【2920】アスペルガーの検査と薬について
Q: 現在30歳の男性です。昨年、医者から、「あなたは自閉症の要素がある」と診断されました。私は、それ以来、自分をアスペルガー症候群だと自己診断しています。(私を診察してくださった医者はあえて自閉症者、アスペルガー症候群という単語を用いての断定はしませんでした。その理由としては、決め付けをしてしまうと論争がおこる場合があるからだそうです。)
その病院で診察を受けることになった経緯を説明しますと、私は長年、うつ病に苦しんできました。社会人になってから、その兆候は顕著になりました。いわゆる、社会に出て社会不適合が露呈してきた感じです。
そして昨年とうとう自殺未遂をしてしまい病院に搬送されました。(方法は、バイクで公共の壁に激突するというものです)。結果、骨折に加え、数か所の強い打撲で身体面の治療+精神面での治療が並行して行われました。
当時、私は向精神薬をODした状態で精神科の先生と面談したのですが、先生はほぼ一発で私が発達障害であることを見抜きました。ちなみに、向精神薬はデパス15mgほど、レキソタンを25mgほど、ロヒプノールを8mgほどです。
診断に使われた方法は、脳のMRI,脳波、脳の血流、知能テスト(WAIS-R)、でした。
12日間に及ぶ入院生活の結果、先生から言われたことはまず、MRIの画像を見て「あなたの脳は少し特徴的な部分があって、視覚的な部分が普通の人より発達している」、それとあと一つ脳の形で言われたことがあるんですけど、忘れてしまいました。それから脳波に関しては「ここを見てください、ここの波形が普通の人と違うんですね、これはあなたの脳の一部が発達していないことがわかります、てんかんを患う人でも波形が乱れることがありますが、あなたの場合はてんかんではありません、脳が未発達なところがある可能性があります」のように言われました。また、知能テストでは言語性検査88点、動作性検査67点で20点以上の開きがあり、これも特徴的だと言われました。先生がおっしゃるには、「予測不能な突破的な出来事が起こった場合、私が、慌てる、びっくりする性格の持ち主」と言われました。社会人として仕事をしていた時は確かにそういう節がありまして、いつもびくびくしていました。
私自身、過去を振り返ると自閉症的要素が自分にはあったと考え、今では自分で自分のことをアスペルガー症候群と思っています。
理由を申しますと、幼いころから友達は一人か二人であった。両親に甘えることが少なかった。思春期になると感覚過敏になりはじめ高校生活は辛く、初めて就職した自衛隊では集団生活における不適合に陥り、半年で辞めた。雑談が苦手で、相手の考えてること、気持ちがよくわからない、そのためか、自己中心的である。大学時代は一人で行動でき落ち着けていて、なおかつ好きな英語にはまり22歳の時点でTOEIC900点近い高得点を獲得できた(集中力がすごかったです)。
そこで質問です。
1現代の医学では脳のMRI、脳波でアスペルガー症候群を見極めることは証明されているのでしょうか?(医者の間でも意見が分かれているとのことでお聞きします。)
2アスペルガー症候群は治らない障害なのです。しかし、アスペルガー症候群を患う人には感覚過敏の人が多く、向精神薬を用いて2次障害を和らげることは、患者さんにとってとてもサポートになると考えていますが、林先生の意見はどうでしょうか?(アスペルガーに処方する薬はない、とよくネット上で見かけるので、私はそれは違うんじゃないか?という思いでお聞きします)
林:
1現代の医学では脳のMRI、脳波でアスペルガー症候群を見極めることは証明されているのでしょうか?
されていません。
2アスペルガー症候群は治らない障害なのです。しかし、アスペルガー症候群を患う人には感覚過敏の人が多く、向精神薬を用いて2次障害を和らげることは、患者さんにとってとてもサポートになると考えていますが、林先生の意見はどうでしょうか?(アスペルガーに処方する薬はない、とよくネット上で見かけるので、私はそれは違うんじゃないか?という思いでお聞きします)
「向精神薬を用いて2次障害を和らげることは、患者さんにとってとてもサポートになる」という点については、その通りです。
なお、
アスペルガーに処方する薬はない、とよくネット上で見かけるので私はそれは違うんじゃないか?という思いでお聞きします
ネットの情報はあてにならないのが当然ですから、ネット上のいかなる情報についても「それは違うんじゃないか?」と考えるべきです。さらに言えば、ネットの情報について「それは違うんじゃないか?」と考えた結果、それをネットで私に質問するのは論理矛盾です。
(2015.3.5.)