【4137】高圧的で嘘も多い同僚は自己愛性人格障害でしょうか。それとも彼を批判している私がそうなのでしょうか。

Q: 私は39歳男性です。
まずはじめに、メールが長くなりましたことをお詫びします。

私は産業用製品を製造するメーカーの100%子会社(販社)に勤めており、私の仕事内容としては、エンジニアということになりますでしょうか。ユーザーへ赴き、製品を据え付ける工事(いわゆる現場仕事)にも携わり、かつ製品に関するユーザー向けの技術資料作成や、ユーザーの機械の設備診断、報告などもしています。

私は、現在、「うつ病」と診断され、休職中です。 ジェイゾロフト25mgを1日4錠飲んでいます。
「うつ病」とカギ括弧をつけた理由については、後述します。
来月には復職の目途を立てたいと思っています。診断書は2ヶ月の休養を要する、としていただきました。また、病名も、主治医のご配慮により、「抑うつ状態」としていただいています。休職前の診察時には、会社の上司(A取締役とさせていただきます)に同行いただきました。
6年前にもうつ病として3ヶ月ほど休職し、服薬の効果もあり無事復職し、時折波はあるものの、比較的ハードな仕事にも取り組むことができていました。このときも同じ上司に
同行いただいており、また何かにつけ私の主治医に相談しておられるようでした。会社の理解があったこと、信頼できる主治医に会えたこと、薬が症状に良く効いたことは幸運といえると思います。

今回の発症(再発)の経緯としては、今から4,5か月前から海外に技術指導員として赴任しており、やれやれ、とほっとする間もなく、休まず仕事をしたところ、突発的に中国での仕事に赴くことになり、帰国後、腹痛が始まりました。いつもの胃の痛みとはやや違うような感じがして、色々な胃腸薬を服用するも、効き目がないか、30分程度だけ落ち着ける、という状態でした。ただ、会社へ行く時間になると痛み始めるので、「ああ、一種の出社拒否症だな」と軽く考えていたのですが、休みが取れれば一度検査もしていただこうか とも考えていました。

1ヶ月半の海外出張の後、なんとなくいやな疎外感が自分の中にあったように思います。また、いつゆっくり休めるんだろう、という不満のような、不安のようなものも あったかもしれません。

症状が悪化したのは、昨年度施工した物件のクレーム処理あたりからでした。昼間はその機械が稼動しているため、 夜作業をしなくてはなりません。腹痛は回復の傾向なく、 かなり辛い思いをしながら仕事をしていました。

さらに、また新たに急な現場施工の仕事が入り、内容も不明なまま、一向にその内容も聞かされないまま、ただ「行け」とのみいわれる状態でした。これに相当の時間(2日間、残業もあると予想される)を要すると予想されるのに、なおかつクレーム処理についての報告書をその2日で仕上げろ、と命ぜられ、腹痛がひどくなってきて、とうとうダウンしてしまいました。とりあえず上司(A取締役とは別の方、B取締役とします)や、その他会社の方々にご協力いただき、現場施工のほうはキャンセルさせていただき、報告書の方を作成することとなったのですが、就業時間内はまったく何も考えられず、喫煙室で無為にタバコをふかすだけ、夜8時ごろになってようやく仕事に取り掛かれるものの、どうも頭が回らない感じがあり、その報告書作成そのものについてはたいした作業ではないはずなのに、ひどく困難に感じている自分がおり、徹夜してどうにか仕上げる、という始末でした。

現場施工をキャンセルしたこと、どうにも頭が働かないこと、その報告書の内容にも自信がなく、自分が会社にとって迷惑なのではないか、と考え、退職届を出す手続きを始める自分がいました。
就業規則で、所定の様式に沿って届けを出すことになっており、その所定の様式がどこにあるのか総務課に問い合わせ、総務課よりA取締役に話が入り、「退職を考えるより、治療、投薬、休養してはどうか」とのアドバイスを頂いたのですが、そんなことで辛さが軽減されるとは考えられず、いったんは拒否しました。その後4日間、夜間作業があったのですが、こちらの方はどうにか大過なく作業を終えることができました。
その作業に携わる前に、A取締役に「もうなんでもいいから、私をぶち込んでください」と発作的にメールしたためか、4日間の作業終了後、再度上司に促され、受診をし、休職、と相成った次第です。

