【4952】クエチアピン、そして断酒 (【4770】のその後)
Q:【4770】クエチアピンの副作用でパニック発作が起こることはありますか で回答をいただいた20代女性です。その節はありがとうございました。
このメールはご質問ではなく【4770】後の経過のご報告になります。
あの後、主治医にもう一度相談しクエチアピンによる加療を中止しましたが、双極性障害の症状が不安定になったため、クエチアピンは再開となりました。奇妙な発作の症状はおさまらず、またクエチアピンの服用直後でないときにも発作が起こるようになったため、てんかんを疑ってMRI検査を受けたものの(症状が側頭葉てんかんに部分的に似ているように思ったことと、クエチアピンが稀にてんかん発作の閾値を下げることがあるという情報を見つけたためです。真偽はわかりません)、脳に異常はありませんでした。
その後も、クエチアピン服用後の発作に悩まされつつ、【4770】に書いた「寝逃げ」によって対処しておりました。
さて、ここからが本題と申しますか、先生に最もお伝えしたいことになります。
医師による診断を受けたわけではないですが、私はおそらくアルコール依存症かその予備軍です。
複雑酩酊の傾向があり、飲酒によって他者に暴言を吐いたり、性的逸脱行動に走ったりなど、さまざまな問題を起こしており、またそのことを恥じていたにもかかわらず、4年ほど、ほとんど毎晩酩酊するまで深酒するのをやめられませんでした。久里浜式スクリーニングテストでは14.5点でした。
【4770】のメールをお送りしたのは、特に問題飲酒が酷かった時期と記憶しております。
しかし先月、大事な予定を二日酔いで飛ばしてしまったことから断酒を始めました。
すると、クエチアピンによる奇妙な発作の症状が劇的に改善したのです。ふわっとした離人感/現実喪失感は残っていますが、不安感などはかなり軽くなりました。
問題飲酒をしていたころは、当然、飲酒したあとにクエチアピンを服用していたわけですが、素人考えだと、クエチアピンとアルコールの相互作用のようなものによって、発作が起こっていたのではないかと思います。
珍しいケースかもしれないし、あるいはしばしばあるケースかもしれません。どちらであっても、このことを先生にご報告するのには何かしらの意味があるかもしれないと思ってメールさせていただきました。
ここまでお読みいただきありがとうございます。引き続き断酒と、双極性障害の治療に励んでいきます。
林: その後の経過のご報告をいただきありがとうございました。
クエチアピンとアルコールの相互作用のようなものによって、発作が起こっていたのではないかと思います。
それは可能性としてはあると思います。
その他の可能性として、実はクエチアピンは質問者の発作とは何の関係もなく、アルコールそのものの影響(離脱症状を含む)という可能性もあると思います。【4770】ではアルコールのことは全く触れられていませんでしたが、【4952】で初めて開示されたことによって、アルコールとの関係が浮上したということになりますが、これは飲酒問題を有する方においてよくあることです。つまり当初の段階ではアルコールのことが伏せられており、そのため、最も原因として可能性のあるアルコールについては本人以外にはわからないままになっているという事態です。いずれにせよ断酒によって症状が軽減されたことは何よりと思います。
なお
クエチアピンが稀にてんかん発作の閾値を下げることがあるという情報
それは事実です。しかしこの質問者の症状は、アルコールの影響の可能性の方がはるかに高いと思います。
(2025.5.5.)