【3267】わたしは病気ではなく、ただの甘ったれではないでしょうか
Q: わたしは20代の女性です。大学を卒業後、新卒で接客と営業の仕事に就きました。
今までうつ病などの精神病は甘えだ、そんなものは気持ちの持ちようでどうにでもなるものだ、と思っていました。しかし3ヶ月前、職場へ向かう朝の電車のなかで急に気分悪くなり、落ち着こうと途中下車したところ、感情が爆発したかのように涙が溢れてきて、年甲斐もなくホームの片隅で泣き出してしまいました。
後日心療内科を受診したところ、自律神経失調症だと言われました。
その前後は仕事の煩雑期で勤務時間も長く、また仕事上で必須となる資格試験の勉強の追い込み期間であったため、過度な疲労やストレスが溜まりすぎた。爆発したのはそれらを発散させる余裕もなかったから、と。
診察を受けたのは3ヶ月前ですが、実際は半年ほど前から調子がおかしかったのです。
思い返してみれば、自分でも「あれ?」と思う変な行動がありました。
いま考えればそれらがなにかしらの前兆だったのでしょうか?
・大好きだった趣味に興味がなくなる
→仕事が忙しいので取り組む時間が減ったためだと思っていた
・昼休みは食事をせず、休憩室でひたすら寝る
→食事を用意するのが面倒。水を飲めば空腹が満たされるので食べるまでもない
また昼休みはスマホのゲームを進めたいので食事に時間を割きたくない
・そもそも食事をしない、したくない
→朝は食欲がないから食べない、昼は上記の通り、夜は食べるような気分じゃない
食べても気分が悪くなって吐いてしまうことがあり、どうせ吐くなら食べなくても同じ
・異様な衝動買いが増えた(お金を使うことが快感になっていた
→大量の食品を買い込むが、一口食べて残りはすべて捨てる
スマホのゲームに月10万以上もつぎ込む
洋服も買うだけ買って、袋に入れたまま部屋に放置
・朝、仕事に行きたくない行きたくない…とひたすら思う
→始業5分前に更衣室に行き、1分前にタイムカードを切るようになった
朝も電車に乗りたくなくて何本も見送ったり、乗っても耐えられず途中下車してしまう
・部屋の片づけが出来なくなる
→もともと物の多い部屋だったが、ある時から足の踏み場もないほど汚れていった
ゴミを捨てずにためこむ。上記の買い込んだ食品が部屋の隅で腐っていても放置
・身嗜みを整えなくなる
→今まではきちんとフルメイクしていたのが、ファンデーションを塗るだけになった
・夜、眠れない(眠りたくない
→眠ると一瞬で朝になる、朝になると仕事にいかなければいけないから、眠りたくない
そのうち仕事にも支障を来すようになったので病院にかかり、病名を告げられました。
実はそれより前に職場で実施されたメンタルヘルスチェックでも危険な数値が出ました。
しかし他の同僚も似たような数値であったため、まぁこんなものなんだろう、と深くは考えていませんでした。
このときにきちんと対処していれば悪化はしなかったのでしょうか?
主治医には「それは甘えではなく、病気なのだから、しっかり治療していこう」と言わ れ、まずは3ヶ月を目途に通院治療をすることになりました。
処方された薬は精神安定剤や睡眠導入剤で、飲むと確かに気分が楽になったような気はします。しかし診察らしい診察は初診のみで、2回目以降は「調子はどう?」「まぁまぁで す」程度の会話をして、薬を受け取って終わり。なんだか馬鹿馬鹿しくなってしまって、3ヶ月を待たずに病院には行かなくなりました。現在は薬も飲んでいません。
通院を止めたのは、主治医の意見に共感がもてないというのも理由のひとつです。
今の仕事は好きです。拘束時間が長く、わりとハードな仕事らしいのですが(学生時代にバイトもしてこなかったわたしには他に比べる材料がありません)やりがいも多く、休職は絶対にしないと主治医にも伝えています。
「今までは普通に出来ていた業務が出来なくなった」と言うと、主治医は「自分の本来の実力が発揮できないのは病気のせいだから仕方ない」と言います。「営業成績が良くないことを上司に指摘された」と言えば「病人に対してそんな酷いことを言うなんて酷い」と言い、しまいには「今は遅刻しないで出勤できればそれでいい」とさえ言っていました。
あまりにも甘ったれている、と思ってしまいました。
働くことで給料を得ているのだから給料以上の売り上げを出すことは当たり前ですし、目標に達していないなら叱責を受けるのは当然のことです。
それを、まるで診断書を印籠のようにかかげ「病人だから仕方がない、甘く見るべき」と言うのは、間違っていることなのではないかと思うのです。
今でも、わたしは自分が病人だとは思っていません。思いたくないのです。
ストレスを過度にため込んでしまうことなんて、誰にでもあることですよね?