前述で「うつ病」とカギ括弧をつけたのには理由があります。

2日間の現場施工(私がキャンセルした件)と、報告書を作成するクレーム案件とは、同じ営業の人間(Cとします)が担当しています。

そのCについては、以前から、Cの上司からは扱いづらい、また同じ職場(Cは私の勤める所とは別の営業所勤務)に新人が入るものの、いわゆるCからパワハラを受け、1人は退職、1人は 配転となっています。
今回、その2日間で到底処理不可能な仕事を命ぜられたことについても、非常に理不尽な思いをし、なるべくならCを避けていたかったのですが、緊急の用事だから、としぶしぶ電話に出てみると、たいしたことのない内容の確認だけでした。
もしかしたら、自分の物件でクレームを出したことに対するいやがらせなのではないか、と考えましたが、これは私の被害妄想でしょう。

休職初期は、その被害妄想や自分の情けなさが朝9時ごろになるとスイッチが入ったように頭の中で渦を巻き、布団の中で嗚咽している自分がいました。

とりあえず、Cには、「もう連絡をしないように」とメールで依頼もしました。

今月に入り、Cの物件(比較的大きい物件)があり、現場施工に私の同僚(D)が 赴くことになったのですが、Cのあまりの傲岸不遜な態度、横柄さに 怒り、同僚が会社宛に糾弾の報告書を書いたようです。

以前は、Cは私に対しては好意的に接してくれていたので、それに甘えていた部分もあったのですが、彼の下で退職、配転した人間が2人も出たこと、Cの上司が扱いに困っていること、ということに加え、Dに対してCが日常的に私に陰口をたたき、また直接会ってもいつも批判的な、かつ高圧的なものいいをしていること、それにくわえて、上述した今月の件もあって、私が冷静さを欠き、Cに電話して、「いい加減にしろ、馬鹿!」とどなって電話を切りました。
Cが私に対して好意的であったことから、Cの仕事上の要求は、法に抵触する部分も含め、何の抵抗もなく受け入れていたこと、その一方で同僚Dや、その他の人間がかなりCに高圧的な態度を取られていたこと、そういうことに対する(自分がお助けおじさんになっていたのではないか、という)「自責感」を感じ、社長はじめ、役員各位(A、B取締役も含みます)に、告発とも、ざんげとも取れるようなメールを出し、「やはり死んだ方が会社のためなのでしょうか」とつい書いてしまい、後で後悔。A取締役がメールを見てすぐに電話を下さり、「自殺する意志はない」と説明はしています。しばらくは興奮が収まりませんでしたが。

ただ、Cに対して「いい加減にしろ、馬鹿!」と怒鳴ってからは、何か憑き物が落ちたかのように、「自責」スイッチが入ることがなくなってきました。

このあたりからすこしずつ意欲がわき、「このやる気をどうしてくれよう」という気持ちが沸きはじめ、休職中のみでもあり仕事に打ち込むこともできず、とりあえず念入りな洗車やら、 部屋の大掃除に無心になってできるようになっています。疲れますが、心地よい疲労感です。

Cの、他人に対する態度は、ちょっと私には理解できかねる部分があります。以前は、Cは私に対しては、やや高圧的な態度をとっていました。Cの方が6ヶ月入社が早かったため、先輩、後輩のようなものと解釈していました。が、これがなにをきっかけに変わったのか理解できかねるのですが、急に私を賞賛するようになったのです。私がなにか著しい業績を上げたわけでもありません。
また、Dに対しては、以前は好意的であったようですが、いつからか態度が急変してきました。
その他の職場の人間に対しても、好意的から敵意への転換が、了解不能な形で現われるのです。その理由もわかりませんし、たまにCが自ら「Eは家庭内暴力がひどい、だから俺の仕事はさせない」 「Fは夜はこの店で働いている、B取締役に、なら確認すればいいじゃないか、といわれたが、高いからこの店には入れない」と私に言ってきました。
内容から見て、どうも荒唐無稽な虚言としか思えないことを、真剣な表情で話しています。
そうした態度は、親会社であるメーカーの人間に対しても同様でした。こうした糾弾、苦情が、あちらこちらから会社上層部に入っているようです。

