【3906】10年以上が過ぎ、あの頃が嘘のように穏やかに生活しています(【1708】のその後)

Q: 2010年に【1708】長年、気分に波があり、医師からは「何年も治らないうつ病は境界性パーソナリティ障害に決まってる」と宣言されました で回答いただいた40代女性(今は50代になりました)です。

最近ふと、林先生の所へご相談したな、と思い探してみたら【1708】を見つけました。その内容の凄まじさに自分でも驚いてしまいました。書いている薬も、飲んでいたっけという感じです。お薬には割と詳しく、新薬が出ればリクエストしたりしていた割に忘れるものですね。

前置きが長くなりました。

私の診断名は、林先生の回答の、「単純型統合失調症ではなく、典型的な双極性障害です」とのご指摘通りでした。

経緯は、【1708】の投稿の後、同じ年に自殺未遂をして入院。落ち着いてから退院。またしばらくして、うつ状態というにはあまりにも無気力で何の感情もなく、何も出来ない生活が苦しく、主治医に入院したいと訴えました。

入院はさせてもらいましたが、それまでの入院では今から思うと明らかに躁状態だったので、他の同世代の入院患者さんたちとわいわい楽しくやっていたんです。30代半ばです。

私の自己申告が「死にたい」だったので、主治医は境界性パーソナリティー障害のうつ状態との認識で、躁状態に対して抗うつ薬をMAXで処方されていました。主治医が元々の穏やかな私の性格を知っていればこうはなっていなかっただろうし、また、夫が、彼女は元々そうではないんです、といった事を話してくれていれば、この時点での誤診はなかったですよね。

途中違う話を挟みましたが、無気力無感情の極致で入院したものの、それまでの入院とは違い、他の患者さんとの交流もなく、お薬変更もなく、全く無意味な入院だと判断したので、2週間程度で退院しました。

退院後も苦しい寝たきりの生活が続きました。(誤診でしたが)単純型統合失調症には抗精神病薬だと知ってはいましたが、あまりに無気力で苦しかったため、抗うつ剤の処方をお願いしました。単純型統合失調症に抗うつ薬が効く訳ないでしょ、と何度か断られましたが、私はしつこくお願いして、仕方ないな、でも効かないよ、と。そしてあの当時で、まずジェイゾロフト、そしてサインバルタが出て来てからサインバルタ。これで嘘のように希死念慮が消え、少し楽になったんです。

その時に初めて主治医は、双極性障害だ、と言いました。

そこからは早かったです。2年ほどでよくなり、その後4~5年状態がよかったです。これを寛解と呼ぶのでしょうか。

その頃は、同じご病気の方のぴあカウンセリングをしたり、何もないけど穏やかな生活を送っていました。

「誤診です、転院をお勧めします」と林先生から【1708】でアドバイスはいただいていましたが、今も同じ主治医です。

現在は睡眠に難があり、でも習い事をしたり好きな事に関しては外出したり、QOLはかなり向上しました。ただ、今もやはり身体が重くしんどいのは1日中続いていて、これは他にある持病の糖尿病のせいか、または、完全にはよくならないから、この程度で折り合いをつけるところなのかなと思っています。

10年もの時間がかかりましたが、現在の様子のご報告でした。

 

林: 経過のご報告をいただきありがとうございました。正しく診断され、適切な治療を受け、著明に改善されたご様子、何よりと思います。さらなる改善と安定を願っています。

(2019.11.5.)

05. 11月 2019 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 躁うつ病 タグ: |