【4896】1 人の新入社員が原因で部署が崩壊しそうです
Q: 私は中小企業で事務職をしている会社員(30代女性)です。
新卒入社したAさん(男性・20代半ば)が原因で部署が混乱状態に陥っており、対処法をお伺いしたくメールさせていただきました。
Aさんは一見すると非常に物腰柔らかで礼儀正しい人物なのですが、指示を理解できない、ミスを繰り返す、被害者意識が強い、他人に責任を擦り付ける等の行動が原因でフォローする社員の仕事量や精神的な負担が増大し、入社して半年で関わった社員2名ともを休職に追い込んでしまいました。
休職者はAさんの直属の上司Bさん(40代男性)、AさんのOJT担当(On the Job Training = 指導役)のCさん(20代男性)です。
どちらも元々仕事が多忙だったためすべてがAさんが原因とは言い切れませんが、何度マニュアルを見せながら丁寧に仕事を教えても覚えず、フォローしても感謝も反省もなく、むしろBさんやCさんの教え方が悪いとかパワハラ気質だとか周りに言いふらす状況でしたので、ストレスだったのは間違いないと考えています。
そして、CさんからOJT担当を引き継いだ私自身、精神的な限界が近いです。
Aさんの何が仕事を困難にしているのだろうと考えてみましたが、以下の3つが大きな要因だと思います。
1.過去の経験を適切に参照できない →同じようなミスを何度も繰り返す
2.相手の状況や考えを想像できない →感謝しない、被害者的な考え、すぐにバレる嘘をつく
3.程度の違いや細かいニュアンスが理解できない →1から10まで指示しなければ適切な仕事ができない
特に1は仕事上のトラブルにつながることが多く、周囲の社員が懸命にフォローして何とか事なきを得ますが、Aさん本人それに気づかず「なぜか上手くいった」程度に捉えており、また問題行動を繰り返します。
応用が苦手なら毎回根気強く教えればいいと考えていたのですが、あまりに応用が利かないため、これではティーチングに何百時間かければいいのかと気が遠くなります。
最初にAさんは物腰柔らかで礼儀正しいと書きましたが、それも度が過ぎているように感じます。
誰に対しても芝居がかった堅苦しい敬語を使い、同期に「もっと気軽に話そうよ」と言われても「ご高配、大変痛み入ります」と両手を揃えてうやうやしく頭を下げるといった調子です。
かと思えば丁重に接するべき上司にスタンプだけで返事をしたり、ほとんど関わりのない異性に対して距離を詰めすぎたり、会議中に重役が重要な話をしているのを遮って些細な言い間違いを指摘したりと、失礼極まりない行動を悪気なく取ったりします。
常に「どちらが上か」という意識があるようで、自分より下の立場とみなした相手(取引先、委託スタッフなど)は奴隷に等しい存在と考えているようで、周りが青ざめるような無理難題を要求したりします。
その度に指導をするのですが、Aさんは「やはりそうですよね。以後気を付けます。大変貴重なご指摘、誠にありがとうございます。」とにこやかに頭を下げるものの、日付が変われば何度も繰り返してしまいます。
また礼儀正しさの裏に「丁重に接してやっている」という傲慢さが透けて見えることもあります。どうも、「目上の者には礼儀正しいが、下の者には冷酷な自分」に酔いしれているように見えます。
とても自己評価が高いように見えますが、時折卑屈な面をのぞかせ、本人の中でも自己評価が一貫していないように感じます。
表情や動作、発話もぎこちなく、こう言っては失礼ですが表面だけ人間を真似ている宇宙人のような印象を受けます。
一方で、高学歴であり、試験などは非常に得意なようです。
私はAさんは発達障害ではないかと思っており、カウンセリングなどで自分と社会のギャップを自覚してほしいと切に願っています。
しかしAさん本人はおそらく自覚がなく、むしろ取引先のメールの誤字を見て「今流行りの、発達障害というものではないかと推察いたしますが」としたり顔で揶揄しているような有様です。
遠回しな言い方で診察を勧めても、Aさんからすれば自己への批判、人格否定と捉えられてしまうことは容易に想像ができます。
先生の臨床の経験上、どのように伝えればAさんに自分と社会のギャップを理解してもらえますでしょうか。
また、先生はAさんを発達障害だとお考えでしょうか。その場合、どれに分類されるでしょうか。これをお聞きするのは、薬などで症状が和らぐのか、そうではないのかを知りたいためです。
愚痴になってしまいますが、Aさんに悪気がないとは分かっていても本当に苦しいです。
例えば病気や障害が原因で他人に危害を加えたときに減刑措置が取られることがありますが、その考え方でいえばAさんも恐らく発達障害がそうさせているのだから許すべきなのか?と悶々としてしまいます。
