【3268】パキシルとアモキサンでとても爽快になったのは、躁転だったのでしょうか

Q: 43歳女性です。長年うつ病で治療を受けており、なかなかよくならなかったのですが、昨年、パキシル20mgに加えてアモキサン50mgを処方されたときとても気分がよくなり、喜んでいたのですが、後から本で調べてみたところによると、これがどうも躁転と呼べるもののようなのです。記録を見ると、10万円級の買い物を次々としたり、年賀状も書かなかったような旧友に連絡を取ったり、特許の申請を計画したり、ホームページを次々と立ち上げたり、趣味を4つも新しくもったり、自分でも信じられないような行動力と不眠不休のエネルギーを感じました。1日が24時間では足りないとさえ感じました。 ところが、半年たったある日、隣の家が小さな火事を起こしました。消火活動を手伝った程度でしたが、それを境にうつうつとした日に逆戻りし、引きこもり状態になりました。それから半年後にアモキサンを100mgまで増量しましたが、効果はありませんでした。そして1年近くもそのままうつうつとした状態のまま過ごしています。 あのエネルギーに満ちた半年間に戻りたいといつも願っています。 質問は
・    私は双極性障害(躁うつ病)でしょうか?
・    双極性障害の治療を受けなくてもよいのでしょうか?
・    うつ病の治療は今のままでよいのでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。今のままでは、長いトンネルの中を逆戻りした気分で不安でたまりません。

 

林:

10万円級の買い物を次々としたり、年賀状も書かなかったような旧友に連絡を取ったり、特許の申請を計画したり、ホームページを次々と立ち上げたり、趣味を4つも新しくもったり、自分でも信じられないような行動力と不眠不休のエネルギーを感じました。1日が24時間では足りないとさえ感じました。

典型的な躁状態です。抗うつ薬を飲んでいる時期にこのような躁状態が現れたとき、それが抗うつ薬による副作用というべきものなのか、それとも元々双極性障害で、その症状としての躁状態が現れたのかの判定は時に難しいこともありますが、この【3268】のケースは後者すなわち双極性障害の躁状態だと思います。
したがって回答は次の通りになります。

・    私は双極性障害(躁うつ病)でしょうか?

はい、そうです。

・    双極性障害の治療を受けなくてもよいのでしょうか?

よくありません。双極性障害の治療を受けてください。

・    うつ病の治療は今のままでよいのでしょうか?

よくありません。双極性障害の治療を受けてください。

(2016.9.5.)

05. 9月 2016 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, 精神科Q&A, 薬の副作用, 躁うつ病