【4124】躁病は治らないというのがかつての医学の定説だったのでしょうか
Q: 私の夫(40歳)が躁病と診断され休職中です。 主治医からは、珍しいくらい教科書どおりの症状がハッキリ出ている躁病ですといわれました。 そこで、治療を開始したのですが、始めのころは、入院したいと本人がいう事もあったのですが週末や連休を挟んだため、入院はせずに自宅療養でした。自宅で様子をみましょうということだったのですが、この頃、多幸感より、イライラ、不満が増してきたようで突如として怒鳴り始めたり、怒鳴ったかと思うと次にはけろっとした表情になったり、また、私が知らないうちにどこかに電話しては怒鳴りつけたりその他、迷惑な行動が出続けているため、やはり入院をさせたいと思っているのですが、本人が渋るようになりました。 主治医からもシッカリ言われるのですが、夫は、医療従事者で、学校で精神科の勉強や実習は精神病棟だったとかで、多少の知識があるためなんだかんだと理屈をくっつけます。 夫は、自分の知識で「躁病は治らない精神病だ」と言ったり「躁病はわれわれの世界では治らないと学校で教わった」と、主張します。 私はケアストレスカウンセラーの資格をこの頃取得したため、私も多少の知識を持っています。 私は「私の見た教科書にはそうは書いてなかったけどなあ・・今躁病はメンタル疾患で気分障害だよ。治らない精神病とは書いてなかったと思うけど・・・」 と、言うのですが 「そうなの?じゃあ俺の勉強した内容が古くなっているのかな」 と、いいつつも、やはり、治らない、精神病だ、精神病者だ、 「俺は元の医療機関では働けない。精神病者は医療機関には従事できないんだ」 と、言い張ります。 また、「入院したら廃人になる」と怖がります。 「入院したら帰って来れなくなる」といいます。 私は、「入院するのは、気分を早く安定させるためで、少しでも早く良くなって、欝にならないための予防でもあるし入院してシッカリ治療したほうが、復帰するにも早いんだと思うよ」 と、話すのですが、ものすごく思いつめて怖がります。 「精神科になんて入院したら、俺はもう職場には戻れない。精神科に入院したことがわかれば、回りの人間は俺を見る目が変わる。お前は送り出すほうだからいいかもしれないけど、俺は入れられて治療される身だ。治ったとしても、周りの俺を見る目が変わるんだ。。それに俺が耐えていかなくちゃいけなんだぞ・・」 と心配します。 そんなことは、全くないんじゃないかと言うのですが 「お前は精神病になった人間のことを知らないからだ」 と、ふてくされてしまいます。 主治医からも説明、説得していただいているのですが、その場では、大人しく指示に従うものの家での私の前ではそのような態度。 さらに、 「医者ってのはな、薬を一種類増やすごとに儲かるんだぞ。入院させたら、もっと儲かる。お前は医者に乗せられてるんだぞ」という事もあります。 ですので、私は「そういう角度から見るのではなくて先生は、あなたの体を治してあげたくて心配してくれるんでしょう・・・」 といえば「俺の精神病は治らないんだよ。。わからんやつだな・・」 と、イライラしてしまいます。 夫の、「治らない」という主張と「入院したら終わりだ」という 思い込みを何とかほぐしたいため、このような話はそう状態が比較的治まって私の話を聴いてくれそうなときに話してみるのですが、話題にすると興奮してしまいます。 夫の不安や思い込みをほぐすためには、どのように接すればいいのでしょうか? また、夫は40歳ですが、約20年ほど前は躁病は治らない精神病 というのが医学的な定説だったのでしょうか?
林: そんな定説はありません。誤った知識を持っているか、あるいは、入院したくないために故意に誤ったことを言っておられるのだと思います。
なお、治る・治らないというテーマとは無関係ですが、現在では「躁病」という病名はなく、双極性障害の躁状態として位置づけられています。つまり、躁だけを繰り返す病気は存在せず、必ずうつ状態が現れるというのが精神医学での優勢な考え方になっています。
(2020.9.5.)