そういったことから、どうもCには自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性人格障害)に似たものがあるのではないか、と思っています。ただ、Cは、営業の仕事の指標とする売上ではトップであり、親会社からも表彰を受けています。その一方で、ごくごく基礎的な知識に欠ける部分もあります。そういったところを飛び越えて、私に技術的な質問をし、それに回答すると、その知識を他人にひけらかすような態度を取っています。

今月の問題は、B取締役の指導によって解決したか、のように見えたのですが、別の関係者から聴いた話では、なおDに対する陰口をいまだにいっているとのこと。Cの陰口の特徴は「B取締役もそういっていた」と、B取締役がCに同調しているように陰口を補完することにあります。ただ、陰口の内容が事実であれば、その陰口の対象者にB取締役から指導があってしかるべきなのですが、そういう例は一度もないので、B取締役としても、Cの傾向を理解して、あえて同調したふりをしているのではないか、と拝察しています。
そうした陰口のあることを聞いてさらに私は怒りをあらわにし、Cに電話をしたのですがおそらく私からの電話であることがわかるためか、電話には一切出ません。留守電に、挑発的とも取れるような罵詈雑言をいれ、さらにメールも入れましたが、今のところ反応はありません。(恥ずかしい限りですが、いわゆる、ガキの喧嘩を吹っかけて、Cの攻撃の矛先をこちらに向けてみようという試みです。ただ、これは失敗でしたし、やり方としては私も適当でなかったと反省しています。)

問題なのは、私がCに厚遇されていたとき、私はCにとって「お助けおじさん」 になっていなかったか。今後、どう接していくべきか、ということもあるのですが、むしろ、私自身としては、 そういうCを批判している私そのものが「自己愛的人格障害」 を内にはらみ、それを隠蔽するために「うつ病」を擬態しているのではないか。あるいは、Cへの罵詈雑言などからみて、境界例ではないのか?  そもそも、わたしは「うつ病」なんかじゃなく、(前述した、Cに対する告発メールで思わず「死」を口にした行為が、他人にかまって欲しいという甘えに過ぎないのではないか。
という自分への猜疑心が消えないことです。
今は薬に良く反応し、食欲や意欲、気分もかなり復活してきたようにも思えるのですが、 (この3ヶ月の間に7kgやせ、食欲の復活とともにまた5kg体重が増えました) いまだに「本当はうつ病ではないのではないか」という猜疑心が消えません。
もし私がCと同じなら、他人に迷惑をかけたくありません。
一方で私は、Cに加担した取引証明関連の書類上における私文書偽造、ならびに詐欺などについて告発、ならびに自首し、以って会社を浄化するにやぶさかではないと考えます。 (と考えること自体が、欺瞞ではないか、とまた考えてしまいます)
先生が、事実のみを述べてくださる、ということで、自分に不利な回答があることもあえて受容して、メールを差し上げました。

 

林: 質問者が自己愛性パーソナリティ障害であると考える根拠はありません。Cさんは自己愛性パーソナリティ障害か、少なくともB群パーソナリティ障害(境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害を含みます)の特徴を持っていると思います。

私は、Cに加担した取引証明関連の書類上における私文書偽造、ならびに詐欺などについて告発、ならびに自首し、以って会社を浄化するにやぶさかではないと考えます。

それは正しい行為だと思います。但し質問者にとってもかなりのダメージを伴うと思われますので、実行される場合は、現在治療中のうつ病が十分に回復・安定した時点を慎重に選ぶことをお勧めします。

(2020.10.5.)

05. 10月 2020 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, パーソナリティ障害, 精神科Q&A