【2919】非科学的な治療だと思うのですが
Q: 23歳女性です。双極Ⅰ型障害(躁うつ病)と診断され精神科に通院しています。父方の祖母も双極性障害、叔父(父の弟)がてんかんを患っています。父方の祖母の家系には精神疾患の人やそれによる自殺者がいます。(父は私には不必要な情報と考えて具体的なことは教えてくれません)
私は高校までは精神科とは無縁で育ち、18歳で実家を離れて職業訓練校に入り、課題で徹夜を繰り返す激務の日々を過ごしました。次第に、5日ほど徹夜しても疲れ知らずで活動する時期と、あまり意欲のない時期が3ヶ月位の周期で交互に訪れるのが分かりました。活動的な時期が来ると周囲は突然やる気に満ち溢れたように感じたそうです。学業の成績もハイになるほど良かったです。しかし21歳時に就職活動に失敗してから突然インターネットで到底支払いきれない程の買い漁りをするようになりました。支払いに追われてアルバイトが増えて学校に行けなくなり、次第に鬱になってアルバイトも行けなくなりました。19歳の頃から通っていたスクールカウンセラー(臨床心理士)に、評判が良いというクリニックを紹介されて行ってみたところ双極Ⅱ型障害と診断され治療が始まりました。その開業医Aとしますは「Oリング」という方法で薬の合う合わないを判断していました。(左手の親指と人差し指で輪をつくり、右手に薬を乗せ、左手に作った輪をA医師が両手で力いっぱい解こうとして解けなければ合う薬、解ければ合わない薬)確かに輪が解ける薬と解けない薬があったのですが、なぜこのような非科学的な方法で調べるのかと聞いたところ「合うから合うんだ」と曖昧な答えが返って来ました。今思えばその時点で病院を変えればよかったのですが、薬でぼーっとして頭の回らなかった私には何の疑問も持てませんでした。A医師はOリングに基づいて沢山の薬をためらいなく出し、薬を飲む度に次々にせん妄や幻聴などの症状が現れ、それを訴える度にまた新しい薬が出て、薬が雪だるま式に増えていくということの繰り返しでした。当時の記憶が曖昧なので用量などは覚えていませんが、躁の時にはリーマス、テグレトール、レキシン、デパケン、セレニカ、バレリン、リボトリール、リスパダール、ロドピン、セロクエル、ルーラン、マイスリー、べゲタミンA、A医師がOリングによって勧める漢方2種を飲んでいました。(鬱の時はリスパダール、ロドピン、セロクエル無し)人気の病院で3~4時間待ちは当たり前、診察は5分で一方的な精神論を語り、薬だけをどんどん出すことが多かったです。どんどん調子が悪くなっていきました。A医師の下で治療を始めてから半年後には一人暮らしがままならなくなり実家に戻りました。家族は私が快適に過ごせるよう配慮してくれましたが調子が上向きになることは無く、自殺願望が強くなって自ら入院を希望しました。担当となったB医師はまず薬の多さに疑問を持ち、不必要な薬を外しては様子を見ると言う作業が繰り返されました。1日にリチウム200mgにまで減らした時には無性に激しい怒りがこみ上げてきて、病院のスタッフや他の患者に危害を加える・病院の什器を壊すなどして2週間ほど保護室で過ごしました。最終的には朝夕リチウム800mg・リボトリール0.5mg、就寝前ロヒプノール2mgで落ち着きました。現在も継続して飲んでいます。学校は退学になりました。家事手伝い程度なら活動できますが社会生活はままならない状態です。
長くなり申し訳ありません。ここでお聞きしたいことがあります。
・A医師の行っている「Oリング」とは正しい判断基準なのでしょうか。
・A医師の処方で病状が悪化した結果、入院した病院で私の診断は双極Ⅱ型からⅠ型に変わりました。多種類の薬の投与によって病状が悪化することはあるのでしょうか。もし私がA医師により悪化させられたのだとしたら、病院を変えなかった私が悪いのですが強い憤りを感じます。
・また上記のように悪化することがあるとしたら、適切な治療を行えば回復に向かっていくのでしょうか。
以上、御回答を頂ければ大変嬉しく思います。
林:
・A医師の行っている「Oリング」とは正しい判断基準なのでしょうか。
正しいはずがありません。論外です。
・A医師の処方で病状が悪化した結果、入院した病院で私の診断は双極Ⅱ型からⅠ型に変わりました。多種類の薬の投与によって病状が悪化することはあるのでしょうか。
A医師の治療(とはいえない行為)によって質問者に生じた病状の変化は、病状そのものの悪化(治療がなされていないのも同然ですので、悪化するのは当然です)と、不適切な投薬による副作用の両方でしょう。診断の変更に関しては、直接の関係はありません。質問者はもともと双極Ⅰ型だったと判断できます。当初の状態は、あるいは診断基準的にはⅡ型だったかもしれませんが、このようなケースでは、「本来は双極Ⅰ型だが、発症当時はあまり強い躁状態は現れなかったので、診断基準上はⅡ型とせざるを得ない」といえます。臨床的にはよくあることです。
・また上記のように悪化することがあるとしたら、適切な治療を行えば回復に向かっていくのでしょうか。
もちろんです。
(2015.3.5.)