【4729】約 3 年、 B 型作業所で停滞しています。処方の問題ですか ? それとも症状の問題ですか? (【3526】、【3579】、【4103】のその後)

Q: 【4103】今の調子で社会復帰できるのでしょうか ではお世話になった31歳男性です。まもなく32歳となります。

現在飲んでいるのは朝がリスペリドン1.0mg、夕がリスペリドン3.0mgとプロプラノロール60mgです。頓服がリスペリドンの液体2.0mgとなっています。
3年ほど前に「朝が眠い」と訴えたところ朝のリスペリドンの内1.0mgを夕に移してもらって現在の処方になりました。頓服は元々8年前に2度目の入院から退院した時よりずっと処方してもらっており、自宅にストックが無くなったらその都度自分で処方箋を貰って補充しています。

以上の薬を服用中ですが、B型作業所は間もなく勤続丸3年となります。無論それまで通い続けていればですが。
元々作業は週2回のペースで施設外の清掃や週1回のペースで食品卸売会社での内職作業などに参加し、週1.5回のペースでポスティングも行い主戦力クラスとして働いていましたが、自分が施設の利用者として中核を担わなければならない、簡単には休めないというプレッシャーから、1年前にダウンしてしまい約1週間の欠勤となりました。それを含めて1週間ほどの欠勤は現在まで都合5回ありました。
以降仕事は週各1回程度早退と欠勤をするようになりました。それと、休み明け前日は「作業所に行きたくない」と不安が強くなり、頓服がないと眠れない有様です。頓服はここ1年はおおよそ週2回のペースで飲んでいます。また、3年前頃は飲むと眠気で作業所を休まざるを得なくなるほど効いていた頓服でしたが、飲んでも普通に目が覚めるようになりました。
現在作業は主戦力クラスから外れて簡単な内職を中心に行っていますが、ポスティングだけは有り体に言えば歩くだけの作業なのでプレッシャーに感じず、それまで通りのペースでやっています。作業所の職員はポスティングにはちゃんと参加できる私を見て「○○さん(私の名前)は自分が思っているより体力はある」と分析しています。

さて、林先生に聞きたいことがあります。主治医からは処方や療養について「これ以上良い処方は無い」「今後画期的な治療が見つかって劇的に良くなるということはない」「後は自分で良くするしかない」と言われていますが、リスペリドンの耐性・副作用の影響は疑わしいですか? 処方は適切でしょうか。私は認知症のリスクなど一生を考えるとリスペリドンはなるべく飲たくない薬だなとは思うのですが、主治医の先生は私がセカンドオピニオンを受けたくて紹介状を求めると「何を診てもらうの?(どこの病院に行っても一緒だよ、という意味なのでしょう)」と牽制してきます。
昨年、代診の先生に頼み、朝のリスペリドン1.0mgを置き換える形で出してもらったバルプロ酸Na錠400mgを就寝前に服薬しましたが、バルプロ酸Na錠100mgのみの処方であった大学時代の4倍の量あったにもかかわらずほとんど効かず、2週間で元の処方に戻しました。そのようなことから作業所に通い始めたばかりよりも症状が悪化したとも疑います。
薬物療法だけでなく、それと並行して何か私が受けた方が良い治療はありますか?

教えて下さる範囲で何とかお願いします。

 

林: 経過のご報告をいただきありがとうございました。【4103】のころ(3年前)には、【4103】の回答にお書きしたとおり、(1) 医師のアドバイスを十分に受けていないと思われる (2) 提供された薬物療法を十分に受け入れていない (3) 能力につりあわない仕事へのチャレンジを繰り返している という問題があり(この3つはいずれもかなり深刻な問題です)、社会復帰に向けての回復が停滞しているという状態でしたが、今回の【4729】の内容からは、そうした問題はかなり解消されていることが読み取れます。したがいまして、3年前に比べればはるかに良い状態だと思います。
ただし、あせりがあることも同時に読み取れ、それは3年前の問題に重なる点があることが窺われます。
たとえば

私は認知症のリスクなど一生を考えるとリスペリドンはなるべく飲たくない薬だなとは思う

それは全く根拠のない考え方です。そのような考え方のため、適切な薬物療法が継続されず、(つまり処方された通りに薬を飲まなかったり、あるいは常に疑問を持ちながら飲んでいたりする)、回復が遅れるのはよくあることです。

そのようなことから作業所に通い始めたばかりよりも症状が悪化したとも疑います。

それもまた根拠がありません。ある一時においてあわない薬を飲んだことによって、長期的な症状が悪化することはありません。

薬物療法だけでなく、それと並行して何か私が受けた方が良い治療はありますか?

今あなたは薬物療法以外の治療を十分に受けておられます。

あせる気持ちは理解できないこともありませんが、【4103】の回答にお書きした通り、あなたは主治医の先生をはじめ、作業所のスタッフ、ご家族など、多くのサポートが受けられる環境にあります。この環境は誰にでも得られるものではなく、その意味で非常に幸運なことです。この恵まれた環境を最大限に生かし、社会復帰に向けての歩みを続けてください。

(2923.9.5.)

05. 9月 2023 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: , |