【4886】統合失調症から回復した妻の奇妙な様子(【4759】のその後)

Q: 【4759】統合失調症と診断された妻が、治療を受けてすぐにきれいに改善しました で回答いただいた者です。 妻はあれから通院と服薬を継続しております。

1点だけ妻について気になる事がありメール致します。
私たち夫婦には子が二人いるのですが(2歳代と1歳代)、子が非常に強く泣きじゃくっている時 妻は子の傍(50cm程度の距離)で泣きじゃくる子をただボーっと眺めているだけというシーンに何度も遭遇したことがあります。 (私が見ていないだけで、妻は泣きじゃくる子に対しただボーっと眺めるだけという対応を日常的にしていると思われる。)

入院の約1年前(今から約2年前)からその様な対応を目にしていたので妻に対しキチンと対応するよう言い続けてきましたが今も変わりません。
当時と違う点は次男の存在です。
今は長男が次男に対し悪さ(のしかかったり、物を投げつけたり)したとき当然次男は泣きじゃくります。
その時の妻の対応も(50cm程度の距離から)ただボーっと眺めるだけです。
次男に対する長男の悪さを阻止することもしません。

これらは統合失調症やその他精神疾患の症状の可能性はありますか?
家事や上記以外の育児については特に異常性は感じません。
なぜボーっと眺めるだけなのか問うと「対応しても効果が無いから」と答えます。

ちなみに私が体調を崩し夜中に何度もトイレで唸っていても すぐ近くの部屋にいる妻は私の様子を窺う事もしません。 なので子供相手だからただボーっと眺めているだけなのではなく 困っている人に対しては何もしないという風に感じられます。

以上、ご回答いただければ幸いです。

 

林: 普通なら関心を持つ事態に対して無関心というのは、統合失調症の陰性症状の可能性があります。統合失調症では、陽性症状(幻覚や妄想)がおさまった後に、陰性症状が長く続く場合があります。けれども、今回の【4886】でご報告いただいたような、特定のことにのみ無関心というのは、統合失調症の陰性症状としては違和感があります。

そこで、【4759】でご報告いただいた症状を見直してみますと、本当に統合失調症であったかどうかということから見直す必要があるように思います。【4759】によれば、症状としては、
・今無関係な過去の嫌な記憶を語りだす(何らか後悔を思い出している)
・解決済の過去の課題に取組もうとする(子作りや近所付き合い)
・娯楽に触れられない(ネガティブな情報を自分の事の様に受け取る)
この三つのみで、それらが突然に現れ、三週間後には完全に消失したということになり、このような症状の背後には、語られていない統合失調症の症状があることは否定できず、また、抗精神病薬による治療で消失したことからも、統合失調症という診断は一応は妥当です。
けれども、統合失調症として典型的とまでは言えないのも事実で、現在の状態とあわせ、他の疾患である可能性を慎重に検討する必要があると思います。具体的には、少なくとも脳のMRIと脳波の検査は受けることが勧められます。そのほか、何らかの身体疾患に伴う精神症状の可能性もあるかもしれません。いずれにせよ、精密検査を受けたほうがいいと思います。

(2024.10.5.)

05. 10月 2024 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: |