【5008】自身に発達障害等の傾向がある可能性を感じており、精神科への受診を検討している

Q: 20代前半女性です。 以前より興味深く拝見しております。
件名の通り、近いうちに精神科・心療内科への受診を検討しております。
主な理由として、以下の困りごとがあります。

1.仕事中、集中できない
ぼんやりしていつの間にか時間が経っていたり、重要性の低い作業や関係のないこと(口述の髪の毛をむしる癖等)に没頭してしまうことが多々(一日に2時間程度)ある。

2.髪の毛をむしってしまう。
ざらついた質感の縮れた髪や、枝毛・切れ毛を探して抜いてしまい、髪の分け目が少し利き手側に寄ったり頭頂部から生えている毛が短い毛ばかりになってしまっている。頻度で言えば一日数十本程度抜いている。強く意識すればしばらくの間減らしたり無くしたりできるが、気づくと頭に手を伸ばしている。

3.単純なミス、物忘れが多い
言われたことを記憶していなかったり、頭から抜けていたり、自分にとって都合の悪いことを報告するのが遅れてしまった結果の失敗が同部署の他社員より多い。忘れる理由として、重要な話を聞いたときそもそも頭に入っていない場合と、言われた瞬間は記憶していたものの覚えていなくてはいけないことがあること自体を忘れてその後思い出すきっかけがなかった場合の両方がある。
また報告や連絡を上司にすることに抵抗があり、話しかけることによって自分の重大な間違いが明らかになったりする気がして数日先送りにすることもある。これも強く自分自身に言い聞かせればすぐにできるときもある。

自分としては困っているとは思うものの、この状態で数年今の仕事を続けられているため、単に能力の低い普通の人としてそこまで問題なく過ごせているのも事実です。また、周囲の人やSNS上で見かける人自分と性格などが似ていると感じる人に、自分が発達障害(主にADHD)であると診断を受けたり、そうではないかと疑っている人も多いため、自分自身もそうではないかとバイアスのかかった見方をしているのではないかという疑いもあります。
そのため、受診に対して不要ではないか、ただの性格を大げさにとらえていると思われるのではないかという不安から少し気が引けています。

そこで以下の疑問点について回答いただきたいです。
①上に記載したようにそこまで深刻ではないことで精神科に受診をする人は多いのか
②精神科・心療内科のうち、上に記載したような症状を相談するのにより適している病院を選ぶ方法(ホームページ等に記載されている情報から判断する場合)はあるのか
③このメールから読み取れる情報から、質問者が治療を必要としている可能性が高いと言えるか

