【4480】統合失調症の保護者からの学校への執拗なクレーム
Q: 30代の小学校主任教諭をしております。
保護者には様々なご病気を抱えておられる方が多くおり、児童や保護者の気持ちに寄り添いながら教育活動をしていこうの意識しております。
しかしながら、余りに難しい保護者がおり、教育関係機関以外にどのように繋げたらよいかお知恵をいただきたく、メールさせていただきます。
私の担任する中学年の保護者の方に統合失調症のお父様がおられます。
入学式当日から、日頃の教育観について教室で怒鳴るということがあり、その後も毎日のように来校があり、当時の担任は病気になりお休みしています。
その事実を保護者が知ってからは、少し行動が控えられています。
ただ、行動のモチベーションが『先生の力になりたい』ということからのため、なかなか変わりません。
訴えの内容は、最近だと『コロナは風邪であり、世界の陰謀だ』『非接触の体温計はレーザーによる暴力行為だ』『タブレット端末による害のある電波により子供が障害になる』などです。
その訴えを担任、管理職、教育委員宛に何時間も話します。対応策について話しても電波や国のことなど関係ない話をしたがります。
私のほうは適当に会議などと言ってちょっと話を聞いて電話を切るのですが、そうすると管理職や教育委員会に長々と電話をかけ直しています。
このまま学校関係だけの対応ではいけないと感じています。
しかし、お母様も『主人が正しい!』と一緒になっており、子供の様子も影で悪口は嘲笑をしたりと浮いてきてしまっています。
今後、どのような機関と学校として繋がれるかお知恵をいただきたくメールさせていただきました。よろしくお願いいたします。
林: この事態は、
・統合失調症である保護者 (とその配偶者)
・その保護者の子どもである生徒
・学校の生徒と職員
の三者にとって最善の方策は何か という問いに帰結します。
そして、三者のすべてが、いわば「無傷」の解決策は存在しないという事実を直視することが必要です。三者のすべてに対して一定の責任を負われている質問者(=その学校の教員)には特にその認識が必要でしょう。
質問者が何らかの行動を起こせば、三者のうちのどなたかにとって「傷」が大きくなることは避けられません。かといって何の行動もしなければ、問題が先送りされ、三者ともに傷が深まっていくことになります。
今後、どのような機関と学校として繋がれるか
この点については、抽象的には、教育機関と医療機関(保健所を含む)ということになりますが、現実には、その地域のその機関における担当者の姿勢によって大きく左右されます。つまり、誰もが、とまでは言わないまでも、しばしば多くの人が、自分が行動を起こすことによって誰かの「傷」が大きくなり、責任を追及されることをおそれ、他の誰かが行動を起こすことを待つという姿勢になりがちですので、それぞれの機関に公式に割り当てられている役割だけからは、どの機関に主導を求めるかの判断はできないということになります。
そのような背景はありますが、一つだけ常に必要かつ有効なことは、関係期間で事実を正確に共有することです。情報が錯綜していると足並みがばらばらになり、決して有効な対応策はとれないということになります。
(2022.4.5.)