【4670】躁うつの治療で良くなったのだと思っていたら、境界性人格障害だと言われました(【2315】、【4115】のその後)

Q: 【2315】私は擬態うつ病だと思うのですが、それでもお薬を飲むべきなのでしょうか
【4115】擬態うつ病だと思っていましたが、躁うつ病の薬を飲んだら意外にも症状がかなり改善されました
でお世話になった50代女性です。その節は本当にありがとうございました。

今でもクリニックに通っています。目下の処方はエビリファイ2mg(1mgを2錠)を朝に1回と、頓服(眠れないときや不安なときなど)でブロマゼパム2mgを1錠です。ずっとエビリファイ3mgだったのですが、2023年1月8日の診察で、2mgに減らしてみることになりました。

その少し前に、躁うつ病、統合失調症、アルコール依存症だと加入できない保険を知人に勧められたため(結局、その保険には加入はしないことに決めましたが)、病名確認のためクリニックに行きました。担当の先生のいらっしゃらない曜日・時間帯だったので、別の先生に伺ったのですが、病名は「うつ」で、躁うつではないと言われました。うつがだいぶ良くなってきた状態ですとのことでした。自分では躁うつだと思っていたので驚きました。

つい先日に担当の先生の診察を受けにクリニックに行ったところ、保険のことでクリニックに来た記録が残っており、私の病名の話になりました。先生いわく、私は以前の統合失調的な症状がかなり取れて、ずいぶん良くなってきており、病名をつけるとしたら境界性人格障害だと言われました。しかし、境界性人格障害としてしまうとエビリファイが処方できなくなってしまうので、書類上の病名は変えないでおくとのお話でした。

統合失調などと言われてびっくりです。統合失調症でうつ症状だけ出るということがあるのでしょうか。私は幻聴や幻覚などはなかったと自分では思います。そして統合失症が良くなって境界性人格障害になるということがあるのでしょうか。まさか、先生はどなたか別の患者さんと私を間違えてしまわれたりしたのでしょうか。

強いて言えば、小学校高学年の頃に、背後から先生が私を怒鳴りつける声が聞こえることがありました。振り向くと、先生は向こうの方にいらっしゃるのですが、別に大声で怒鳴った直後のような雰囲気ではなく、当時は自分にはテレパシー能力があるのかもしれないなどと思っていました。それも中学に入ると治ってしまい、現在にいたります。

あとは小学3年の9月から離人症に悩まされてきましたが、何か関係があるでしょうか。小学3年生の9月1日の朝に起きたら、発熱したときのように頭がぼーっとして、それきりそのぼーっとして感じは治りません。頭に薄い膜でも巻かれた気がしていました。また、周りの物にも薄い膜が張っていて、直接さわれないような変な感覚でした。今ではそれに慣れてしまってどうとも思いませんが。ともかく、あたまがぼーっとして、ボケて働きも落ちたのではないかと感じられてなりません。

確かに独り言は多いかもしれませんが、一人のときにしか言っていないと思います。

あとは、入浴が面倒くさいのはいまだにあります。入浴してしまえばさっぱりして気持ちが良いのに、外出の予定のないときはお風呂に入らず引きこもっています。外出前に仕方なく入浴する状態です。

治療前は希死念慮がひどく、当時働いていた建物の8階までの吹き抜けで、自分がその8階から飛び降りて1階の床に激突するイメージをかなり具体的に心に思い浮かべてしまうことなどもありましたが、今はそんなことはありません。

とにかく、【4115】のメールの時点では、うつ治療を受けていたけれど抗うつ剤がぜんぜん効かないため、躁うつ治療に切り替えられてそれが功を奏してうつ状態が軽快したのだと思い込んで納得していたので、驚いています。

私は実は統合失調症だったのでしょうか。それが軽快して、今は境界性人格障害なのでしょうか。

 

林: その後の経過のご報告をいただきありがとうございました。【4115】の回答の通り、あなたは双極性障害(躁うつ病)です。
双極性障害と統合失調症は別の疾患ですが、現実には移行型や、どちらとも診断しにくいケースがありますので、双極性障害の診断が統合失調症の診断にかわったり、逆に統合失調症の診断が双極性障害の診断にかわったりすることは、ありうることです。けれどもあなたの場合は、【2315】、【4115】、【4670】の内容以外によほど重要な事実がない限り、統合失調症という診断にかわることはありません。また、境界性人格障害とは全く異なります。

先生いわく、私は以前の統合失調的な症状がかなり取れて、ずいぶん良くなってきており、病名をつけるとしたら境界性人格障害だと言われました。

それはでたらめで、その医師は信用できないと言わざるをえません。

ただし、境界性人格障害という診断名は、もともとは、神経症と精神病の境界という概念に基づいていますので、それに似た意味あいで用いられたのであれば、あなたの診断名を境界性人格障害とすることがでたらめとまでは言えませんが、しかし現代の精神医学における境界性人格障害という診断名はそのような意味で用いられることはまずありませんので、やはりでたらめという批判は免れないでしょう。

そうした問題はありながらも、現在の処方で症状は安定されているようですので、今の治療を続けてください。安定の維持が十分に期待できると思います。

(2023.5.5.)

05. 5月 2023 by Hayashi
カテゴリー: 境界性人格障害, 精神科Q&A, 躁うつ病 タグ: |