【2590】研修会で「擬態うつ病」を紹介したい

Q: 私は40代男性、精神科の開業医です。
私は企業関係者や一般の人に向けて研修会を行う機会が多いのですが、今回、現場からの要請により「新型うつ病」についての研修会を行うことになりました。その際に、先生が提唱された「擬態うつ病」という概念を紹介することがどうしても必要と考えられ、ご了承をいただきたくメールをさせていただく次第です。
「新型うつ病」を考えるとき、そもそも「うつ病」とは何か、ということを避けて通ることはできないと思います。先生のご著書 擬態うつ病 / 新型うつ病 実例からみる対応法 などを読ませていただき、「うつ病」をめぐる現在の混乱を少しでも解決に近づけるためには、医療に携わる者は「うつ病」と、うつ病と似て非なるもの(擬態うつ病)をきちんと区別して対応しなければならないと強く感じました。
研修会ではまず「うつ病」を症例を交えて定義し、次に「擬態うつ病」の概念を紹介して、この中で「新型うつ病」を取り上げたいと考えております。何卒ご了承をいただきたくお願いいたします。

 追伸
「非定型うつ病」を「新型うつ病」と混同している向きが世間(一般向けのネット情報や書籍など)でみられると思います。「非定型うつ病」はあくまでDSMにおける「大うつ病」の亜型だと思いますが、このことに対する啓発も必要と考えております。

 
林: ご丁寧なメールをいただきありがとうございます。
お忙しい中、拙著をお読みいただき、また、ご評価いただき、恐縮いたしますとともに、大変光栄に存じます。
先生のご講演等のご活動の中に、擬態うつ病 の概念をご活用いただければ、私にとっても嬉しいことです。どうぞいかにようにもご利用ください。
 
先生の益々のご発展をお祈り申し上げます。
 
 
追伸
また、非定型うつ病についてもまさにご指摘の通りで、 【1633】自分のうつ病を宣伝している友人は本当に非定型うつ病なのでしょうか のような誤解が蔓延していることは、ネットで活動していても実感しておりますところで、 【1632】うつ病と診断されていますが、過剰に眠ってしまいます の回答のような形で私も細々と誤解の解消に努力しておりますが、到底世の中の風潮を変えられるはずもなく、現時点では「非定型うつ病」という言葉そのものを用いないほうがよいと考えております。

 

(2014.3.5.)

05. 3月 2014 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, 擬態うつ病, 精神科Q&A