【2465】他人に攻撃的になってしまいます。‏

Q: 現在17歳、高校三年生の女です。数年前から原因不明で吐き気、頭痛、腹痛、過呼吸を繰り返し、一年前自律神経失調症と診断され、治療を受けています。薬を飲んでいたら、だんだん他人に攻撃的になってしまっている自分がいることに気づきました。副作用なのでしょうか…昔はこんな些細なことでイライラしなかったのに…と思うことが増えました。イライラしたとしても、他人にそれをぶつけることはなかったんです。彼氏がわたしのことが嫌いだからたばこを吸ってよせつけないようにしているだとか、彼氏と歩いていると周りのひとがわたしを見て笑っているような気がして、何度も何度も突然怒ったり思う通りにいかないと自殺未遂をしたりして、心の支えだった大切な恋人まで、失ってしまいました。昔はほんとうにこんな自分ではなかったのです。もう、こんな思いはしたくありません。どうすればよいのでしょうか。

 
林: 精神症状があった。薬を飲んだ。徐々に攻撃的になった。
このような経過は、【2465】に限らず、時に見られるものです。
そしてこのような場合、

副作用なのでしょうか

とご本人やご家族がお考えになるのはごく自然ではあります。自然ではありますが、正しいとは限りません。いや、むしろ正しくないことの方が多いといえます。
すなわち、「徐々に攻撃的になった」ことの原因としては、時間経過だけからみても、その前に、「薬を飲んだ」と「精神症状があった」の二つがあるわけですから、薬の副作用のほかに、精神症状の悪化が原因として考えられるからです。そして、薬の副作用で攻撃的になることは、 【1987】などのように、あり得ることではありますが、頻度としては精神症状の悪化のほうが多いものです。
この【2465】のケースでは、「徐々に攻撃的になった」のほかに、

彼氏がわたしのことが嫌いだからたばこを吸ってよせつけないようにしているだとか、彼氏と歩いていると周りのひとがわたしを見て笑っているような気がして

という変化も認められ、この変化は薬の副作用とは考えにくいものです。すると、攻撃的になったこととあわせ、精神症状が悪化しているという可能性のほうがはるかに高くなります。

どうすればよいのでしょうか。

現在の状態をすべて正確に主治医の先生にお伝えし、適切な治療を受けてください。

(2013.11.5.)

05. 11月 2013 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 薬の副作用 タグ: |