この苦しみの原因であるAさんが、感謝も反省もしないどころか、自分は優秀で周りが無能であるといった態度で働いているのを見ると、自分もパワハラ加害とは無縁でいられないかもしれない、と怖くなります。BさんやCさん、そして自分自身がAさんに対して怒鳴り散らしていないのが奇跡だと思うほどです。
お互いにとって良い関係を築くため、先生のお知恵をお借りできますと幸いです。
林:
1
先生はAさんを発達障害だとお考えでしょうか。
発達障害だと思います。
が、そう判断した理由を含め、診断のことはひとまず措いて、職場の状況に話を移しましょう。「ひとまず」というより、いったん、診断とか障害とかいうことは忘れてください。その理由は後述します。
2
質問者によれば、Aさんは
何度マニュアルを見せながら丁寧に仕事を教えても覚えず、
とのこと、つまり端的には「Aさんは仕事ができない」ということになります。そして単に仕事ができないだけでなく、
フォローしても感謝も反省もなく、むしろBさんやCさんの教え方が悪いとかパワハラ気質だとか周りに言いふらす状況でした
とのこと、そのような状況だとすれば、【4896】のタイトルの通り、
1 人の新入社員が原因で部署が崩壊しそうです
と職場が危機に陥るのも理解できるところです。
そして質問者は、Aさんの問題を次のように分析しておられます。
Aさんの何が仕事を困難にしているのだろうと考えてみましたが、以下の3つが大きな要因だと思います。
1.過去の経験を適切に参照できない →同じようなミスを何度も繰り返す
2.相手の状況や考えを想像できない →感謝しない、被害者的な考え、すぐにバレる嘘をつく
3.程度の違いや細かいニュアンスが理解できない →1から10まで指示しなければ適切な仕事ができない
この3つが原因であるとすれば、問題がAさんにあることは明らかです。
「問題がAさんにあることは明らか」って、そんなことはわかっている、質問しているのはその先だ、と質問者はおっしゃるかもしれませんが、職場の問題は、出発点として、問題が本人にあるのか、それとも職場にあるのか の切り分けは当然ながら非常に重要です。そして多くの場合は、どちらの側にもそれなりの問題があるものですが、この【4896】の場合は、おそらく専らAさんの側に問題があると言えるでしょう。
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もしそうなのであれば、方針は単純明快です。職場とは、労働者が労働を提供し、雇用者がその対価として報酬を支払うことで成り立っている。それが労働契約ですから、Aさんは契約を履行していない。したがって契約違反であって、雇用を継続することはできない。それで話は終わりです。終わりのはずです。
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愚痴になってしまいますが、Aさんに悪気がないとは分かっていても本当に苦しいです。
質問者はこう言っておられますが、この場合、Aさんに悪気がある・ないは何の関係もありません。
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さて、ここまでは【4896】を労務上の問題であるとするという観点からの回答です。
では医学的にはどうでしょうか。冒頭の1を思い出してください。Aさんは発達障害だと思われます。
表情や動作、発話もぎこちなく、こう言っては失礼ですが表面だけ人間を真似ている宇宙人のような印象を受けます。
一方で、高学歴であり、試験などは非常に得意なようです。
これは発達障害として典型的な姿です。そのほか、【4896】のメールに書かんれた内容を総合しますと、Aさんは発達障害である可能性が高く、他の障害である可能性はきわめて低いです。
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発達障害であれば、そして発達障害が原因で職場での不適応が発生しているとすれば、Aさんは医学的には治療の対象になります。Aさんが医療期間を受診されれば、医療者としては、Aさんが職場に適応できるように治療的介入をすることになります。医療者としては、職場にも、職場環境をAさんに適したものに変えていくよう要請することになるでしょう。但しここで重要なことは、上のことは「医学的には」「医療者としては」であって、「労務的には」「職場の上司や同僚としては」そうとは限りません。「そうとは限りません」というより、「そうではありません」の方がおそらく適切な表現でしょう。職場は治療やリハビリの場ではありません。「職場環境をAさんに適したものに変えていく」のは医療者の立場からの要請であって、職場はAさんのためにあるのではない以上、変えるといっても限度があります。
