精神科Q&A
【2315】私は擬態うつ病だと思うのですが、それでもお薬を飲むべきなのでしょうか
Q: 40代女性です。すぐに疲れて横になりたくなる、どんなに頑張っても時刻が守れない、離人症などの症状で、8年前に神経科のクリニックを尋ねました。(それよりずっと以前から症状は出ていたのですが、父の扶養家族だったため、保険証が両親と一緒で、精神科等を受診すると親にばれるのでは、と思い、受診できませんでした。その後、仕事が見つかり、保険証が分かれたので、受診を決めました。) 最初はいただいたお薬が効かず、何も変わらなかったのですが、スルピリドというお薬を飲んだところ、症状が改善しました。ところが、副作用で生理が止まるなどしてしまい、再びお薬を替え、結局ノーマルンに落ち着きました。
その後、いろいろ変遷はありましたが、今のところ、毎食後:ノーマルン25mgを1錠+ノイミオール25mgを1錠、就寝前:セネバクール12mgを2錠+リスペリドン1mgを1錠+エチセダン1mgを1錠に落ち着いています。 一応「毎食後」となっていますが、先生いわく、「1日の分量を守れば、ど〜んな飲み方をしても構わない」とかなりアバウトでした。 しかし先月、重い風邪を引いてしまい、お薬がなくなったのに取りに行けず、1週間ほど断薬してしまいました。 本調子ではないものの、何とか出掛けられるようになり、クリニックに行って事情を話すと、今日からまた以前どおりの服用を再開すれば良いとのこと。1週間もお薬が途切れたのに、それで良いの?と肩透かしを食ったような気分で、お薬を受け取って帰る道々、服用を中断してしまっても、また単純に再開すれば良いだけなら、休みの日まで几帳面に飲むことはないかもしれないなあ、などという考えが浮かんできました。 それに、1週間お薬を飲まずにいたら、お腹の調子は良いし、体重も3キロほど減ったし、これは副作用が抜けたのではないかと思われ、そもそも、7年もお薬を飲み続けて治らないのはおかしい、先生の様子からみて、いただいているお薬はプラセボ効果狙いなのではないか、私は実は擬態うつ病で(先生に、一度、私の病名は何ですかと伺ったのですが、「病名がわかったところでどうするの?大切なのは、病名をはっきりさせることではなくて、症状を改善させることでしょう?」とはぐらかされてしまいました。)お薬なんかいらなかったんじゃないか?という気がしてならなくなりました。 ちょうど仕事が一段落して、休暇が取れて家に引きこもる日が続いて、生活リズムが乱れた(夜更かし朝寝坊)こともあり、お薬の服用もめちゃめちゃになっています。1日1回しか飲まなかったり、ぜんぜん飲まなかったりです。それでもひどく落ち込むことはないように思います。ただ、お薬を飲むと、心臓がどきどきするのが収まるなど、体調が良くなる部分もなくはなく、お薬も一応何かの効果は実はあるようです。 しかし、まじめに毎食後1日3回飲んだら、また太るのではないか、などと考えてしまうと、指示通りには飲めません。もし、私が擬態うつ病だったら、効果もないお薬を飲んで太ることになる(お薬を飲んでから、体重が7〜10キロ増えました。一時期、アモキサンを飲んでいたことがあるのですが、その頃がいちばん太りました。)わけで、それはあまりに馬鹿馬鹿しいです。ちょっと飲むと、すぐに体重が2キロくらい増えてしまうので、恐ろしいです。 そもそも、きちんと1日3回飲んでいたって、どうしても年賀状印刷に取り掛かる気力がわかなくてぐったりしてしまったり、仕事関連でもなかなか作業がはかどらなかったり、うつのような症状が消えていたわけではないのです。 擬態うつ病でも、お薬は飲むべきなのでしょうか。本当のうつ病だったら、7年以上も服用し続けるなんてありえませんよね? 副作用のデメリットを補うほどのメリットがあるのでしょうか。 どうぞよろしくお願い致します。
林: 当初の症状についての記載が、
すぐに疲れて横になりたくなる、どんなに頑張っても時刻が守れない、離人症などの症状
だけですので、質問者が擬態うつ病か、真のうつ病かは不明です。
本当のうつ病だったら、7年以上も服用し続けるなんてありえませんよね?
とお書きになっていますが、ありえないということはないです。真のうつ病で、何年間も服薬が必要になることはあり得ることです。
ですから、質問者の病名は不明ですが、ここでは
もし、私が擬態うつ病だったら、
と仮定して回答いたします。
その場合は、質問者のおっしゃるように、
効果もないお薬を飲んで太ることになる(お薬を飲んでから、体重が7〜10キロ増えました。一時期、アモキサンを飲んでいたことがあるのですが、その頃がいちばん太りました。)わけで、それはあまりに馬鹿馬鹿しいです。
といえますが、他方、
お薬を飲むと、心臓がどきどきするのが収まるなど、体調が良くなる部分もなくはなく、お薬も一応何かの効果は実はあるようです。
という効果も確かにあるわけですから、結局は、
副作用のデメリットを補うほどのメリットがあるのでしょうか。
かどうかにかかってくるということになります。
そして、この判断は、最終的にはご自分でなさる以外にありません。
擬態うつ病という言葉は、うつ病のように見える、またはうつ病とされているが、実際にはうつ病ではない、様々なものを含んでいます。この【2315】の質問者は、擬態うつ病だとすれば、公式の診断名としては適応障害にあたると思われます。適応障害の対応については、擬態うつ病 / 新型うつ病 実例からみる対応法の2章をご参照ください。
なお、ここまで「質問者が擬態うつ病だったら」と仮定して回答しましたが、現在も、
きちんと1日3回飲んでいたって、どうしても年賀状印刷に取り掛かる気力がわかなくてぐったりしてしまったり、仕事関連でもなかなか作業がはかどらなかったり、うつのような症状が消えていたわけではないのです。
とのことですので、質問者はやはりうつ病であって、まだ治療効果が十分でない(したがって、他の抗うつ薬を試みることでさらなる改善が期待できる)という可能性もあると思います。
(2012.11.5.)