【2666】悪い性格と人格障害の境目は?
Q: 20代後半の女性です。質問が多くあるのですが、項目別に分割して送信させてください。まずは、「躁うつ病」と診断されている母について、人格障害なのではないかと、疑っています。ただ、私自身の精神衛生のため、母の病院まで行く気力はなく、母が自分で自分の都合の良いように病院で語っていると思います。「躁うつ病」であることは、日々の行動と、同じ精神科へ通っている母の夫から聞きました。 躁うつ病であると、病名と母のこれまでの症状を認識できたのは、本当つい最近、ここ数年です。随分前から、自分の母はなんらか、精神的におかしいと思っていましたが、幼稚園から高校まで、母とはそう言うものと思っていました。 主な症状は、(1)常に他人・自分の親、町内会や近所の人、自分の家族・夫の悪口を言う、(2)夫婦喧嘩(大声)や罵りあいが日常、(3)娘に「私(母)がそんなに気に入らないのなら自殺しようか?」といいにくることがある、(4)なんらかの問題の責任転嫁を他人・環境のせいにする、自分が悪いという反省はない(5)自分はどれだけこの世の中で可哀想か、我慢してきたか、家族や他人に言いまくる、(6)結果、友達は去っていく、(7)友達が去ると新たな友達がほしくSNSのオフ会や、読書会に参加するなどしてすぐにメルアド交換をして、家族構成から何から何までプライベートをさらけ出す(相談?)(8)躁状態の時は、自分が世界で何もかもしってる正しい人物のように振る舞い、かつ、薬を飲まない。(9)アルコール依存症は診断されていないが(たぶん本人は病院で酒について言っていない)、アル中という言葉を知らない小さな頃(小学生前半)から、アルコール依存症の傾向が強く、今も時々町内会から電話があり、アルコールを飲み暴れているので迎えに来てくれと電話が来る、(10)この母のために、家族崩壊、家族の精神状態悪化、親族・親戚からも疎遠に。(11)依存傾向が大変強い。私たち兄弟姉妹が子どもの頃は、子どもの友達は母の友達という感覚で過度に干渉しにくる、成人後は、大学や勤め先に母の主観では「重要だったから」と常識の超えた用事で電話をかけて来ます(当時携帯電話を持っていなかった)。また、優しくしてくれるカウンセラーや相談者のような人には過度にメールを送ります。病院はころころ変えているようですが、ここ3年くらいは夫と同じところを通っています。(8年前、家庭内・社会事件が起きてすぐ、夫が精神科医を訪問した時は「夫はずるい、軟弱だ、何かあればすぐに精神科医に行くなんて」と罵倒していました。これは(1)の例です。私からみれば、仕事に支障がでてしまうくらいショックな事件が起き、精神的ダメージを受けたのなら、病院へ行くのは、まっとうな判断と思います。 また、子ども時代は暴力的でした。私自身記憶が飛んでいて、ストレスや不安が強いときに、悪夢として昔の記憶がよみがえったり、姉妹と話すことで、記憶がつながります。また、従兄弟に話したところ、母のあらゆる言動や行動は普通の家庭の親ではない、と言われ、普通でないと、再認識したのも最近です。今回、「性格の悪さと”人格障害”との違い」を知りたくてメールしました。『人格障害』とはとても恐ろしい言葉に聞こえます。しかし、母は特に(1)が顕著。性格が悪いといえばそれで、すみますが、何故そこまでして、激しい喧嘩口調・言い回し・言葉使い・目つき(執念と恨みでにらみつけるような目)で言うのだろうか、と最近ようやく冷静に考えることができるようになり、母を病人として客観的に接するように、してます。 以上、長くなりましたが、母の事例を書きました。単に性格がわるいことと、人格障害の違いを知りたいのは、母の例にとても類似した、友人(女性)に最近出会ったためです。この友人も(1)(4)(5)(6)の傾向が非常に強いからです。
林: お母様はパーソナリティ障害(人格障害)でしょう。しかし、躁うつ病の一型である双極2型障害という診断になることも考えられます。近年ではこの双極2型障害という診断名がいわば流行のようになっていることがその背景にあります。けれどもこの【2666】のケースはパーソナリティ障害という診断が正しいと思います。
『人格障害』とはとても恐ろしい言葉に聞こえます。
そのように感じられる方が多いことから、現代ではパーソナリティ障害が正式な診断名になっています。もちろんこれは名前を変えただけの欺瞞ともいえます。
「性格の悪さと”人格障害”との違い」を知りたくてメールしました。
パーソナリティ障害(人格障害)は、性格が「悪い」のではなく、性格が「偏っている」ことを指します。良い・悪いといった、道徳的な意味は一切ありません。
ただし、「パーソナリティ障害は、性格の偏り」という考え方は、変化しつつあります。「性格の偏り」というからには、「病気」とは一線を画するという印象が強くなりますが、「病気」に分類される精神疾患と比べて、パーソナリティ障害が異質であるとは言い切れないからです。
(2014.5.5.)