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●●●境界性パーソナリティ障害 患者・家族を支えた実例集 林公一著 保健同人社 2007年
境界性パーソナリティ障害(境界性人格障害と全く同じ意味です)については、私が調べた限りでは、これまでなかなかいい本がありませんでした。どの本も、通りいっぺんのことはもちろん正確に書かれているのですが、(私の見る限りでは)きれいごとに終始し、この障害の真の姿が見えてこないものばかりでした。それがこの本を書いた私の動機です。境界性パーソナリティ障害の、明るい面、暗い面の両方を、隠すことなく、すべて実例を通して描写しました。さらに、治療法や研究がどこまで進んでいるかについても、決してきれいごとにならない事実を書きました。通読すれば、境界性パーソナリティ障害のすべてがわかっていただけるようになっています。かなり多い病気でありながら、実像どころか病名自体もまだまだ十分に知られていない境界性パーソナリティ障害について、この本を通して一人でも多くの方にわかっていただけたらと思っています。
●●●「心の悩み」の精神医学 野村総一郎著 PHP新書
の127ページから153ページ、「境目にいる人達」には、境界性人格障害の実像が見事に書かれています。この本は、精神科Q&A、うつ病、自律神経失調症などのサイトでも紹介した本で、同じものをまたお薦めするのはやや気がひけるのですが、それだけこれが良い本であるとご理解ください。
「境目にいる人達」の章には、著者が実際に出会った境界型人格障害(ボーダーライン)のひとり(もちろん名前は仮名で、内容もプライバシー保護のため実際とは変えてあると思われますが)が生き生きと紹介されています。ボーダーラインの人は、他人の評価が善から悪への両極端に変わります。というふうに言われても実感がわきにくいと思いますが、ここに書かれている実例を読まれるとよくわかると思います。ボーダーラインは実は精神分析の理論を臨床に適用して作られた病名なのですが、精神分析の本をいくら読んでもわかりにくい実像が、この本からはありありと見えてきます。
また、最後に書かれている一行、「あなたが精神科医にかかりたいのなら、ボーダーラインに苦しめられている医者にかかった方が得かもしれない。その医者はきっと親切な医者だから」という教訓は著者の経験と洞察力の凝縮されたものであると私は感じました。
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