【3822】私にだけ病的な虚言を吐く知人

Q: 私は20代女性です。
病的な虚言癖を持つと思われる知人男性についてご相談します。 (補足:彼は外国人で以下に書く職業等は彼の母国のものになるため、日本の同じ名称の職業<公務員>とは少し違う話も出てくるかもしれません。一応補足しておきます)

知人(Aとします)と知り合ったのは約半年前です。

Aは口達者でコミュニケーション能力が高く、すぐ人と打ち解けるタイプで私もすぐに仲良くなりました。
Aは知り合ってすぐに自分はすごく頭が良いことや某都市の偏差値の高い大学に通っていたことを示唆し、在学中に公務員試験に受かったため大学を休学し現在は公務員として働いている、月収は40万を超える、もうすぐ昇級試験があり試験に受かれば月収は80万になる、またその試験に受かった後は大使館で働く予定だと言いました。 Aの話には現実味があるように感じられ、私はAを尊敬していました。

しかしAに違和感を覚えることもありました。
公務員で非常に忙しいのかと思えば、平日のうち2日は仕事を休んで家にいて、私に電話をかけてきました。なぜ休みなのか聞くと「公務員はワークライフバランスが良く、休暇がたくさんあるんだ」と言いました。昇級試験も近いから休んでたくさん勉強をしているとも言いました。
ある日彼女ができたと喜びながら報告してきました。しかしその数か月後の早朝、泥酔した状態で電話をかけてきて「彼女と別れた。すごくつらいけど、つらい気持ちの時頭に浮かんだのは君だった」と言い、試験に受かったら日本の大使館で働くから待っていて欲しいと言われました。
酔っ払いの戯言だとは思いましたが、少し期待する気持ちがなかったといえば嘘になります。
ですがある時、AのSNSで彼女らしき人を見つけ、その子のSNSを見てみると別れたと電話をかけてきた日以降にも何回もデートをしていることが分かり、その時はよりを戻したんだと思ったのでAによりを戻したんだねと言うと否定してもう1か月も会っていないと言いました。何かおかしいとは思いましたが、深くは追及しませんでした。

それからもAと話していて何かが変だな、話が違うなと思うことがあり不思議に思っていました。

最近Aとの共通の知人(Bとします)とよく会うようになりました。
AからAの友人は何人か紹介されており、Bもその一人でした。
Bと仲良くなってから、Aの言動が明らかにおかしいということが分かってきました。

雑談話をしていたときAの話になり、BがAの仕事や試験、彼女のことについて話しました。それは私が聞いていたものと全く違いました。箇条書きで書きます
1 Aは公務員ではない
2 試験を受けるのは本当だが大使館で働くような部門の試験を受けるのではない
3 実際にはアルバイトをして生活している
4 彼女とは別れていないし、最近もデートに行っている
5 彼女とは私と出会うずっと前から付き合っている

それを聞いてAに問いただすと、最初はBの言っていることがおかしいと言って怒っていたかと思うと、非を認め彼女のことに関してだけ嘘をついていたと謝り、仕事について聞くと「誤解があった」と言い、追及すると狼狽して話を逸らし、最後には逆切れして連絡手段はすべてブロックされました。
Bはお互いに誤解があったのではないか?と間に入って仲裁するような姿勢を見せていますが、私は「誤解」などではなくすべてAの「虚言」だと思います。
BはAのことを「嘘をつくような人間ではないはず」と言います。
二面性があるのでしょうか?なぜ私にだけ嘘をついたのか、なぜ嘘をつく必要があったのか分かりません。

長くなりましたが、Aは病的な虚言癖のように感じられます。
境界性パーソナリティー障害の知人がおり、Aの虚言癖はその知人と少し似ているような気もします。
Aはパーソナリティー障害なのでしょうか?
虚言癖の人が、ターゲットを定め、その人物にだけ虚言を吐くことはあり得るのでしょうか?
Aにはどのような対応を取ることが良かったのでしょうか?

 

林:
私は「誤解」などではなくすべてAの「虚言」だと思います。

その通りでしょう。

BはAのことを「嘘をつくような人間ではないはず」と言います。

病的な虚言のある人の多くは、周囲からは「嘘をつくような人間ではない」と見られているのが常です。

二面性があるのでしょうか?

それを二面性と呼ぶことも可能ですが、それよりも病的な虚言とまとめたほうが正確でしょう。

なぜ私にだけ嘘をついたのか、なぜ嘘をつく必要があったのか分かりません。

あなたにだけ嘘をついていたと結論するのは早すぎます。他の人に嘘をついていないと考える根拠がありません。もちろんついているとする証拠はありませんので、現時点では、「あなただけに嘘をついていたのか、他の人にも嘘をついていたのかはわからない」が正しい見方と言えますが、このAさんの嘘のつき方からみて、虚言が常態化している、すなわち、他の人にも嘘をついていたと考えるほうが妥当でしょう。

Aはパーソナリティー障害なのでしょうか?

このメールの情報だけからはわかりません。
ただし、病的な虚言は一部のパーソナリティ障害と密接な関係にあります。林の奥 美少女L、その他、の虚言 や、虚言癖、嘘つきは病気か もご参照ください。

虚言癖の人が、ターゲットを定め、その人物にだけ虚言を吐くことはあり得るのでしょうか?

そういうパターンもあり得ます。その場合、一人の人物だけがターゲットということはなく、複数の人物であるのが常です。つまり、はっきり言えば、「この人なら騙せる」と判断した人物をターゲットにするということです。

Aにはどのような対応を取ることが良かったのでしょうか?

実質的な被害を被る前に虚言であることに気づくことができてよかったと思います。これからは、世の中には病的な虚言の人は想像以上に多いということを認識することが必要でしょう。

(2019.5.5.)

その後の経過(2019.7.5.)

05. 5月 2019 by Hayashi
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