【4894】統合失調症と診断された妻に見られた症状の追加(【4759】、【4886】のその後)

Q: 【4886】統合失調症から回復した妻の奇妙な様子 にて回答頂きありがとうございました。
少し誤解がある様に感じた為、補足いたします。
【4759】で記載した症状は飽くまで「自分がQ&Aで見た情報とギャップを感じた症状」です。 【4759】で取り上げていただいたメールの直後にお送りした2通目のメールに、「ギャップを感じなかった症状」も記載しております。
再記すると
>・強い不眠(症状がある間ずっと)
>・食欲低下(0~通常で波あり)
>・鬱症状(ネガティブ発言と自傷行為あり)
>・音に対し異常に過敏(何でもない小音にも怯え耳を押さえている)
>・認知機能低下(特に記憶力。次に理解力。失踪も2度あり。)
>・不安障害?(人のいる所に行きたがらない。家に居ても不安そう。)
>・奇妙な行動(家中の窓を全開したり、必要のない掃除をしたり、 突っ立たまま静止していたり。)

以上補足です。

ただ御指摘頂いたとおり「他の疾患である可能性」にも注意していきたいと思います。
また「脳のMRIと脳波の検査」も実施しており問題がなかったから退院できたはずです。
当件は主治医にも相談しているのですが、 「能力の低下は確認できているので日常生活の不都合は周りのサポートでなんとかして下さい」 という様な回答でした。
(妻は今回の入院以前に一度精神疾患で入院歴あり。 その時の資料(IQテスト?認知機能テスト?)より 過去の入院時より能力が低下していることを主治医は確認している模様。)

追加の質問申し訳ありませんが
妻の能力(IQなり認知機能なり)は回復する見込みはあるのでしょうか?

今回相談した「普通なら関心を持つ事態に対して無関心」も日常生活する上で困るのですが、もう少し些細なミスとして 「子供が糖分を摂取し過ぎなので糖分摂取を減らそう」と夫婦で話をし菓子パンの購入を制限している時に、ホットケーキを自作したり、食パンにピーナッツバターを塗ったりして、子供に与えようとします。
「子供の糖分摂取を減らす目的に対して矛盾した行動である」
と指摘すれば理解するのですが指摘するまで気付かない様です。
また寿司を作る為に酢飯を用意したとき酢飯を炊飯器に戻し保温した事もありました。
それも指摘すれば「そういえば温かい寿司って食べた事ないな」との行動のおかしさを自認している様ですが・・。

このような行動の理由がIQの低さにあるのか認知機能の低さにあるのかわかりませんが、 回復するようであれば回復を期待しております。
(妻は偏差値60程度の理系国立大学を卒業していて難関国家資格も所有しています。
日常生活の行動と、学問にある程度の相関関係がある事が前提ですが、 20歳前後の妻であれば上記の様な些細なミスはしないのでは?と勝手に思っています。)

以上、追加質問の御回答頂ければ幸いです。

 

林: 追加情報をありがとうございました。ご指摘の通り、【4759】は、2通目のメールの内容を私が認識しない状態で回答したものでした。過去のメールをあらためて見直してみましたところ、確かに2通目のメールをいただいていました。【4759】では部分的な情報のみに基づいて回答してしまい失礼いたしました。

あらためて2通目のメールの内容を1通目のメールの内容に加えて総合的に見てみますと、奥様の全体像は、非常に典型的ではないものの、統合失調症としてそれほど珍しくないと言えると思います。2通目のメールの内容は、すべて、慢性化した統合失調症の症状として理解できるものです。そして何より重要な可能性があるのは、今回の【4894】のメールで初めて開示された、

妻は今回の入院以前に一度精神疾患で入院歴あり

という点で、この時にどのような症状だったのか、どんな治療を受け、そしてどの程度まで回復したのかが、診断上重要な情報です。この時の症状が統合失調症としてそれなりに典型的で、その後の状態も、何らかの症状が残遺しており、【4759】の「薬で簡単に元通りになった」ということ自体は事実であったとしても、その「元通り」は、決して統合失調症としての症状が消滅したわけではなく、【4759】以前からの状態(ある程度の症状が残遺していた状態)に復したにすぎなかったという可能性が最も高いと思います。

このような行動の理由がIQの低さにあるのか認知機能の低さにあるのかわかりませんが、

統合失調症の陰性症状でしょう。「陰性症状」と「認知機能の低さ」は、言葉の意味として完全には一致しませんが、重なる点は多いですし、また、広い意味では陰性症状とは認知機能の低さにほかならないということもできますので、現在の奥様の状態は認知機能の低さの現れであると表現することもできます。(なお、IQは認知機能に含まれます)

(2024.11.5.)

05. 11月 2024 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: , |