【2506】近い将来、妄想性障害の母は一人暮らしになります(【2094】、【2205】のその後)

Q: 【2205】入院して良くなった妄想性障害の母が、薬をやめたら元に戻ってしまいました【2094】妄想性障害の母を医療保護入院させました‏ で相談させていただいた40代男性会社員です。 結局、あれから1年間が経過しましたが、母(70代)はその後妄想障害に関する精神安定剤(エビリファイ)の治療を行わず、老夫婦二人でなんとか暮らしていました。薬でコントロールできないので一緒に暮らしている父(70代)に妄想が向かったりして大変でした。父が家出をすることで母の妄想から避難するなど、あまりよい解決策ではない方法で父が面倒を見てきました。 しかし、その父に夏、食道がんがみつかり、手術もしたのですが、余命数か月宣告をされる状況に至りました。現在は、息子である私が医師から状況を聞いており、余命宣告を父と母に伝えるべきか悩んでいます。 当事者である父の心情を慮ることはもちろんですが、母の症状が悪化することは確実な深刻な話でありどう伝えるべきか。 母を精神病院に入院させることが、父の余命を自宅で過ごさせるためには必要ですが、父との最後の時間を引き裂くことが果たしてよいことなのかどうか。 父の余命は数カ月とのことなので、何れ母は一人になります。 妄想障害はありますが、一通り生活ができる状態なので、最初は一人で暮らすというでしょう。しかし、妄想障害は70代になっても一向に衰える気配はなく、家の中で叫んだり道端で妄想のある隣家に向かって罵詈雑言を言ったりしています。 幸い地元の保健所、警察、民生委員の方と連携をして、何かあれば連絡が来るようになっています。 父は、昨年、母を医療保護入院させたことを悔いている様子で、遺言には「母を入院させないこと」という希望を載せているようです。父の死後、母の保護者は私になるので、状況が悪くなれば医療保護入院の実行は可能なのですが、遺志を無視してよいのか悩みます。 普通の家庭ならば、母の一人暮らしが難しければ、一緒に暮らすという選択があると思いますが、妄想障害があれば一緒は難しいと感じています。 先生も事例集などで指摘されていますが、妄想障害等のある人が、社会的孤立をして一人寂しく暮らしているという未来の母の姿をどうやって回避してあげればいいのでしょうか。 妄想障害が進み、荒廃の状態になってしまう(父の死が引き金となるなど)ことも心配しています。 精神障害者の独り暮らしの問題と妄想障害等の精神医療の問題。家族としてどう対処するべきなのでしょうか。難しい判断を迫られてとても悩んでいます。

 
林:
遺志を無視してよいのか悩みます。

そのお気持ちは理解できますが、

父は、昨年、母を医療保護入院させたことを悔いている様子で、遺言には「母を入院させないこと」という希望を載せているようです。

これは決してお母様のためにならないことです。必要なら入院治療を受けさせてあげるべきです。

さらに言えば、

普通の家庭ならば、母の一人暮らしが難しければ、一緒に暮らすという選択があると思いますが、妄想障害があれば一緒は難しいと感じています。

同居もできない。入院治療も受けさせない。それは最悪の対応です。

(2014.1.5.)

05. 1月 2014 by Hayashi
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