【4094】 500人以上の女性とセックスしました

Q: 私は40代男です。現在海外在住ですが、日本にいるときは外科医でした。家族は妻(40代)、小学生の娘が2人おります。下の娘が8歳です。 妻が下の娘を妊娠してから現在まで、妻としたセックスの回数は十分片手で足りるぐらい。この4年間は完全にセックスレスでした。それが先月になってから、本当に突然だったのですが妻を抱きたくなり、平日仕事が休みのとき、子供たちが学校に行っている間にするようになりました。それがほぼ毎日なのです。
このこと自体は夫婦がお互い納得してやっていればレスでも毎日やっても構わないとは思うのですが、先日、妻から3枚のCD-Rを渡されました。 私は妻と知り合ってからすでに25年、結婚して15年が過ぎておりますが、交際開始2年目にして浮気をしておりました。3年目、4年目と進むにつれてその浮気は度を増し、同じアパートの女性ほぼ全員とか、同学年の女子学生の半分とか、アルバイト先のバイト仲間とか、ナンパした主婦とか、もう無茶苦茶でした。ただ避妊はしていたようです。結婚直前に自分に病気が見つかり(服薬することで症状を軽く保つことはできますが生涯治癒することはない病気です)、また同時期に父を亡くしたことなどから死に対する恐怖、自分の遺伝子をこの世に残さずに死ぬことに恐怖をおぼえ、それ以降は避妊もせず、たくさんの女性に自分の子をたくさん産んでほしいという意識が強くなり、妻に対しても同様で、ほぼ毎日、とにかく誰かとセックスしておりました。どういうわけか妻以外の女性は妊娠することがなく、もしかしたら妊娠しても僕に告げずに中絶していたのかもしれませんが、その後養育費を請求されるようなこともなく現在まで来ております。
さらに、私の性癖と申しましょうか、私は浮気・不倫をするたびにそれをカメラで撮影し、まるでレポートでも提出するかのようにどのようなセックスをしてきたかを妻に知らせていたのです。それで興奮するような方もおられるかもしれませんが、妻はそれが苦痛で仕方なかったようですが、ここで自分が離れてしまっては(私が)性犯罪を犯してしまうかもしれない、それは同じ女として犠牲者の方に申し訳が立たないと考えたようで、夫の不倫を克明に聞かされるという苦行に耐えてくれていたのです。妻が出産で入院すれば自宅に女性を連れ込み、陣痛に苦しんでいる妻に「セックスしたよ」と携帯の写真メールを送り、勤務先病院の担当科看護師と婦長を除いて全員と関係を持つなど、よく訴えられなかったものだと思います。病気の感染のリスクもあったはずですが、それも本当に運よくすり抜けた形になっております。当直とうそをついて外泊し、ホテルの別々の部屋に複数の女性を泊らせ、それぞれの部屋を訪問してはセックスし、一晩で5人ということもありました。それも逐一、写真とともに妻に知らせていたのです。 ・・・・・こう書いておりますが、私はこの一連の妻以外との女性のセックスに関する記憶が全くないのです。正確に申し上げれば、8年以上継続して不倫関係を持っていた女性の存在は覚えておりますが、彼女とどのようなセックスをしたかは記憶にないのです。覚えているのは妻とのセックスだけで、数えるほどしかしていなかったな、というのはちゃんと覚えております。
妻から渡されたCD-Rには、20数年にわたる私の女性遍歴とセックスの内容、自宅でどのような会話を交わしたか等、私のセックスに関することが記録されていました。本当に驚きました。本当に覚えていないのです。ホテル利用の際のレシートやクレジットカードの明細やベッドでの女性との写真なども逐一妻に渡していたようで、私の異常な性欲は疑いのない事実のようです。判別ができた女性だけで数えてみても、この20数年で関係を持った女性は500人を超えておりました。ホテル代に使った額は2000万円に上っておりました。これだけ使ったのに、女性の顔すら覚えていないのです。どこのホテルに行ったかも。仕事では一切失敗を起こしておりませんし、仕事に関しては研修医当時の出来事に至るまで今もって記憶しております。
妻によると、「あなたは仕事では一切手抜きをせず、日本にいるときは評判のいい医者であったし、上司からの評価も高かった。それがなぜかセックスのことになると性格が豹変し、暴力的になる。他の女性に対してはそんなことはなく、性格が変わって暴力をふるうのは私に対してだけ。私に対してそのようにふるまうことであなたが精神のバランスを取っているのだと思っていたから、今まで耐えてきた。この国に引っ越してきてからも、日本人の女性と出あうためのあなたの努力は半端じゃなかった。最近に至ってはとうとう私にまで体を求めてくるようになった。あなたに抱かれている間、まるで他人に抱かれているような気がする。人が違うような気がする。私は離婚の材料にするためにこの記録をつけてきたけれど、最近になってこのままではあなたはダメになる、ここでしっかり向き合って自分の性と向き合わなくては、私と離婚したとしてもあなたのこの状態は続いていくだろうし、苦しむのはあなたよ。あなたが自分の性癖と向き合う覚悟があるのなら、私はあなたと一緒に戦うつもりがある」と言われました。自分の本当の姿を知らされた今、恥いるばかりです。もし病気であるなら立ち向かい、今まで私の女性関係で悲しませてきた妻のためにも治せるものなら治したいと思っています。 この異常に強い性欲と、他の女性とのセックスについて完全に記憶が欠落している部分があること、(妻によると)この記録によると私には複数の顔があるように思えるらしいこと。私は何らかの精神的な疾患を抱えているのでしょうか。