参考になるかわかりませんが、自身に発達障害等の傾向がある可能性を考えている根拠として幼少期からの自分の特異だと思う部分を心当たりがあるだけ記載します。

・小学校まで、気に入らないこと(競技で負けたり他の子と意見が食い違ったりする)があると癇癪をおこし、泣きながら暴れたりすることが年に数回あった。特に百人一首で負けたときは大声でなにかズルをしているなどと相手の子を責め立てたこともあった。
・小学2年生以降、具体的ではないが死ぬことについて考えていた。自分が死んだあとのことに興味があったり、自殺の方法を調べたりはするが、基本的には特に行動に移すことはなかった。ただ選択肢としての死を徐々に具体的に考え、自分が死ぬべきである根拠を探すようになっていった。
・小学校低学年のとき、学校の玄関のガラス扉に付いているゴムの隙間埋めの感触を鼻の下で味わっていたところ、高学年の男子数人からゴム部分を舐めているとからかわれているのが聞こえ、すぐにやめた
・小学校低学年のとき、授業中に本を読んだり、船漕ぎ(椅子の足を部分的に浮かせ、揺れたりする行為)をしたり、席を離れてほかの児童の椅子をゆすったりすることがたびたびあった。
・小学校低学年のとき、知能テストのようなものを受けさせられた。数字を逆から復唱するように言われたり、違和感のある文章を聞かされてどこが間違っているかを聞かれたりした。なぜ受けさせられたのか聞いたところ授業中に本を読んだりしているからだと言われ、上記の席を離れて遊んだりしていることも原因だろう、たしかにそれは問題ある行為だと認識した。結果については物をよく知っていますねと言われただけで親からも特に告げられなかった。通っていた小学校には支援学級があったが、そのテストを受けたとき以外その教室に入ることはなかった。
・小学校を卒業するまで、悪口を言われる、自分や自分が触ったものをあからさまに避ける等のいじめを受けたが、内容は自分が不潔である、臭いといったものだった。当時は家の方針で風呂自体が2日に一回だったほか、ほとんど体を洗わずに出ていたため臭い・汚いといった評価は妥当だったと今では思っている。
・幼少期から昆虫などの生物に対する興味が強く、図鑑やインターネットで知識を身に着けたりその知識を他人に話すことが好きだった。年齢を重ねるごとに周囲の同年代が虫を嫌がるようになり、何か当たり前の成長が自分には起こっていないようにも感じた。
・小学校低学年ごろまでは物怖じせずに会話でき、知らない人にも話しかけることがあった。しかし小学校高学年から人見知りになり始め、あまり親しくない人に話しかけるのが億劫で必要なことでも話しかけに行く途中で寄り道したりして後回しにするようになった。親しくない人の前では緊張で声が出にくかったりあとから冷や汗が出るような感覚がしたが、親しい人の前ではしゃべりすぎてしまったと感じることが多かった。これらは現在まで続いているが、意識すればそこまでしゃべりすぎることもないと思っている。
・中学生ごろから親と日常会話をしない、親の前で感情を見せないように意識をするようになった。とくに虐待等を受けていたわけではないが、両親の会話を見ている限り自分と考えが合わないこと、姉が好みや趣味を明らかにしていると両親からかわれるのを見ていたこともあり、もともと会話も少なかったが最低限に。表情や声のトーンを抑えて感情を読み取らせないようにしていた。
・中学生になり、親と喧嘩することが増えた。注意されることが多かったのもあり、大声で反論したり、殴られると外に飛び出したり、外で大声で叫んだりした。田舎だったため逃げる場所も特になく、ほとぼりが冷めた頃に家に戻ることがほとんどだった。
・学校で出される課題に真面目に取り組むことができなかった。中学校では書きこみ式のワークが丸一冊手つかずだったこともあった。小学校低学年の時点で漢字の書き取りなどの面倒な課題をやらなくなり、催促されるとやるべきだと強く認識できるが、取り掛かる前にその気持ちが薄れてしまう。
・課題に取り組まない件について、両親に激しく怒られるので課題の内容や進捗を偽って伝えるようになった。嘘がばれて強制的に髪を切られたりしたが、もっとうまい嘘をつくように気を付けるようになっただけだった。
・中学生ごろまで特に顕著だったが、授業中に遊ぶことが多かった。ノートを短冊状に切って編んだり、展開図の形に切って紙箱を組み立てたり、ティッシュを糊で何十にも重ねたり、折り紙をしたりしていた。注意されるとすぐに問題ある行動だったと認識し反省するが、十分程度で退屈になるとまた始めていた。
・専門学校入学後、寮に入ってすぐ自分だけ騒音がひどいと上級生から注意を受け、ロープで首を吊ることを試みた。そこまで本気だったわけではなく、いずれやるかもしれないから試しておこう、という気持ちだった。意識が危うくなったらすぐやめる、を繰り返していたため特に何事もなかった。その後数年保険としてロープを所持し続けていたが使うことはなかった。
・16歳ごろまで、漫画や小説を読むと登場人物に脳内や発言するときの口調が引っ張られる感覚があった。小学校のときは関西弁風の喋り方をしていたり、高1の時は急に親しい友達に対しても敬語で喋りたくなってそうしていたこともある。意識すれば普通にしゃべることもできるし、一般的にも思春期やそれ以前であれば珍しいことではないと考えている。
・18歳のとき、当時の恋人とトラブルがあった際、数日間不定期に動悸が止まらなくなり、一か月ほど食欲がかなり落ち食事量は半分程度になった。もともと夏は食欲が落ちるのでその影響もあったと考えられる。しばらくその件を想起すると動悸がする状態が続いたが、1ケ月程度で無くなった。
・同時期に成績が極端に落ちており、頻繁に死ぬことを考えたり、急に泣き出したり、イライラすることが増えた。学校の性質上その時期が最も学生に負担がかかる時期であり、同学科の出身者複数人から度合いに差はあれど、死ぬことを考えたという話を聞いているため珍しいことではないと考えられる。
・このころから爪を噛む癖が現在まで治っていない。始めた理由は当時の恋人に心配されたかったからで意識的なものだったと認識しているが、現在もネイルアートをするために伸ばしていた爪をつい噛んでしまうことがある。
・成人後、就職してから何度か会社から指導を受ける。内容は字が汚い、挨拶の声が小さい、トイレを流していないことがあった等である。一般的には社会人でこのような一般常識を指導されることはないと認識している。
・昔からある傾向として、苛立つこと(PCが思ったように動かないなど)があると舌打ちをしたり、机を叩いてしまう。抑えようと思えば抑えられる気がするが、怒っているので抑えようという気があまり沸かない。一人でいるときは大声を出したり、なるべく重要ではないものを壊したりすることで発散している。人前ではそれをしないのである程度抑制できているとも言える。
・十分寝ているにも関わらず、日中眠いと感じることが多い。中学生~現在まで。学生時代は8時間以上の睡眠を確保できていた日がほとんどだったが、平均しても週に3回以上は授業中に寝ていたように思う。
・遅刻などが多い。寝起きが悪く、ギリギリまで寝ている。アラームが10回以上鳴っていることにそもそも気づかなかったり、気づいてもあえて寝るという選択をすることがたびたびある。休日に約束があって外出するときも、支度に時間がかかったり家を出る直前に鍵などが見つからず探していることが多い。
・脳内で自分がナレーションをしている感覚がある。自分の思考を言葉にする際に掛け合い形式になることも多く、意識してキャラクター化して対話の形式にすることもあるがそれらが実在するように感じているわけではない声が聞こえるわけではなく、文字を頭で流している感覚。
・学生のころは直近以外でやりたいことや将来の夢が思いつかず、一般的な就職や結婚、家を持つことなどに興味がわかなかった。しかし成人して以降、具体的ではあるが叶えたいと思う感覚は漠然としたやりたいことが多数発生している。例えばイラストレーターなどのクリエイターとして仕事をしてみたいが、そこまで本気になって絵の勉強などをしようとは思わないといった内容のことが様々な分野で考えられていた。以前から大人しいと周囲から評価されており、自分でも人見知りだと思っているにもかかわらず一目につきたい、何らかの分野で注目されたいという考えがたびたび起こり、人気者になっている自分のことを想像することもある。想像と現実を混同した、そのように指摘されたことは今のところなくその恐れもないと感じている。気持ちが大幅に落ち込むことがなくなり、そのせいでいつか帳尻合わせのように不幸なことが起こる気もしている。感覚としては抑制されていた気持ちが環境の変化で発散されるようになっただけだと感じている。
・自分が嫌な気持ちになるネットニュースや苦手な人のSNS投稿などをあえて見に行ってしまうことがよくある。そういったものを見ているときは特に集中していて、時間を忘れることが多い。
・仕事中のミスにおいて、上司などから同じミスを繰り返していると注意されたり、なぜそんなミスをしたのか全くわからないというようなニュアンスで原因について聞かれたりすることがたびたびある。そういったときに言葉に詰まってしまって、このまま何も言わずにやり過ごせないかと考えてしまう。(実際にはなんとか回答しているが、答えを出すために虚偽の理由をでっちあげることもある。)
・風呂に入ることができない日が週に1日以上ある。休日はそもそも用事がなければ入らないが、平日も仕事のためにも毎日風呂に入るべきと認識しているにもかかわらず入らないで寝ることを選択してしまうことがある。しかし少なくとも3日以上風呂に入らずに他人と会うことはしない。(なんとかして風呂に入るか、仕事を休むかしている。)

