【2850】虚言、自殺未遂、性的虐待

Q: 私は16歳の女性です。この度は、自分自身の病名、解決方法を林先生に質問したいと思い、メールさせて頂きました。先に自覚している症状なのですが、日常の中で頻繁に嘘をついてしまいます。例をあげると、知らないことを知っていると言ってしまったり、全く自分には関係のない人のことを友達と言ってしまったりです。とてもささいな事なのですが、クチから出任せでどんな状況でも自分を有利に見せようとしてしまいます。

また、過去を振り返って気付いたのですが、大事なものほど傷つけたくなる性格らしく、仲の良い友達がイジメられるように仕向けたり、嫌われるように仕向けたりしてしまうのです。そしてわざと関係を壊したあと後悔するのに、何度も何度も繰り返してしまいます。

次に、私の母親や過去に診察してくださった先生、カウンセラーさん等が言っていたことなのですが、母親から見ると私は、「気まぐれで、自分を可哀想な子だと思い込んでいる」そうです。多分気まぐれというのは、「再婚する母に着いて行く」と言ったり「やっぱり止める」と言ったり「施設に入る」と言ったり、その日毎で言っていることが変わるのが原因だと思います。上記については、私は極端に性行為を嫌っているので、出来る限り新婚さんの中には入りたくないと思っての行動でした。可哀想な子だと思い込んでいる、については、過去のリストカット、自殺未遂、「死にたい」等の言葉が原因だと思います。不甲斐ないことに、しっかり死ねていないのです。母親曰く、私は甘いのだそうで、「私だって精神科通うように言われてる。でも貴方ほど心が弱くないから平気。」なんだそうです。

診察してくださった先生からは、「PTSDと、境界性人格障害の可能性があるのでは」と言われました。PTSDは私の最初の父親の暴力が原因では、と言われましたが日常生活において思い出すことはほとんど無いです。それより、過去に実の兄に無理やり性行為をせがまれた事の方を、今更ですが高校生になってからは思い出してしまいます。

境界性人格障害については、本を読んだのですが家族から見捨てられることに不安は無く、正直、母親を心底愛しているし感謝もしていて尊敬もしていますが、死んでも構わないと思っています。もっと言うと、死んでくれると私の人生が二転三転して楽しくなると思ってしまいます。幸せになって欲しいとは思っているのですが…。

カウンセラーさんからは、「賢くて良い子」だと言われています。自分でも相手が何を言われるのを望んでいるか分かるので、あたり触りのない発言をしています。その結果、他人に好意を寄せられても言葉の裏側を読み疑ってしまい(自分の考えが正しいと思ってしまって)最後には傷つけてしまいます。カウンセラーさん曰く「病気ではなく、深く考えてしまうだけの女子高生」だそうです。

以上が症状についてです。

今までの経歴は、実父からの暴力(女の子だった為、殴られたのは1回だけ)、実兄からの性行為(?歳〜6歳,小5)、リストカット(小5〜中2,今では一年に2回程度)入院(中3の間に4回),通院(中2〜現在)親の再婚(今年の4月)です。この頃は再婚相手の方を好ましく思っていて、不満など何も無いハズなのに死にたくて仕方なく、遺書に書き準備をする毎日です。

自分の病名を知り、解決方法を見つけることで、私自身生きる気になれば良いなと思っています。長くなってしまいましたが、林先生の御意見を聞けると嬉しいです。

林:
・リストカットなどの自殺未遂
・虚言
・過去に虐待(主に性的虐待)
・時に健忘(記憶障害)
・性行為に対する、普通とは違った考え方
・医師からPTSDと、境界性人格障害の可能性があるのでは と言われた

これらから浮上するのは、【1909】幼児期のトラウマとパニック障害は関係ありますかや、【1926】母からの暴行、義父からの性的虐待、どちらも記憶が曖昧などでご紹介した複雑性PTSDという診断名(ハーマン『心的外傷と回復』で提唱されている診断名)です。
但し複雑性PTSDは、【1926】の解説にもお書きしたとおり、公式に認められている診断名ではありません。むしろ解離性スペクトラムと呼ぶべきという意見もあり、私もそのほうが適切であると考えています。

自分の病名を知り、解決方法を見つけることで、

解離性障害についての精神科Q&A、特に【1901】 から【1948】は、この【2850】のケースの理解に役立つと思います。だからといってシンプルに解決方法が見つけることが出来るという性質のものではありませんが、解決への道筋にはなるでしょう。

(2014.12.5.)

05. 12月 2014 by Hayashi
カテゴリー: PTSD, パーソナリティ障害, 境界性人格障害, 性に関する問題, 精神科Q&A, 虐待, 虚言, 解離性障害 タグ: |