【3733】20 代の息子が異常に怒りっぽくなった

Q: 51歳男性です。息子のことで相談させていただきたいです。
息子は大学卒業後ある企業で働いています。
1年半ほど前から感情的になったように感じます。
たとえば、1週間前のことですがパンフレット、数枚同じのがあったので1枚だけ残して処分したのですが、それに気づいて 「なんで捨てたんだよ」ここまではわかります。
その後、「なんで!信じてたのに!」とか「拾って来い!」「あんたのことを信用できないの~(ミュージカル調)」 と、例の豊田真由子議員?みたいに怒ってみます。その後「自分ではいらないのわかってるのに」と自責的になるがこれも叫びながら言います。仕方がないので処分先に連絡して見つけてもらい、ヒステリーは治まりました。
また、いうことがコロコロ変わる?症状も見られます。
たとえば、ゲーム漬けの生活をやめようと思い立ち、売っといてと言われました。そこで、近くの中古本屋に打ったのですが、その後なんでない!と言って、その本屋に怒鳴りこみました。さすがに迫力に負けたのか買い取り金額で戻したそうです。
しかもその後「なんで勝手に売る!」と言われました。
また、記憶力が落ちました。
以前は、言われた予定をすっぽかすことはまずなかったのですが、最近では、たとえば、ある勉強会にエントリーしたそうですが、それを失念して当日いかなかったことがあります。しかも数回。
また、不眠があります。正確に言うと入眠が難しいのです。1時間弱かかるので8時には家を出ないといけないので、7時に起きる、そのためには大体1時には寝たほうがいいと思うのですが、その時間になると焦燥感?が出て、強迫的に何かを始めます。
たとえば、この間持ってきたお菓子どこにやっただろうかこの間の書類どこにやっただろうか探したりパソコンで何か文章を作ったりします。そうでなくても入眠時間になるとテンションが上がるようで、結局ねるのは4時とかになってしまうことがあります。ただ、遅ければ遅いほど不思議と早く起きれるようなのですが。

さすがに異常だと思い、本人も異常さを感じてたようで3ヵ月前に病院に行きました。
そこの病院では、心理検査、生育歴、現在の症状などの問診を受けた結果、 昔でいうアスペルガー、現在の標準でいうと広汎性発達障害ではないか。
就職がストレスになった、あるいはなんらかのショックな出来事があって、それの結果破綻が生じたのではないかということです。
たしかに幼いころからコミュニケーションに難があったり、細かい趣味に走るなど特徴的なことがありました。
ただ、気になるのは、一切薬を処方されなかったことです。
たしかに、最近では薬漬けというのはよくないし、発達障害の場合薬の副作用が出やすいとお聞きします。
しかしながら、まったく出ないのもどうなのでしょうと思いました。
ちなみに本人の意向としては薬でも何でも落ち着くなら試したいと言います。
とりあえず、通院することが大事と思い通院してみていますが、治る気配が無くむしろ悪化しているのが気になるところです。
話は聞いてくれますが10分程度です。
これは、医学的に標準なのか、適切なのか林先生の見解をお聞きしたいと思います。(無論最終的には主治医の意見を尊重したいと思いますが、回答によっては主治医に薬物療法などについてもお伺いする予定です)

 

林:
そこの病院では、心理検査、生育歴、現在の症状などの問診を受けた結果、 昔でいうアスペルガー、現在の標準でいうと広汎性発達障害ではないか。
就職がストレスになった、あるいはなんらかのショックな出来事があって、それの結果破綻が生じたのではないかということです。

この診断は適切だと思います。

たしかに、最近では薬漬けというのはよくないし、発達障害の場合薬の副作用が出やすいとお聞きします。

この認識は誤っています。
薬漬け」というのは、本来必要のない量の薬を投与することで過剰に鎮静することを指しますから、「最近では薬漬けというのはよくないし」という記載は無意味で、よくないのは最近も昔も同じです。
また、発達障害の場合薬の副作用が出やすいということはありません。

ご質問のポイントである、このケースに薬が必要か否かということについては、わかりません。発達障害の治療では、薬が必要なことも必要でないこともあります。
この【3733】については、薬が処方されていないことは記載されていますが、ではどのような治療が行われているかの記載がありませんので、治療の適切性については判定不能です。
もっとも、

通院してみていますが、治る気配が無くむしろ悪化しているのが気になるところです。

という状況だとすれば、少なくとも薬物療法を考慮すべき段階であるとは言えるでしょう。

主治医に薬物療法などについてもお伺いする予定です

そうすることをお勧めいたします。

なお、薬の必要性については、ADHDの薬、それは治療か商売かもご参照ください。(ADHDと発達障害は同じではありませんが、薬物療法の適否の考え方については共通点があります)

(2018.10.5.)

05. 10月 2018 by Hayashi
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