【3485】虚言、暴力、盗み、セックス依存

Q: 私は30代女性で、中学時代からの友人A(女性)の事でご相談がありメールさせていただきました。 今までAとはお互い離れて暮らしていた事もあり、メールや手紙、年に数回会うのみだったので何も問題はなかったのですが、たまたま私がAの近所に住む機会が半年ほどあり、今まで以上に親密になった所からAが少しおかしいのではないかと感じはじめました。(今はまたお互い離れて暮らしています) まずAと親しかった人たちが、「Aにお金を騙し取られた」「Aに宝石を盗まれた」と言って次々にAから離れていきます。その時は私も、まさかAが・・・とも思っていたし、Aも、「あたしは誤解されやすい性格だし、敵も多いのよ」としれっとしている所がむしろ一匹狼的な魅力もありAを支持していました。Aは自由奔放な性格で、気に入った男性は例え自分の親友の彼氏・旦那でも口説き落としてしまうような人で、常に男とセックスをしていなければ気がすまないらしく、さまざまな男性を自分のとりこにしては捨てるという、そんな女性でした。そんなAなので口も大変上手く、「私はヤクザに頼んで気に入らない人を殺した事があるわ」「私はハタチの頃、水商売のママをして2億ほどの金を動かしていたわね」(実際水商売で雇われママをしていた事があるらしいです)「私には何かを感じる力があるのよ。この部屋何かいるわ」など、冷静になれば疑問を感じる事でも彼女の語り口とその独特な雰囲気で、当時の私はAをすっかり信じていました。(元々、私が騙されやすい性格と言うのもあるのですが、そこはおいといて) 実際Aには不思議な魅力があり、2回結婚しています。(そして2回とも離婚) 何故か男性たちはAが暴言を吐こうが暴力を振るおうがAをしたうのです。おかしいと思い始めたのは、Aの魅力だと思っていた自由奔放さにちょっとついていけなくなった時からです。何の理由もなしに突然機嫌が悪くなり暴言を浴びせてくる、暴れる、突然無視をする、相手が男性ならば暴力もふるう・・・など。そして、Aはまさかそんな事はしないと思っていた金銭を盗む・人を騙すという事を私にもしてきた時からです。具体的には、Aが私の部屋に来たあとお金がなくなる事や、当時私が付き合っていた彼氏(現・旦那)の事を、「あんたの彼氏は○○に騙されてるわよ。真っ黒だわ・・・。あたしが知り合いに頼んで調べてあげるから。50万ほど用意しなさい。お金ならあたしが立て替えてあげるから少しずつ返してくれればいいわ。彼氏を思うなら彼氏を助けてあげるわよね。あたしなら50万で助かるなら助けるわ」とありもしない事をもっともらしく言ってお金を取ろうとするなど・・・(これはほんの一部です)。私に内緒で私の旦那に一生懸命電話をしていた事も判明しました(たぶんお金とセックスが目的だったのでしょう)。 この事を他の友人に相談すると、「Aってさ境界性人格障害ってヤツじゃない?」と言うのですがどうでしょうか。冷静になってAを振り返ると、 ・なんの理由もなしに突然キレる、暴言を吐く、暴れる、暴力をふるう・人を騙す・常に男とセックスをしていなくては気がすまない(それが例え友人の旦那や彼氏でも)、そして異常なほどモテる・お金に対する異常な執着心(友人から盗んでまで)・虚言。口が異様に上手くたいていの人は騙されるし、一見愛想も良く、人を上手くのせてほめたりするので異常には見えない上、むしろ陽気で楽しい人に見える。そして、ここぞという時に弱い所を見せてくるので、ほっとけないなと思えてしまう・常に自分が輪の中心でトップに立ちちやほやされてないと不機嫌になり、手がつけられなくなる・ちなみに幼い頃から家庭環境はあまり良くなかったらしい と、こんな人です。Aはただのわがままな人なのでしょうか、それとも病気でしょうか。もし病気なら、今後どうAと接していけばいいのでしょうか。もう身も心もお金もAにさんざん振り回されて疲れたので、はっきり言って関わりたくありません。けれど、私の実家を知られているので逆上したAが実家に何かしてきたら・・・と思うと、年賀状程度の付き合いはしておいた方がいいのかな・・・とも思います。 何せ中学時代からの友人だったので縁を切るにしても、彼女は病気だったのかただのわがままな人だったのか知りたいです。

 

林: Aさんはパーソナリティ障害だと思います。

この事を他の友人に相談すると、「Aってさ境界性人格障害ってヤツじゃない?」と言うのですがどうでしょうか。

確かに境界性パーソナリティ障害(境界性人格障害)の色彩はありますが、

まずAと親しかった人たちが、「Aにお金を騙し取られた」「Aに宝石を盗まれた」と言って次々にAから離れていきます。

という事実と、Aさん自身がこれらについて罪悪感がなさそうに見えることなどは、反社会性パーソナリティ障害ではないかとも考えられる情報です。

そもそも、現代のパーソナリティ障害の分類は、表面的な特徴に基づいたものにすぎず(だからといって現代の分類が不合理だというわけではありません。現在までの臨床データからは、表面的な特徴に基づいた分類にとどめることが、事実に対する謙虚な姿勢ともいえます)、「境界性パーソナリティ障害か、それとも反社会性パーソナリティ障害か」という問いには、あまり本質的な意味はありません。Aさんは、現代の診断基準(DSM-5)でいうところのB群パーソナリティ障害(反社会性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害は、DSM-5ではB群パーソナリティ障害 Cluster B Personality Disorderとしてまとめられています)であるとするのが妥当かもしれません。美少女L、その他、の虚言もご参照ください。
なお、Aさんに見られる虚言は、このパーソナリティ障害に伴うものであると解釈できます。

(2017.7.5.)

05. 8月 2017 by Hayashi
カテゴリー: パーソナリティ障害, 境界性人格障害, 性に関する問題, 精神科Q&A