そしてそれを上手く発散できなかったから爆発してしまったというそれだけのことです。
そう思う一方、やはり仕事が思うようにこなせず、悔しい思いをすることがあります。
どうして自分はこんなに駄目なんだろう、どうして以前は難なく出来ていたことが出来ないんだろうと、考えはじめると今でも涙がこみ上げてきます。
やっぱりわたしは病気なのでしょうか?それとも甘えているだけなのでしょうか?
もし甘えであるというなら、どうすれば以前のまともなわたしに戻れるのでしょうか…
林: あなたはうつ病だと思います。甘えではありません。抗うつ薬による治療が必要です。
うつ病だといえる理由は、「実際は半年ほど前から調子がおかしかったのです」 として書かれている症状の内容です。これらはかなり典型的なうつ病の症状です。また、自分は病気でなく甘えだと考え、何とか頑張ろうとするのもうつ病の方の典型的な考え方・行動パターンです。
働くことで給料を得ているのだから給料以上の売り上げを出すことは当たり前ですし、目標に達していないなら叱責を受けるのは当然のことです。
その通り、当然のことです。
それを、まるで診断書を印籠のようにかかげ「病人だから仕方がない、甘く見るべき」と言うのは、間違っていることなのではないかと思うのです。
その通り、間違っています。擬態うつ病のケースをご参照ください。
但し、本当に病気の場合は別です。「甘く見るべき」が間違っているのは本当に病気であっても同じかもしれませんが、それは「甘く見るべき」という表現の問題であって、「病人だから仕方がない」というのは、間違っていないことが多々あります。つまり「病人だから仕方がない」ということが十分にあり得るということです。
それから「診断書を印籠のようにかかげ」という表現も、本当に病気の場合には不適切でしょう。
したがって、ここは次のように言い直すべきと思います。
本当は病気でない場合は、まるで診断書を印籠のようにかかげ「病人だから仕方がない、甘く見るべき」と言うのは、間違っている。
本当に病気の場合は、診断書を提出して「病人だから仕方がない」という対応を求めるのは、間違っていない。
今でも、わたしは自分が病人だとは思っていません。思いたくないのです。
あなたは病気です。
ストレスを過度にため込んでしまうことなんて、誰にでもあることですよね?
誰にもあることです。しかしあなたのケースはそれとは違います。
そしてそれを上手く発散できなかったから爆発してしまったというそれだけのことです。
それはあなたの勝手な解釈に過ぎません。あなたの解釈は間違っています。
そう思う一方、やはり仕事が思うようにこなせず、悔しい思いをすることがあります。
いま病気だからです。
どうして自分はこんなに駄目なんだろう、どうして以前は難なく出来ていたことが出来ないんだろうと、考えはじめると今でも涙がこみ上げてきます
いま病気だからです。
やっぱりわたしは病気なのでしょうか?それとも甘えているだけなのでしょうか?
病気です。
もし甘えであるというなら、どうすれば以前のまともなわたしに戻れるのでしょうか…
甘えではありません。甘えだという考えに固執している限り、もとのあなたには戻れません。うつ病の適切な治療を受けてください。
(2016.8.5.)