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冒頭の1で私が「いったん、診断とか障害とかいうことは忘れてください」と述べた理由はここにあります。「Aさんのために職場が困窮している。それは通常の困窮という言葉で表現できるレベルを超えて、Aさんが原因で部署が崩壊しかねない状況に達している」のであれば、それは、労務・人事の問題です。医学・医療の問題ではありません。Aさんをめぐっては、この二つは(「労務・人事の問題」と「医学・医療の問題」の二つは)密接に関連していますが、質問者は医療者ではない以上、労務・人事の問題として対処する責務があるのであって、医学・医療の問題として対処する責務はありません。結局この【4896】の困窮の原因は、「労務・人事の問題」と「医学・医療の問題」の混同にあると言えます。
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質問者は次のようにもお考えになって苦悩しておられます。
例えば病気や障害が原因で他人に危害を加えたときに減刑措置が取られることがありますが、その考え方でいえばAさんも恐らく発達障害がそうさせているのだから許すべきなのか?と悶々としてしまいます。
精神障害者が他人に危害を加え刑事裁判になったとき、量刑が一定程度軽くなることがあるのは事実で、その理由は情状と責任能力があり、情状と責任能力は法律上の意味が全く異なりますが、ここではそこには踏み込まず、「精神障害者が他人に危害を加え刑事裁判になったとき、量刑が一定程度軽くなる」ことをひとまとめにして扱いますと、いずれにせよあくまでも「一定程度軽くなる」であって、「許される」わけではありませんから、質問者のおっしゃるところの「Aさんも恐らく発達障害がそうさせているのだから許すべきなのか?」は、「その考え方でいえば」には全くあたらず、全くの筋違いです。
(「精神障害者が他人に危害を加え刑事裁判になったとき」には、「量刑が一定程度軽くなる」ではなく、無罪になることが、稀ですが、ありえます。それは心神喪失=責任能力なし という裁判所の認定によるもので、全く意味が異なります。この点については上記の通り、ここでは踏み込みません。【4896】のご質問とは無関係だからです)
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他方で、「病気や障害が原因で他人に危害を加えた」場合でも死刑判決が出されることがあります。最近のそんな事例として京都アニメーション放火殺人事件 がありますのでご参照ください。(【4896】回答の2024.11.5.の時点では未完ですが)
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おそらく質問者は、7の「質問者は医療者ではない以上、労務・人事の問題として対処する責務があるのであって、医学・医療の問題として対処する責務はありません」のように割り切ることはできないとお考えになることと思います。そのように割り切るということはすなわち、「理由が何であれ、仕事ができないことに変わりはないのだから、病気だとか障害だとかそんなことは考慮する必要はない」というのと同じではないか。質問者は(あるいは読者の中の一定数の方々は)そう批判されるかもしれません。
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その批判にはあえて次のようにお答えしましょう。
「そうです。「質問者は医療者ではない以上、労務・人事の問題として対処する責務があるのであって、医学・医療の問題として対処する責務はありません」とは、「理由が何であれ、仕事ができないことに変わりはないのだから、病気だとか障害だとかそんなことは考慮する必要はない」というのと同じです。」
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但しここには条件があります。「職場でAさんのために十分な配慮をしたのにもかかわらず、Aさんに改善が見られず、今後も改善の見込みがないのであれば」という条件です。さらに「そして職場がAさんのために崩壊の危機にあるのであれば」という条件によってそれは強化されます。
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つまり、職場の困窮・被害が(周囲の人々の困窮・被害が と言い換えることもできます)、ある臨界点を超えた場合には、Aさんが病気であるとか障害を持っていることについての配慮は不要になるということです。
