【3578】統合失調症で妊娠中ですが、足がむずむずします
Q: 私は30代男性、質問の対象である妻は30代女性で、タイトルの
通り第一子を妊娠中。現在23週です。
妻は、質問者と交際を始めた時点ですでに統合失調症の確定診断を受けており、定期的な通院と毎日の服薬を行っていました。なので初発の様子などはわかりようがないのですが、服薬を続けていても体調は良かったり悪かったりです。
妻の体調が悪くなる時は大抵、周囲の音が鋭く聞こえると訴えるところから始まり、このときよく観察すると目の焦点が合っていないというか、いまいち定まらない表情をしていることが多いです。その後他人の話し声がうるさい、雑踏に足を踏み入れるのが怖いなどという主張になっていき、やがて死んでしまえといった声が聞こえるようになる。この状態が数時間から数日続きます。
その後、服薬などを機に声は聞こえなくなっていくのですが、生気のない表情は続き、気力を欠いてふとんから出ることができなくなり、しばらく伏せたままで過ごすようになります。この状態が数日から数週間。
典型的にはここまでがワンセットで、問題ない期間を挟みつつ繰り返し出現するという感じです。
ここまでの段階で飲んでいた薬は夕食後にクエチアピン100mg、アリピプラゾール12mg、ビペリデン塩酸塩1mg。就寝前にブロチゾラム0.25mg、クエチアピン125mg、ビペリデン塩酸塩1mg、ロラゼパム0.5mgとなっていました。夜間に集中して服薬しているのは、クエチアピンによる傾眠を期待してのこととうかがっています。
さて、この状況で数ヶ月前に妻の妊娠が発覚しました。直後に主治医の先生に電話確認したところ、すでに処方済みのアキネトン、レンドルミン、ワイパックスは以降飲まないようにという指示が出たそうで、その後の診断で処方が夕食後にクエチアピン100mg、アリピプラゾール12mg。就寝前にクエチアピン125mgのみ。と変わりました。
処方が変わって夜眠れなくなることを危惧していたのですが、幸いにも質問者から見る限りは今のところよく眠れているようです。しかしながら、足がむずむすすると訴えることが増えてしまい困っています。
むずむずの訴えはそれ以前(妊娠以前)からごく稀にありましたが、妊娠して処方が変わって以降、顕著に増加しました。出るのは両足で、片方ということはなく、また足以外のところには出ないようです。足を止めてじっと座ったり寝たりすることができなくなり、ともかく動かしていないとしんどいとのことです。さすってあげたりもするのですが効果が
なく、外部からの刺激で気がまぎれるようなものでもないようです。
林先生はこの状況を薬の変化によるものと思われますか、それとも妊娠によるものとお考えでしょうか。現在、当然、精神科の他に産婦人科にもかかっており、どちらの先生にお話をすればいいのかわからない状態です。質問者としては妊娠以前から稀には起きていた現象のため、精神科の何かではないかと思っていますが、一方で主治医の先生が処方を変えられたのにも、それはそれで理由があると思われるため、薬の変化が理由であれば今後どう対策をとっていけばいいのかなというのも悩んでいます。
林: これはアカシジアでしょう。抗精神病薬の副作用です。
出るのは両足で、片方ということはなく、また足以外のところには出ないようです。足を止めてじっと座ったり寝たりすることができなくなり、ともかく動かしていないとしんどいとのことです。
これは精神科の教科書に載っているような典型的なアカシジアの記載に一致しています。
経過からみて、処方の変更が原因であることはまず間違いありません。今回中止した
アキネトン、レンドルミン、ワイパックス
は、いずれもアカシジアを抑制する効果のある薬ですから、これらの中止により大きく顕在化したとみることができます。
一方で主治医の先生が処方を変えられたのにも、それはそれで理由があると思われるため、薬の変化が理由であれば今後どう対策をとっていけばいいのかなというのも悩んでいます。
薬が原因であると推測しつつ、そのように慎重にお考えになることは正しい姿勢であると言えますが、他方、薬が関係していると思われることを医師に相談しないというのは正しくない姿勢であるとも言えます。
薬の変化が理由であれば今後どう対策をとっていけばいいのかなというのも悩んでいます。
それは精神科の主治医の先生にご相談ください。
(2017.11.5.)