【4949】虚言と建前の違い (【3526】、【3579】、【4103】、【4729】のその後)

Q: 【4729】約 3 年、 B 型作業所で停滞しています。処方の問題ですか ? それとも症状の問題ですか?  でお世話になった30代男性です。こんな私ですが、まもなく34歳になります。今回は以前までの4つの質問とは関係がありません。

私はよく嘘を吐くことがあり、母からも「嘘吐き」と呼ばれます。
例えば、【3526】で明かした非行の数々は今通っているB型作業所には隠し、「集団生活が苦手だった」「一応大学は22歳で卒業したけど、それまで学校は行ったり行かなかったりだった」と何となく誤魔化しています。何しろ、正直に話すと人間性を疑われかねないので…
作業所通いを始めてから私生活でガールズバーに行った時もガールズバー嬢に「スーパーの社員をしている」と適当に有職アピールしました。社会的にガールズバーに行くのが憚られる立場なので、正直に自分の素性は言えませんでした。
他にも、母に「そんなに食べたの!?」と責められるのが嫌で母に「どうせ何か外で食べたんでしょ?」と、ある日の昼過ぎから夕食前の外出中に食べたものを聞かれて少な目に答えたり、フリーター時代にも「まともな職歴があった」程度に履歴書に嘘を書いたりしました。

このように一通り読めばわかる通り、林先生のホームぺージに掲載されている虚言の実例と私の嘘は随分と性質が異なり、「建前」「生返事」「表向きの理由」とすぐ分かるようなものでばかりで、私も「相手はそれも承知の上だろう」と割り切っています。
例えば【3574】のような自分を大きく見せる虚言というものは自分には皆無です。【3052】で挙げられた林先生の著書「虚言癖、嘘つきは病気か」における虚言の項目の中でも「たくさんの嘘をつく」以外は当てはまりませんし、当てはまる項目の「たくさんの嘘をつく」も結局は日常的に建前的に嘘をつく程度のものです。

さて、ここからが本題です。
「建前」「生返事」「表向きの理由」として適当な嘘を吐くことは虚言の範囲に入りますか?もし虚言の範囲に入るなら、今係り付けの先生に相談し、治療をしてもらうべきですか?
そして虚言と建前の違いは何ですか? 定義はありますか?
私の場合は本格的な精神科の治療を受ける前までは余りに素行が悪く、正直に来歴などを語れないという特殊事情があるのですが、そういった特殊事情をはぐらかすための嘘と虚言は違うということはありますか?

【4729】の続きではない、関係の無い話ですみませんでした。お忙しいとは承知ですが、お答えいただける範囲でお願いします。

 

林: その後の経過のご報告をいただきありがとうございました。(今回のメールはその後の経過そのものとはやや異なりますが、関係はあると思います)

林先生のホームぺージに掲載されている虚言の実例と私の嘘は随分と性質が異なり

ご指摘の通りで、性質が全く異なると思います。【4949】に書かれている質問者の嘘は、いわばごく普通の嘘というべきでしょう。

「建前」「生返事」「表向きの理由」として適当な嘘を吐くことは虚言の範囲に入りますか?

「虚言」という言葉を病的なものに限って使うのであれば、【4949】に書かれている質問者の嘘は虚言とは言えません。

そして虚言と建前の違いは何ですか? 定義はありますか?

【4949】に書かれている質問者の嘘は「建前」とも意味が異なると思います。「建前」は普通は嘘とまでは言えないものを指すと思います。「虚言」という言葉については、言葉通りの意味は「嘘」とほぼ同じですが、「虚言」という言葉を病的なものに限って使うのであれば、「虚言は嘘の中のある特定のものを指す」ということになるでしょう。ご質問は「虚言と建前の違い」ですが、これは言葉の使い方の問題ということになると思います。

正直に来歴などを語れないという特殊事情があるのですが、そういった特殊事情をはぐらかすための嘘と虚言は違うということはありますか?

上の通りで、言葉の使い方の問題だと思います。「虚言」という言葉を病的なものに限って使うのであれば、「虚言は嘘の中のある特定のものを指す」ということになるでしょう。

(2025.4.5.)

05. 4月 2025 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症, 虚言