【4961】躁うつじゃなければなんなのか
Q: 20代女性です。 3ヶ月前に9回目の精神科入院をしました。入院期間は2ヶ月ほどです。今思い返すと、私は躁うつ病(双極性障害)じゃないのかと疑問に思ったため、ご相談させていただきたく思います。
入院時の診断名はASDと抑うつ状態でした。しかし、入院して1ヶ月ぐらいの頃に、病棟師長に私は「いくらお金積めば殺してくれるのか」と交渉していました。今思うと当たり前ですが、そんなことしてくれるわけがありません。その次の日から、総理大臣になって殺し屋に私を見つけてもらい、殺してもらうといった妄想が強くなりました。毎日マニフェストを10個程度書き、詰所に渡しに行ってました。夜もなかなか眠れず、消灯の時間が21:00なのにもかわらず、薬を飲んだのは20:00、眠れたのは21:30以降。詰所の明かりの前でマニフェストを書いていました。なかなか辛かったです。総理大臣だけでなく、県知事が良いと言ったときや町長選挙が!と言ったときもありました。なんにせよ、殺し屋に見つけてもらいたかったのです。国民が私を待ってるから早く退院したいと話したら主治医にバッサリ、誰も待ってへんでと言われたことも。主治医は躁うつ病じゃないと言いますが、バルプロ酸400mgを飲み始めてから妄想もなにもかも落ち着くようになりました。あの日々はなんだったのでしょうか。
今現在もバルプロ酸を服用しています。また、今は毎日外出しないと落ち着かなく、毎日お金を使ってはクレジットカードの分割払いをして、かなり危なくなってきました。20万少し分割払いにしていて、もうすぐ上限をいきそうです。出かけないとソワソワしてしんどくなってしまいます。
このような入院中の出来事や今の出来事をふまえて、先生の見解を教えていただきたいです。
よろしくお願いします。
林: 躁うつ病(双極性障害)は、「躁 と うつ を繰り返す」という病気です。
この【4961】でご報告いただいた状態は、その状態だけを見れば、「躁」と解釈することが不可能ではありませんが、ある一定期間に見られた症状のみの記載であって、他の期間についての症状や経過については不明ですので、この【4961】に記された状態に基づいて、質問者が躁うつ病(双極性障害)であるかそうでないかの判断は不可能です。この【4961】に記されたような状態は、他の病気、たとえば統合失調症でも十分に発生しうる症状です。
バルプロ酸の服用後に症状はある程度改善したようですが、そのことをもって躁うつ病(双極性障害)であるとも言えません。「薬の服用後に症状が改善した」という事実のみをもって、その薬が効いたと判断することはできませんし、この【4961】には他の薬を飲んでいるかいないかについての情報がありませんし、仮に飲んでいるのがバルプロ酸だけで、かつ、それが効いたと判断できたとしても、そのことをもって躁うつ病(双極性障害)であるとは言えません。
(2025.6.5.)