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再び先の京都アニメーション放火殺人事件と対比しますと、あの事件は、被告人の妄想に強く影響されて起きた事件ですが、1審の判決は死刑になりました。つまり被告人が障害者であることの配慮は不要なレベルの事件であったということになります。もっとも、裁判所は、「事件には妄想の影響はほとんどない」として死刑判決を下したのですが、京都アニメーション放火殺人事件 に記した通り、裁判所の論考が欺瞞であることは明白です。裁判所は事実を歪曲して、妄想と事件の関係を否定しています。しかし裁判所は、たとえ事実を歪曲してでも死刑にしなければならないほど、あの事件による周囲の人々の苦悩・被害は甚大であったと判断したものと考えられます。
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刑事事件と職場の問題は、もちろん同列に論ずることはできませんが、「障害には配慮するが、周囲の苦悩・被害がある臨界点を超えた場合はその限りではない」という点では同様であると言えます。
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それに関連する重要なキーワードとして「合理的配慮」があります。ご承知かとも思いますが、障害者差別解消法が2024年4月1日に改正され、障害者に対して事業者は、合理的配慮を提供することが義務化されました。法の条文の、【4896】に特に関連する部分は次の通りです(下線は林による)。
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律
第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。
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ここで問題となるのは下線を引いた その実施に伴う負担が過重でないときは という部分です。すなわち、過重とは具体的にどの程度を指すのか。この点、政府広報オンラインには 「「過剰な負担」かどうかの判断は?」として次のように記されています。
合理的配慮の提供が、各事業者にとって「過重な負担」かどうかの判断は、以下の要素などを考慮して、個別の事案ごとに具体的な場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要です。
1. 事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
2. 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
3. 費用・負担の程度
4. 事務・事業規模
5. 財政・財務状況
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上の1から5は、考え方としては大いに参考になりますが、具体的に「どの程度」だと「過重な負担」ということになるかは示されていません。それは今後、判例が積み重ねられて輪郭がはっきりしてくると思われ、つまり今のところは全くわからないということです。現状、【4896】のAさんに対して職場に求められる配慮は、「過重な負担」のレベルであると推測はできますが、そこは裁判になってみないとわかりません。
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もっとも、【4896】のAさんにおいては、発達障害と診断されているわけではなく、発達障害を理由に何らかの配慮が職場に求められているわけではありませんから(何の障害であるとも診断されていない)、そもそも障害者差別解消法とは、現段階では何の関係もありません。すると、7で述べた通り、「Aさんのために職場が困窮している。それは通常の困窮という言葉で表現できるレベルを超えて、Aさんが原因で部署が崩壊しかねない状況に達している」のであれば、それは、労務・人事の問題です。医学・医療の問題ではありません。Aさんをめぐっては、この二つは(「労務・人事の問題」と「医学・医療の問題」の二つは)密接に関連していますが、質問者は医療者ではない以上、労務・人事の問題として対処する責務があるのであって、医学・医療の問題として対処する責務はありません。
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しかし、OJT担当者である質問者がAさんの問題は発達障害に起因するのではないかと考えておられる以上、質問者はAさんに診断や医療を受けていただくよう促す責務があると言えるでしょう。この責務を果たさないうちは、3で述べた「職場とは、労働者が労働を提供し、雇用者がその対価として報酬を支払うことで成り立っている。それが労働契約ですから、Aさんは契約を履行していない。したがって契約違反であって、雇用を継続することはできない。それで話は終わりです。」という話にはなりません。3はあくまでも、1で述べた通り、「いったん、診断とか障害とかいうことは忘れて」という条件下のことであることを思い起こされてください。
