【4138】爽やかで軽やかな口調にみんなかなりの好感を持つのですが、実は自己中心的で嘘も多い彼女はパーソナリティ障害でしょうか

Q: 私は27歳男です。いつもサイトを拝読させて頂いております。以前お付き合いをしていた女性(A、28歳)に関わる人が心配で、ご判断を伺いたくメール致します。

私がAと交際したのは半年ほどでしたが、その間に多くのことがありました。これまでに数人の女性とお付き合いしてきましたが、これほど精神的に疲労したのは初めてです。

交際を始めるとき、Aには男性(B、24歳)の影がちらついておりましたが、A曰くBはただの男友達とのことでした。付き合って1か月ほどで、Aの「男女の付き合い」に対する考え方が自分とは異なることに気づきました。たとえば、Aが私に会いたいときは、私の都合をまったく考慮せず「会いたい。今自分が会いたいのだから、恋人なら会いに来るのが当然」と言ったり、「この会いたいという気持ちで自分はおかしくなりそうだ。どうしてくれるんだ。あなたのせいだ」と言ったり、「今どこにいる」というメールや留守電を何回もかけてきたり、といった具合です。まるで玩具を欲しがる駄々っ子のように自分の希望が叶えられるまでずっと喚き散らす、という感じです。

何かがきっかけで自分の思い通りにならないことがあると不機嫌な顔をして黙りこみ、声をかけると「自分は今とても怒っている。この怒りの感情をどう処理すればいいのか。あなたのせいでこの怒りの感情が芽生えてしまったんだから、どうにかして。でないとどうにかなってしまう」と言ったりもしていました。Aが怒りの感情を持っているときは非常に恐ろしく、声を荒げて、こちらが口をはさむことができないくらいしゃべりまくります。

また、Aの嫉妬心も強く、私の異性の先輩に対して、「あの人(=私)はあなたと今後一切話をしたくないと言っている」と勝手に言ったりもしていました。異性に限らず、私が同性の友達と連絡を取っても不機嫌になり、私の交友関係は次第に狭くなってゆきました。また、私の以前の交際相手の女性に対して嫌がらせをしたこともあります。

これだけ私に対する嫉妬心が強いにも関わらず、Aは私と並行してB(24歳男)とどうやら付き合っているらしく、(後で分かったことですが)Bの実家にまで足を運び、Bのご家族もAを公認の交際相手として認めていたらしいのです。

異性にだらしないだけでなく、Aは職場での人間関係も(私から見ると)うまくいっていませんでした。初見は爽やかで冗談も混ぜ合わせた軽やかな口調にみんなかなりの好感を持つのですが(私もその一人でした)、しばらくするとAの発言に嘘が多いことが噂になりはじめました。また、Aから言いだしたのにドタキャンをするというような約束を守らないことが多く、周りの人間は迷惑しているようでした。職場の後輩の女性もAにパシリのように使われていましたが、数か月で嫌気がさしたらしく転職していきました。

私もその傾向に気づき、お付き合いを始めて3か月で別れを切り出したところ、ものすごい剣幕で怒り出し、(情けないですが)面倒になってそのままお付き合いを続けてしまいました。「私に従え」というような発言が多くなり、私はこの言葉に対して非常に不愉快でしたが、従っているふりをしていました。「私に従え」の発言の後には、「あなたは自分では何も判断できない。少し精神がおかしい。おそらく境界性人格障害だ」というようなことも言われました。そのような言葉を初めて聞いたので、本を買って勉強しましたが、私は自分のことをそうではないと信じております。しかし反論するのも面倒なのでAの気持ちが覚めるまで適当に話を合わせ、病的なAの行動について調べていましたところ、Aは自己愛性人格障害ではないかと思い始めました。思い始めると、Aのすべての行動がこの人格障害に当てはまるように思ってきました。

そのころ、AがBのほかにもう一人の男性(C、26歳)とも付き合っていることを偶然知りました。なんとCの実家にも顔を出していたらしいことも後で知りました。あるときAが旅行に行って、そのお土産と称してお菓子を私にくれたのですが、それは、Cのご家族がAに持たせたお土産だったのです。

これ以外にも、自分が不愉快なことは毎日のようにあり、フリをするのにも疲れ、ほとほと嫌気がさし、職場を辞め、家も引っ越して結局半年でAと別れることができました。別れる際もAは待ち伏せしたり古い家のほうに来たり、私の友人たちにつきまとったり、たくさんメールしてきたりしました。メールはどれも私のことを好きだという文章から始まり、最後にはいかに私がダメな人間で障害があるから自分が支えてやっているんだ、と終わるもので、私の周りの人間を蔑したりする文章もありました。

自分が付き合いだした人ですから、嫌な思いをしたのは自分が悪く、私の周りの方々に非常な迷惑をかけたことを反省しております。AはたぶんまだBやCと付き合っていると思うのですが、他の男性がまた私のように引っ掛かるとも知れないです。また、男性に限らず女性も迷惑を受けるともわかりません。
私としては、Aは人格障害なのではないかと思っているのですが、それとも単に性格が合わないだけなのでしょうか。

 

林: Aさんはパーソナリティ障害(人格障害)でしょう。おそらくB群パーソナリティ障害(境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害を含みます)の中のいずれかにあてはまると思います。B群パーソナリティ障害の一部はしばしば虚言を伴いますので、この点もAさんに適合します。

(2020.10.5.)

05. 10月 2020 by Hayashi
カテゴリー: パーソナリティ障害, 境界性人格障害, 精神科Q&A, 虚言