【3948】自分がいかにすごいか話したがるあの人の病名はなんだったのか

Q: 私は30歳女性です。私が前にある就労支援施設で出会った方について気になることがあるので質問させて頂きます。

その方は30代女性(Aさんとします)です。
その方は精神科に通院していたことがあり(そのときも通院していたのかもしれませんが、よくわかりません)、何らかの精神病を患っていると言っておられたのですが、それが何なのか、そして、そもそも本当に精神病なのかが気になっています。

その方の行動や私から見た性格などをまとめてみます。

・自分がいかにすごいかということを話したがる(働いていた頃、上司から自分だけ特別に認められた、部下をたくさん持っていて全員から慕われていた、家族の中で自分が一番力があって誰も逆らえない、などの話を繰り返しする)
・自分は精神的に強い、態度がでかいと話したがる
・だが実際にはかなり精神的に脆いように感じた(私だけでなく、Aさんを知る他の方数人もAさんはデリケートだから…などと言っていた)
・就労支援施設でのAさんの担当スタッフに対して過大な期待と信頼を寄せたかと思えば、ひとこと気に入らないことを言われたというだけで使えないやつ扱いをしたりと、人に対する評価が極端
・その担当スタッフによく泣きながら何か相談していた
・その就労支援施設の中でAさんの担当スタッフとの面談の数は多い方だった。自分でも担当スタッフに依存しているからと言っていた

自分がいかにすごいかということを話したがる、というのが特に顕著で、口を開けばその話と言っても過言ではないくらいには聞かされていました。私も最初はそうなんだぁ、すごいですね!と聞いていたんですが、徐々に苦痛に感じるようになり、彼女とは距離を置きました。
彼女は本当に精神病だったのでしょうか?

 

林: Aさんについて、最も考えられる診断名は境界性パーソナリティ障害だと思います。情緒の不安定さ、人に対する評価が急激に変わることは、この障害の大きな特徴です。また、質問の中心である「自分がいかにすごいか話したがる」という特徴は、自己愛の過剰な強さを示唆するもので、それらをあわせると、また、メールでは情報が不十分であることもあわせると、境界性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害を包含したB群パーソナリティ障害の範疇に入る、という判断にとどめる方が適切かもしれません。(B群パーソナリティ障害については、林の奥 の、美少女L、その他、の虚言 をご参照ください)

Aさんの話の中には、虚言がかなり混じっていることが強く推定されます。病的な虚言者(虚言症といってもいいかもしれません)の中には、B群パーソナリティ障害、その中でも特に自己愛性パーソナリティ障害から生まれた虚言が肥大化したと解釈できる一群が存在します。【3574】華美で、仕事もできるようにみえていた女性  もご参照ください。

(2019.12.5.)

05. 12月 2019 by Hayashi
カテゴリー: パーソナリティ障害, 境界性人格障害, 精神科Q&A, 虚言 タグ: |