【4871】チェックリストの得点が基準を超えればADHDの診断は確定でしょうか
Q: 23歳の男子大学生です。先日、最寄りの精神科で問診とチェックリストの結果からADHDの傾向があると言われ、現在は処方されたインチュニブを夕方に1mgを二粒服用しています。元々他のメンタルクリニックでQEEGと知能検査を受け、脳波の結果と知能検査で知覚推理とワーキングメモリのディスクレパシーが20以上あることからADHDとASDの併発型グレーゾーン(前者が強め)と診断されました。しかしそのクリニックで勧められたTMS治療の治療費が法外に高く、クリニックの診断そのものの信憑性を疑い、セカンドオピニオンとして今の精神科を受診しました。問診では昔から教科書や消しゴム、プリントなどの無くしものが多いこと、テストでケアレスミスが多いこと、授業や講義を聞くのが苦手で内職や自習をしていたこと(大学に入ってもそうです)、今でも日常生活で洗濯物の干し忘れ、鍵の持ち忘れが多いこと(週1から2くらい)、試験勉強の段取りがうまく立てれず時間的にいつもギリギリになってしまうこと(何日前からやるぐらいの計画が限界です)、その結果単位を落とし現在留年していること(親の自死で心を病んでいたことも関係あり)などを伝えました。チェックリストの結果はADHDの方が6点満点で5点(4点以上で傾向あり)、ASDの方は34点(33点以上で自閉スペクトラム症疑い有り)で後者については注意力の項目でギリギリ33点を超えててこれはADHD由来だからASDの可能性はかなり薄いなと言われました。薬は効くといいなと思いつつ飲み続けるつもりですが、結局のところ私にはADHDの確定診断がつくということなのでしょうか? ADHDかそうではないかの確定診断をしてほしいと思って受診したのですが、どちらの医者もグレーゾーンや傾向ありなどとそのことを言ってくれません(ただ2人目の医者はADHD傾向ありと言うまえに、そのことを自分に言いづらそうな、申し訳なさそうな雰囲気をしていました。)ネットには薬をもらうということはそういうことだろうと書いてあったのですが、この点に関して林先生の意見を伺いしたいです。
林: ADHDの診断は、そして大部分の精神疾患の診断は、テストで確定できるものではありません。テストはあくまでも補助的に行うものです。したがって、
チェックリストの得点が基準を超えればADHDの診断は確定でしょうか
確定ではありません。
ADHDかそうではないかの確定診断をしてほしいと思って受診したのですが
多くの場合、ADHDにおいては、そのような確定診断は不可能です。ADHDと確定診断できるのは、検査などするまでもなく明らかといえるレベルの時のみで、それ以外のケースでは、「グレーゾーンや傾向あり」とまでしか言えないのが常です。
但し「グレーゾーン」にしても「傾向」にしても、その中にはかなりの幅があります。この【4871】の質問者の場合は、かなり確定に近い方に位置していると思います。
(2024.9.5.)