
というように、職場の管理部門は、「現時点でどうすることも難しい(【4994】の質問分より)」と言いつつも、対応としての行動を起こしておられたということですね。
そしてその行動とは、
・課長・X係長との三者面談ではボイスレコーダーを使っての実施
・Y係長より係長と私に対して行った暴言について起こった日付などを含めた詳細な報告の受理
というもので、これは趣旨としてはAI回答【4949】医療を受けさせたい・考 の、
1 記録の徹底と報告の継続:
A様の**「独語とため息が多い」「電話応対についても疑問が残る対応」などの業務上の問題、そして「暴言」「業務拒否(産休職員の件)」「個人的な発言(結婚・出産)のハラスメント**」に該当する可能性のある発言を日時・場所・内容を詳細に記録し続けてください。
に基本的に一致しています。
AIの回答との一致・不一致にかかわらず、職場上司がなさった対応は職場でのこの種の問題として適切なものです。そして話は戻りますが、AIの回答にそれが明記されていたということは、AIへの相談が実務的に有効であることを示しているということになるでしょう。
また、Aさんに対して職場が人事的にとった対応すなわち、
後日、Aは所属していた本庁舎内に存在するX係から外の施設の担当に異動になりました。
異動先は本庁外施設の中でも特に住民との直接の接点が薄い施設になりますので、クレーム対応で過度に疲弊したり不意に住民に対して暴言や支離滅裂な言動が出ないよう配慮された形にもなります
も、やはり趣旨としてはAI回答の
3 業務の切り分けと安全配慮:
現状、A様に重要な業務は任されていないとのことですが、他の職員(特に質問者様ご自身)の業務負担が増えすぎないよう、課として人員配置の見直しを続ける必要があります。
A様の言動が質問者様への心理的負荷となっていることを上司に再度伝え、直接的な接触や不必要な会話を減らせるよう、席の配置や業務の分担を見直してもらうことも重要です。
に基本的に一致しています。
但しこの異動という対応が真に適切と言えるかどうかは疑問もあるところです。
異動先については職員間で閑職と周知されている
とのこと、Aさんのようなケースではこのようにいわゆる「閑職」に異動させ、それ以上の深刻な問題の発生を抑止するというのは、職場では一般的によく行われる対応です。
それが当事者本人にとって適切かどうかは別としても(やり甲斐がないという意味ではマイナスですが、これ以上の問題を起こして馘首などの結末になるよりは、職を続けられるという意味でプラスとみることもできるでしょう。つまり当事者本人への安全配慮という観点からも、いわゆる閑職への異動は不適切とは言えないとみることが不可能ではありません)、この対応が職場として適切かどうかは疑問も多々あります。なぜなら、この対応は、差しあたっては問題の顕在化や拡大を防ぐことはできるものの、問題を先送りして解決をもっと困難にするおそれがあるからです。Aさんは30代くらいとのことですので、定年までにはまだまだ年月があります。そのような職員について、このような形によって表面的にコトを治めた場合、5年後、10年後、そして20年後さらにはそれ以後に、職場の周囲の人々が深く困窮するのは少なからずあります。管理職に限らず誰でも、自分の在職中には大きな問題を先送りにして自分が無難に自分の職責をまっとうしたいと考えがちで、その結果、問題は目をそむけられたままどんどん大きくなり、手がつけられなくなるのは残念ながらありがちなことです。
(2025.12.5.)