お忙しい中、読みづらい長文になってしまい申し訳ありません。
最後になりますが、林先生の心身の健康とともに、世の中の精神疾患に対する認識が少しでも正しく、当事者の方々にとってよりよいものとなるよう祈っております。

 

林: ご自身の症状、そして子ども時代からの経過について、詳細なご報告をありがとうございました。回答の結論を先に申し上げますと、精神科を受診することをお勧めします。

①上に記載したようにそこまで深刻ではないことで精神科に受診をする人は多いのか 

多いです。そしてこの【5008】の質問者の場合、「そこまで深刻でない」と言えるかどうかは微妙です。

②精神科・心療内科のうち、上に記載したような症状を相談するのにより適している病院を選ぶ方法(ホームページ等に記載されている情報から判断する場合)はあるのか 

大人の発達障害の診療をしている病院が適切です。

③このメールから読み取れる情報から、質問者が治療を必要としている可能性が高いと言えるか 

高いと言えると思います。受診にあたっては、このメールの内容をそのままプリントアウトして提出されることをお勧めします。この【5008】の質問者に最も考えられる診断名は発達障害でその診断のためには、このメールに書かれているような情報が必須で、そうしたことの聴取から通常は診療が始まりますが、すでにここまでまとめられたことを提出されれば、診断が効率良く進行し、適切な医療を受けられる可能性がそれだけ高まるからです。

というわけでこの回答の冒頭の通り、精神科を受診することをお勧めします。そしてその際にはこのメールの内容のブリントアウトを是非お持ちください。

(2026.1.5.)

05. 1月 2026 by Hayashi
カテゴリー: ADHD, 発達障害, 精神科Q&A