【4501】治療中断して症状が悪化した統合失調症の保護者を持つ生徒に対して、学校としてできること (【4480】に関連して)

Q: 私は30代の女性です。高校の教員をしております。

【4480】統合失調症の保護者からの学校への執拗なクレーム を読み、質問者の方になにかお伝えできることがあればと思いまして、文章を書いています。

まず、林先生も書いていらっしゃいますが、保護者・生徒・教員、すべての要望を満たす対応はありません。

しかし、それでは何を優先すべきかといえば、生徒であることは当然です。

生徒は未成年、尚且つ小学生となると、大人がいなければ生きていくことはできません。保護者に激しい症状が出ているのであれば、教員が介入し、なんとかするしかありません。

私も過去に、統合失調症の保護者(母子家庭)のもとで育てられている生徒を受け持ったことがあります。入学当初は保護者が通院して治療を受けていたため問題ありませんでしたが、途中からやめてしまったらしく、激しい症状が出てきました。具体的には、我が子(生徒本人)に毒をもられていると言ったり、仕事を辞めてしまったり、食事や洗濯などの基本的な家事をしなかったりするような状態でした。生徒の受ける精神的ダメージは大きく、最終的に児相などと連携しながら、育児放棄という見解で児童養護施設に入所させるという対応をとりました。

保護者がいるにもかかわらず施設に入所させるという対応は、否定的な意見もあろうかと思います。保護者を傷つけたかもしれませんし、教員も批判を覚悟の上で動かなければなりません。それでも、生徒本人の様子を見て、「もうあの家では暮らせない」「あの家に帰るなら死にたい」などという意見を尊重し、「少し強引な対応を取る」という未来に同意をもらい、その上で動いたことに後悔はありません。なぜなら教員は誰よりも生徒を優先すべきだからです。

ただ、私の経験はあくまでも一例のため、同じ対応を提案するつもりは毛頭ありません。どういった対応がベストなのか、現状を見ていない私にはもちろんわかりません。

それでも確実に言えることは、何かしら覚悟の要る行動を起こさなければならないことと、その際は管理職(学校長)に動いてもらわなければならないことの2点です。覚悟の要る行動を起こし、それを実現させるためには、やはり管理職の力が必要になります。

そのため、まず、ひとりの教員にできることは、管理職に対して「我々が何とかしなければならない」という強い思いを伝え、「そのために何ができるか」という提案をすることだと思います。

私に言えることはここまでです。少しでも参考になれば幸いです。

その生徒が理不尽な思いをすることなく、健全に過ごしていけることを願っています。

 

林: 貴重な実体験をご報告いただきありがとうございました。日々実際に生徒に接しておられる教員の方の、実際のご対応のご報告は、何より貴重であると思います。

お書きいただいている通り、一例についてのご対応を一般化することはできませんが、

それでも確実に言えることは、何かしら覚悟の要る行動を起こさなければならないことと、その際は管理職(学校長)に動いてもらわなければならないことの2点です。

このことは類似の問題が発生したときに常に言えることだと思います。
ご報告に重ねて感謝申し上げます。

(2022.5.5.)

05. 5月 2022 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: |