【3585】何百回も自殺未遂をした母

Q: 母のことをお話しさせて頂ければと思います。母は わたしが幼いときから 些細なことで「死ぬ!自殺する!」と何度も繰り返し 実際 全て未遂に終わりましたが 薬の大量服薬(わざわざみんなの目の前で飲んだり、飲んできたと話す)、ベランダの柵に座って飛びおりると絶叫、(わざわざ人がいる時間帯に)服を着たまま海に入っていき 警察に保護される、家に帰ってくると 首に紐を巻いてねころがっている…等 もう何百回と そんなことがありました。
特に子どもの頃は 「帰ったらお母さんが死んでしまっているかもしれない」と不安で不安でたまらない時期もありました。また 自分はものすごく楽しくてみんなの人気者で(実際調子のいいときはとても朗らかな楽しいひとなのですが…) 男の人はみなわたしに気があるみたいな(実際はものすごく太っていて一般的な外見上のことでいえばもてるとはとてもいえないハズなのですが…) あまりにも自信過剰なところがあるかと思えば 「こんなツラい気持ちは誰にもわかってもらえない」と嘆き悲しんでいる日も 多々あるのです。また非常にヒステリックで、たとえば部屋が片付いていないと怒ったときは団地の共有の階段(エスカレーターはなかったのでそんなことをしたらご近所の方に迷惑がかかるのを承知の上で)に部屋中のものをばらまいて、階段がうちのものだらけになってしまったり、暴力も激しくダスキンモッブや竹ほうきの柄の方で思いっきりなぐるので顔や足、腕があざだらけになり事情をきかれたこともありました。ほんとにバカらしいのですが「すき焼きの中に入れたうどんを食べなかった」という理由で大きな騒ぎになったこともありました。母は生い立ちは決して恵まれたものではなく(実母が養育放棄で幼い頃は厳しい祖母に育てられ 実母が再婚後実母にひきとられた後は 義父とトラブルもあったようです) 一度目の結婚も失敗し 二度目の結婚では連れ子である兄が少しグレてしまい その上駆け落ちや何やらあったものですから 母が自殺未遂を繰り返したり、うつっぽくなるのも仕方ないのかもしれないと家族で無理矢理思ってきました。そして もうひとつ重要な点は 母はずっと精神科に通っていたということです。どんなきっかけで通いはじめたかわかりませんが わたしがものごころついた頃から通っているので(精神科とわかったのは後々ですが) 30年程通っていたのでしょうか。母曰く「自律神経失調症」といわれていたそうで 行くのをしぶるどころか 嬉々として通い、お医者さまから頂く薬を何よりも大切にしていました。(その大事な薬を自殺の道具にするのですが…)今では 少なくとも 母が自律神経失調症ではなく 何か他の病気で通院し続けていたのだろうと思っています。ただ母は 器用に嘘をつくことはできず 反対に何もかも、あけっぴろげに 実にプライベートなところまでしゃべってしまう人でしたので 自律神経失調症といわれていたのは嘘ではなく本当だとは思うのですが…。

長くなりましたが 質問させて頂きたいことは、林先生は実際に見て頂いている先生の意見を尊重すべきとおっしゃっていらっしゃいますが やはりとても自律神経失調症とは思えないのです。あえておききさせてください。先生が 母を診断なさるなら どう診断なさいますでしょうか?(もちろん無理矢理母を病気にしたい訳ではありませんので、正常だと思われるのでしたらそれはそれで構わないのです。)

実は 今 母は大病を患い 口もきけず 指さえ動かせず 食事もできず胃ろうから栄養を入れて生きている日々です。いい人ぶりたいのではありませんが 母は精神面ではあやふやで つらいこともいっぱいありましたが 新聞配達をはじめ、一生懸命働いてくれて そして優しいところもたくさんありましたので私としては充分親孝行したいと思っているのです。ただ 兄弟の中には やはり母の昔の仕打ちを未だに憎んでいるものもいて 正直親身になれない気持ちがあるものもいるようです。もしも 母が病気、あるいは病的な傾向があった為に ああいう行動をとってきたとしたら 「罪を憎んで人を憎まず」ではないですが 兄弟も母のことをわかってくれるのではないかと思うのです。どうか ご診断をよろしくお願いいたします。

 

林:
母曰く「自律神経失調症」といわれていたそうで

当時の主治医からそのように言われていたのは事実かもしれませんが、おそらく正しい診断名は境界性パーソナリティ障害でしょう。

(2017.12.5.)

05. 12月 2017 by Hayashi
カテゴリー: パーソナリティ障害, 境界性人格障害, 精神科Q&A