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Aさんに受診を促すことについて、質問者は次のように述べておられます。
遠回しな言い方で診察を勧めても、Aさんからすれば自己への批判、人格否定と捉えられてしまうことは容易に想像ができます。
その通り、容易に想像できます。
しかし、そのように想像できるということを理由に診察を勧めないと決断することが正しいかどうかは別の話です。
診察を勧めないということは、Aさんを健常者として扱うということです。それは1で述べた通り、「いったん、診断とか障害とかいうことは忘れて」ということと同じですから、3で述べた通り、職場とは、労働者が労働を提供し、雇用者がその対価として報酬を支払うことで成り立っている。それが労働契約ですから、Aさんは契約を履行していない。したがって契約違反であって、雇用を継続することはできない。それで話は終わりです。
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Aさんについて、このように、それで話を終わりにするという考え方も一理はあると言えるでしょう。しかし、質問者が、Aさんが発達障害であると推測している以上、その考え方には私は賛同できません。質問者には、Aさんに受診を促す責務があると私は考えます。
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受診を促した場合、「Aさんからすれば自己への批判、人格否定と捉え」た結果、Aさんから激しい攻撃性が発露されるかもしれません。
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それを危惧して受診を促さないのであれば、かつ、「Aさんは契約を履行していない。したがって契約違反であって、雇用を継続することはできない」という判断にも踏み切らないのであれば、現在の状況を容認して続ける以外にありません。その結果は「1 人の新入社員が原因で部署が崩壊しそうです」からさらに進んで、「1 人の新入社員が原因で部署が崩壊しました」という結末になるでしょう。つまり行動しないのは結論を先延ばしにしているにすぎないということです。
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この苦しみの原因であるAさんが、感謝も反省もしないどころか、自分は優秀で周りが無能であるといった態度で働いているのを見ると、自分もパワハラ加害とは無縁でいられないかもしれない、と怖くなります。BさんやCさん、そして自分自身がAさんに対して怒鳴り散らしていないのが奇跡だと思うほどです。
このように述べるとき、質問者は、部署が崩壊するという結末を予期されていると言えると思います。
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このあたりで結論に入ります。Aさんへの対応として現実的に望ましいのは次の通りだと思います。
(1) 職場として、つまりAさんをめぐる問題を労務上の問題として、できるだけのことはする・・・これはおそらくすでになされていると思います。
(2) 労働契約の破棄を考慮するしかない段階に達したら、医療をうけることを促す・・・現在はこの段階だと思います。
医療を促した結果は二つに枝分かれします。
(3)-1 Aさんが医療を受けることを拒否した場合・・・労務上の問題として、労働契約に基づき粛々と進める。おそらく最終的には解雇ということになるでしょう。
(3)-2 Aさんが医療を受けた場合・・・医師から出された診断書によって職場の対応が決まるでしょう。このとき、「合理的配慮」「過重な負担」がキーワードになります。このキーワードの具体的内容は17, 18で述べた通り、現時点ではわかりません。ただ確実に言えることは、法的な問題になることを視野に入れて、これまでのAさんの言動や仕事内容、そして職場はAさんのためにどのような努力をしたか、その結果はどうであったか、などについて、できるだけ具体的に記録を残しておくことが必要だということです。
以上は、OJT担当とはいうものの、質問者の職責を超えた要求であると思われ、職場の管理者レベルに動いていただく必要がある事項であると思います。
(2024.11.5.)