 

林: これはにわかには信じ難い話ですが、事実であると仮定して回答することにします。
事実であるとすれば、この記憶障害は解離性健忘です。そして解離性同一性障害(二重人格、多重人格)の色彩もありそうです。解離性同一性障害では、その人の通常の人格とはかなり違った人格になりますので、それが性行動に現れても特に不思議はありません。

それでもこの【4094】のケースがにわかに信じ難いという理由をいくつか挙げることができます:

(1) 20数年で500人以上の性的関係という数の多さ
(2) そのほぼすべてが不倫関係であるのに、どれ一つトラブルになっていない
(3) それらの報告を受けていた妻が、事実上黙認していた
(4) 質問者本人はこの性的関係の理由として、「死に対する恐怖、自分の遺伝子をこの世に残さずに死ぬことに恐怖をおぼえ」と述べている一方で、この性的関係の記憶が一切ないと述べている
(5) 「日本にいるときは外科医だった」という違和感ある経歴

これらのうち、(1)は件数だけの問題ですので、虚偽であると断ずる理由としては弱いでしょう。(2)は実際にはトラブルは多発していて、本人に記憶がないだけという解釈が可能です(但し、大きなトラブルであれば記憶がないではすまされないはずで、20数年間そうしたトラブルが皆無であったというのは考えにくいですが)。(3)については、「あなたが自分の性癖と向き合う覚悟があるのなら、私はあなたと一緒に戦うつもりがある」という意思を妻が持っていることで説明できるようにも見えますが、それは質問者の20数年間の常軌を逸した行動を見ればそうも見えるということで、当初は単なる不倫に見えたはずですから、その証拠記録を送りつけられた妻が当初から黙認していたというのはかなり考えにくいでしょう。(4)は論理的矛盾で、このような矛盾はしばしば虚偽や詐病であると断ずる決定的な根拠とみなされがちですが、解離性障害ではこのような矛盾はありえますので、決め手にはなりません(また、質問者は「当初は多くの女性とセックスしたいという意思が確かにあったし、行為の記憶もある。しかしある時期からは記憶が一切ない」と言っているという解釈も不可能ではないでしょう。メールの文章からは厳密にはそうは読めませんが、それは文章の書き方のレベルでの問題と考えることもできます)。 (5)は、つまり日本では外科医として勤務していたが、40代の今は外国に住んで外科医はしていない、ということになりますが、「元は外科医だった」「今は外国に住んでいる」「これまで膨大な数の女とセックスした」は、虚言症(病的な虚言者)が自ら語る経歴としていかにもありそうな内容です。しかし決してあり得ない経歴であるとは言えません。

結論としては、このメールの記述からは、内容が事実か虚偽かは判断できません。

(2020.8.5.)

05. 8月 2020 by Hayashi
カテゴリー: 性に関する問題, 精神科Q&A, 虚言, 解離性障害